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今の日本の立ち位置 [評論]



SDGsという言葉があります。
言葉は知っていましたが、詳しい中身を知りませんでした。
中身を見て、吃驚しました。理想のたたき売りです。
実際の人間は、正しいことをするために生きてきたわけではありませんし、この先も、正しいことをするために生きるわけでもありません。それは、ロシアや中国やアメリカの行動を見れば、歴然としています。
普遍的な価値らしきものは存在します。ただ、それは「らしきもの」にすぎません。絶対に正しい価値なんてものは存在しないのではないでしょうか。
しかし、人間は、「らしきもの」さえ守らない歴史を積み重ねてきています。ですから、特定の個人、団体、国の価値が守られることはありません。
と言うことは、SDGsという価値が守られることはないということです。
こんなことを言えば、「身も蓋もない」とお叱りを受けるのでしょうが、だからと言って、現実を無視するわけにもいきません。

SDGsには、17の目標があるそうです。
ここに書き出すと文字数が多くなりますので、項目だけ書いておきます。貧困、飢餓、健康、教育、平等、水、エネルギー、経済成長、気候変動、平和と公正、等々です。
理想を語ることは気持ちいいものです。
でも、「気持ちいい」だけでは済まないのが現実です。

国連が掲げた目標は、どれも「なるほど」と思うようなことばかりです。
例えば、1番目の目標が「貧困をなくそう」です。「世界から」です。
「なるほど」とは思いますが、「それ、無理でしょ」とも思います。
ウクライナ戦争で、戦争当事国は、両国共、莫大な戦費を使っています。充分な生産活動も行えていません。これは、国民が貧しくなっているということです。そんな現実が、私達の目の前で起きているのです。ロシアとウクライナでは、SDGsなんて、何の価値もないのです。国連がやったことは、小麦の輸出プランに参加しただけです。
人類にとっての理想は、人類が誕生して以来、それほど大きくは変わっていないと思います。1万年前には気候変動が注目を浴びていなかったかもしれませんが、気候に関する理想は、今と同じだと思います。いや、昔のほうが、気候変動による凶作や飢饉が生存を脅かす最大の要素でしたから、気候変動に対する恐怖は大きかったと思います。天変地異を歓迎していた時代なんて存在しません。
この17の目標は、世界中の人々を幸せにすることが、目標です
確かに、この目標が実現すれば、世界中が幸せになります。
しかし、人間は、何千年も社会を形成して生きてきたのに、その結果が現状です。
なぜなのでしょう。
それは、理想を達成する手段がないからです。
手段がないのは、この理想が、大国の、強者の、利益に反するからです。いや、大国の人間の「欲」に反するからです。国益重視、利益重視、が世界常識になっている限り、大国が自分の利益を手放すことはありません。人間ですから、当たり前です。
国連が一声かければ、世界は幸せになるのでしょうか。
世界の紛争を止めることも出来ない国連の声を誰が真剣に聞いてくれるのでしょう。
もちろん、そんなことは百も承知で言っているのだと思います。言うほうも、聞くほうも、17の目標がお題目だということを承知でやっているのです。
ですから、この目標が達成されることはありません。
そんな奇跡は、これまでも、これからも、起きません。
それほど、理想と現実の乖離は、手の付けようがないほど、大きいということだと思います。
人間が行動する際の最大の原動力が「欲」です。
SDGsの目標は、人間に「欲を捨てなさい」と言っているようなものです。
そんなこと、できるのでしょうか。
無理だと思います。

最近、SDGsを強く主張する人が、以前に比べて増えてきた印象があります。若者も、SDGsには理解があります。私には、現実から逃げる口実に使われているように見えます。
この先、どんな展開が待っているのかはわかりませんが、戦後の「平和主義」の再燃にならなければ、と思っています。「戦争反対、平和、平和」と叫んでいれば平和が手に入ると勘違いをしてしまう人達は、必ずいます。
SDGsというお題目を唱えても、何も得られません。

昔、国連に期待する人達が、国連至上主義みたいなことを盛んに言う時代がありました。
世界秩序を守るのは、それが出来るのは国連しかない、というものです。
日本は、軍事力は持てないが、国連軍に参加するのであれば、軍隊を持っても許されるという人達がいました。
もちろん、当時も、国連軍なんて存在していませんでしたし、今も存在しません。しかし、彼等は、本気で、理想を実現したいと思っていたのです。
もう、そんな理想を語る人は、今は、いません。
拒否権を持つ、第二次世界大戦の戦勝国にすぎない常任理事国のアメリカやロシアが、自ら戦争を始めてしまったために、国連の権威は地に堕ちました。
国連は、今回のウクライナ戦争で、世界から軍隊を招集して、侵略国であるロシアと対峙する行動を、何1つ起こせませんでした。
侵略戦争を始めたロシアを、常任理事国から除外することでさえできませんでした。
ウクライナ人の人権は守らなくても、いいのですか。
拷問や処刑を許していて、いいのですか。
SDGsは、理想は、どこへ、消えてしまったのでしょう。
いやいや、これが現実なのです。
お題目では、世界秩序を守れないということです。
昔から、自分の国は、自分で守るしかないのです。
この鉄則は、人類誕生の時から変わっていません。この先も、変わりません。

では、国が滅びるのは、他国の侵略によるものだけでしょうか。
そうではありません。
「自壊」があります。
他国の侵略でも「自壊」でも、犠牲になるのは国民です。
国民も、自分の身は自分で守るしかないのです。
善意の誰かが、国連が、「お上」が、守ってくれるなんてことは起きないのです。
どうか、そのことに気付いて欲しいと思います。
SDGsも、ウクライナ戦争が始まる前であれば、それなりに、マスターベーションとしての価値はあったのかもしれませんが、時間をかけて、SDGsという理想は消えていく運命にあると思います。
「自分の身は自分で守る」という鉄則は、人類絶滅の日まで有効な鉄則です。

さて、「自分の身は自分で守る」という視点から見た時、日本では、他国の侵略による崩壊と、自壊と、どちらが先に来るのでしょう。
「一瞬で死ぬ」か「じわじわと死ぬ」かという2択は望ましい選択肢ではありませんが、今の日本が直面しているのは、そういう選択だと思います。今、皆さんは、「じわじわと死ぬ」過程にあります。
私の個人的な意見ですが、自壊を防ぐことが侵略を防ぐことに繋がるように感じています。保証は出来ませんが、そう感じます。
自壊の現象が始まっていることを示す数値が、多く、出てきています。今後、更に、多くの数値が出てくると思います。
先ずは、この自壊を何とかしなければならないと思います。
多くの方か警鐘を鳴らしています。
しかし、政府も国民も動こうとしません。
つまり、自壊は避けられないということのようです。
国家運営を担っている人達は、自分の「利」が優先しますので、口先だけで、先延ばしをしています。
国民の皆さんは、「自分は手を汚したくない」「俺には関係ねぇ」と思っています。
確かに、それも、選択肢の1つです。
でも、結果は甘んじて受けることになるのですが、それでいいのでしょうか。
「別に、構わない」
「だって、どうしようもないもん」
多分、これが、今の日本の立ち位置なのだと思います。
でも、もしも、子供達を地獄へ連れていきたくないという人がいたら、ぜひ、立ち上がって欲しいと思います。
国民の皆さんには、この国の自壊を防ぐ力があります。
いや、国民にしか、その力は無いのだと思います。


2023-03-05



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気球撃墜騒動 [評論]



アメリカでの気球撃墜騒動が世界的なニュースとなりました。
私は、これまで、アメリカのアジア政策は口先政策の域を出ていないと思っていましたので、アジアでの紛争(朝鮮半島、台湾、南シナ海、東シナ海)へのアメリカの軍事介入は限定的なものか、或いは、全く関与しないか、になるのではないかと思っていました。その最大の要因が、アメリカの国民世論の内向き傾向だったと思います。
しかし、今回の気球撃墜騒動が、ほんの少しだけですが、その空気を変えたのではないかと思っています。
気球が人間の目に見えたことで、その映像が拡散したことで、自分の生活との関連性を否定できなくなったために、国民の中に、「いや、いや、これって、ヤバくねぇ」という心配が生まれました。ロシア、中国、北朝鮮のICBMは国民の目には見えません。自分の目で見えないものは、脅威だと実感することが難しいのです。たかが気球ですが、目視出来たことが、人間の感情を波立たせる結果になったと思います。まだ、一部の国民の感情に影響を与えただけですが、世界の対立は激しくなることはあっても、収まることは期待出来ませんので、今後もアメリカ国民の感情を刺激する事態は起き続けると思われます。
これは、アメリカで世論が変化する可能性が出てきたということです。
過去に、4回(実際の回数は不明)、中国の軍事気球は、アメリカ本土上空にやってきましたが、アメリカ政府はそれを発表していませんでした。その意図は、よくわかりません。
しかし、今回は、民間人が気球を発見し、その映像が拡散されたことで、内緒にできなくなってしまいました。
中国の軍事気球が、自分の家の上空にあったことで、アメリカ国民は現実的な恐怖を感じたようです。
日本では、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛んだり(特に、Jアラート)、中国・ロシア艦隊が津軽海峡を横断したり、尖閣諸島での巡視船の戦いを体験していますが、アメリカ国民は、アメリカに住んでいる限り安全だと思ってきたのです。
今回の気球騒動では、気球に向けて、ライフルを撃った市民もいるそうです。もちろん、ライフルの弾では届きません。
アメリカ人にとって、中国の軍事的脅威は、地球の裏側の「他人事」だったのです。ところが、1個の気球で、突然、中国の軍事的脅威が、目の前に現れ、「自分事」になってしまいました。
気球の目的は、軍事的な情報収集だという意見が多いようですが、もしも、気球に生物・化学兵器が搭載されていればと考えた人もいたと思います。その可能性はゼロではありません。中国製の生物・化学兵器で、自分の生命が危険に晒される可能性はあるのです。アメリカ国民に、中国の軍事的脅威が直接実感される状況が、初めて出てきたのです。
当初、バイデン政権は、これまで通り「知らんぷり」をするつもりだったと思いますが、世論が「バイデン政権は、中国に弱腰だ」という方向へと向かい、無視できなくなり、撃墜という手段に出ざるを得なくなったものと思います。
1個の気球が、アメリカ国民の間に、「中国の軍事的脅威は排除しなければならない」という気運を作ってしまった事件だったと思います。しかも、それは、どこか薄気味の悪い、得体のしれない恐怖感ですから、消化し難い一面があります。
私達日本人でも、中国を理解するのは難しいことですが、アメリカ人が中国を理解するのは、更に難しいのかもしれません。それは、歴史の違い、文化の違い、統治体制の違い、言語の違い、宗教の違い等々の目には見えない部分での違いによるもので、理屈ではなく、肌感覚みたいなものです。
すぐさま、「中国を抹殺しろ」という世論にはなりませんが、これからも、別の事案が浮上する度に、世論は強硬なものに変化する可能性があります。アメリカでは、コロナは、中国が世界にばら蒔いたと信じている人も、それなりに存在するそうですから、私もそう思っていますが、不信感の上塗りは強固な不信感へと変わっていくものです。
中国は、これまで、数十個 (確認されていないものを含めると、数百個かもしれませんが) の気球を世界各地へと飛ばしています。この中国製の気球は、風任せに飛行するのではなく、ソーラーパネルで電力を得て、進路を変える推進力を持っているようですから、偏西風を利用した上で、意図的な飛行経路を飛ばす力があるようです。気球から撮影したアメリカの画像も公開していますし、その性能を自慢する記事が公開されているそうです。
気球作戦立案の当初は、気球の大きさも小さく、搭載している機器も気象観測用機器だけだったのかもしれません。なぜなら、明らかに、領空侵犯を犯すのですから、撃墜の可能性は検討したと思います。しかし、これまで、どこの国も放置していたのですから、中国は、それが当たり前のことだと思ってしまったのでしょう。気球の大きさも、搭載する機器もエスカレートしていき、情報収集だけではなく、攻撃する機能(生物化学兵器投下装置、電磁波装置等)も搭載していたかもしれません。昔、日本軍は攻撃用気球を飛ばし、非常に小さな確率でしたが、アメリカ本土攻撃に成功しています。アメリカ人の人命も失われたそうです。昔の気球は、風任せの気球でしたが、気球爆弾は実在したのです。
これまで誰も騒がなかったことで、中国は勘違いをしてしまったのだと思います。
中国にとって、気球がアメリカで撃墜されたことは、想定外の出来事だったと思います。
「気球は中国の物ではない」「アメリカのフェイクニュースだ」とは言わずに、つい、謝ってしまいました。
中国にしたら、珍しいことに、対応がブレました。その後の対応も二転三転し、「アメリカの偵察気球も、中国領を侵犯していた」と言い始め、「青島近辺で発見された気球を撃墜する指令を出した」と発表しました。その後、中国報道官は、米国が「対空砲で蚊を撃っている」「ばかげた大規模な政治的パフォーマンスショーに莫大な金をかけている」とし、力み過ぎて「ぎっくり腰」にならないよう注意を促す、というジョークまで披露しました。その後も、手を変え品を変え、気球撃墜に対して抗議している中国の様子を見ると、知られてはならない装置が搭載されていたのではないかと疑ってしまいます。
もう、平常心を失ってしまったように見えてしまいます。
用意周到な中国にしたら、状況判断を誤りました。
経済失速が顕著になり、戦狼外交から微笑外交へと舵を切り、プリンケン国務長官を招聘し、話し合いを持とうとしていた中国にとって、国務長官の訪中延期は痛手です。習近平は、気球のことは、全く、知らなかったのでしょう。

でも、中国に限らず、人間がやることに「完璧」はありません。
ただ、力を持っている国の状況判断ミスは、大惨事になることがあります。
「イラクに核兵器がある」という誤った判断でイラク戦争は始まりました。イラク戦争でも多くの人命が失われました。
KGBとプーチンが「10日で、ウクライナを制圧できる」という誤った判断をして、ロシアとウクライナで、今、数十万人の人命が失われています。
さて、次の状況判断ミスは、どこで起きるのでしょう。

中国人民軍傘下の「中国気球船団」が、状況判断を誤ったようですが、状況判断を誤る可能性のある部署は、中国人民軍の中に無数に存在しています。
中国人民軍という組織は巨大な組織ですから、致し方のないことだと思います。
心配なのは、台湾侵攻作戦での状況判断の誤りです。
ロシアのプーチンが犯した誤りと同じで、台湾侵攻作戦を立案した人民軍の中のどこかの部署が状況判断を誤っていたとすると、中国は、間違った行動を起こす可能性があります。
アメリカ国防省、軍、情報機関で、中国の台湾侵攻を本気で心配している人が増えていると言われています。2024年から2027年という違いはありますが、数年後に、中国の台湾侵攻は行われると心配されています。実現するのかどうかはわかりませんが、アメリカ情報機関が、ロシアのウクライナ侵攻を警告していて(私を含めて、多くの方が信じていませんでしたが)、それが現実となった過去を考えると、この警告は不気味です。
もしも、台湾侵攻作戦の中に状況判断ミスが隠れていたとすると、中国にもアメリカにも、いや、台湾や日本にとって、大変不幸な結果を招きます。
ウクライナ戦争で、ロシア本土やEUに、ほぼ影響がないように、台湾有事の場合も、一部の中国本土を除き、中国本土にもアメリカ本土にも戦火は及びません。実害を受けるのは、台湾と日本です。
台湾や日本の市民にとっては、中国人民軍の一部の責任者が更迭されるだけでは割に合いません。実に、困ったことです。
戦争は、性善説に立って行われるわけではありません。いや、戦争に勝つためなら「何でもあり」が、戦争というものです。戦争になれば、国際条約でさえ役に立ちません。そして、残念なことに、ロシアだけが極悪非道を実践する特異な国だというわけではありません。中国がチベットやウイグルでやっていることを見れば、中国は、今日からでも第二のロシアになれるのです。
ですから、中国人民軍の攻撃が、在日米軍基地や自衛隊基地に限定されるという保障はありません。ロシアがやったようにインフラ攻撃も想定されます。電力・ガス・水道の喪失だけではなく、原子力発電所が破壊されることによる放射性物質の拡散も心配されます。ロシアは、まだ核兵器を使用していませんが、中国が、東京に核ミサイルを撃ち込むことだって否定できません。
では、私達庶民に出来ることはあるのでしょうか。
ありません。
ただ、ただ、耐えることだけです。

気球騒動の後日談になるのでしょうが、アメリカと中国の高官がドイツで会談した内容は、気球問題が主な議題ではなかったようです。ロシアへの軍事支援を具体的に検討している中国に対する警告が、主な議題だったそうです。
確かに、中国にとってのウクライナ戦争は、メリットしかありません。
ロシアの弱体化。
安価な原油の確保。
欧米諸国の武器弾薬の消耗。
世界が不安定化することによる、帝国主義の復活。
ウクライナ戦争を長期化させることで得られるメリットは、中国の一人勝ちです。ロシアを挫折させず、戦争を継続させることは中国の国益になるのです。
ですから、中国は、アメリカの警告に怒っています。「上から目線で、中国に命令するな」と怒っています。
「米国は、真剣に自省し、自らの行いを批判的に検証し、ごう慢さと偏見を捨て、覇権主義的で横暴ないじめの慣行をやめよ」と言っています。そっくり、そのまま、お返しできるような非難を平気でするのが中国流なのでしょうが、つい、笑ってしまいます。もしかすると、これって、中国流のブラックジョークなのでしょうか。


2023-03-04



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人間の情念 [評論]



以前に、中国はゼロコロナ政策をやめられないだろう、と書きました。
ところが、中国は、突然、ゼロコロナ政策を放棄しました。政策転換ではなく、政策放棄というやり方が、いかにも中国らしく、世界を驚かせました。
完全に、私の予測が間違っていました。大外れ、真逆です。
しかし。
中国人民は、諸手を挙げて、喜んでいるというニュースが流れています。
ロックダウンされるくらいなら、コロナに罹患したほうがいいと言っているそうです。
確率の低い死の恐怖よりも、自由(言論の自由は諦めていますが)を歓迎しています。中国人にとっても、ロックダウン(自由の束縛)が、それほど耐え難かったのだと思います。
ただ、まさに爆発という言葉そのもののような感染爆発が起きました。まだ、中国人民の皆さんは、その渦中にいるのですから、見えていないのかもしれませんが、犠牲者(死者と後遺症患者)の数は半端ではないと思います。
ゼロコロナ政策という間違った政策を実行したのは共産党であり、掌返しをして感染爆発を起こしたのも共産党です。共産党による統治に疑問は出ないのでしょうか。
経済がV字回復すれば、全ては水に流せるかもしれませんが、もしも、経済の停滞が長引けば、或いは、経済が頓挫すれば、人民の不満は政権に向けられます。
何故、政策放棄をしたのかは、闇の中ですが、経済活動の低迷が地方財政を圧迫し、地方政府に財政破綻の可能性があったことによるという説があります。特に、不動産市場の低迷は、地方政府にとって致命傷です。中国では、公式の数字は意味を持たないと言われていますが、不動産関連の経済の縮小は、かなり深刻なものなのだと思います。何とか、倒産は最小限に食い止めていますが、新規の不動産建設は、数字は不明ですが、随分と落ち込んでいるのだと思います。新しいマンションを建築するためには、土地が必要です。その土地を建設会社に提供して収入を得ていたのが地方政府です。土地は、売却ではなく、使用権の付与ですから、100年経てば、また、使用権を売ることが出来るという美味しい商売に慣れていた地方政府にとっては、天地がひっくり返えるような環境が生まれてしまったのです。対応策は考えてきませんでしたので、思考停止状態になり、財政の逼迫が起きました。特定の地方政府だけが財政逼迫したのではなく、ほとんどの地方政府が行き詰りました。中央政府も、全ての地方政府を救済することはできません。ここは、無理矢理でも、経済を動かすしかなかった。そのためには、ゼロコロナ政策は中止するしかなかった、という説です。
「大の虫を活かすために、小の虫を殺す」という伝統が生きていたのでしょう。
大の虫は地方政府で、小の虫が人民です。コロナでの死亡予測は100万人という説もあれば、数百万人だという説もあります。100万人の人民が「小の虫」だとは思えませんが、14億人の中国では「小の虫」なのかもしれません。
春節で、多くの中国人が出身地に帰省しました。その出身地は農村です。農村には、年寄りと子供しかいません。そこに、コロナウイルスがやって来るのです。大変、危険です。しかも、農村部に病院はありません。全土で薬不足が続いていますので、農村部には薬もありません。北京や上海より、死亡率は高くなるものと思います。ただし、中国では、病院で死亡したコロナ患者しかコロナ死亡者と認められません。病院のない農村部では、コロナ死亡者は出ないのです。しかし、肉親は、そのことを知っています。
春節前に出た通達は、さすが中国、というものだったそうです。
「故郷に帰った時の様子を文章で発表したり、見聞きしたことを発信することや、社会を陰鬱にするような喧伝は、この通達をもって厳格に監督管理する」
日本では、私を含めて、言いたい放題ですが、この通達は、中国人民の不満を貯める効果しかないように思います。不満という火薬を充填し続けることに危険はないのでしょうか。

さて、コロナの感染爆発が終わった後に、中国人が冷静になった時に、何が待っているのでしょう。2023年度の中国経済の成長率は3%を切ると予測する人もいますし、0%と予測する人もいます。日本から見れば、それでも成長しているように見えますが、過去の10%とか8%の成長率から見れば、明らかに経済収縮です。若者の失業率は17%だと言われていますが、実際の失業率は30%だという人もいます。不動産バブルは壊れかけています。中国経済の半分は不動産関連だと言われていますので、破壊力は大きいと思います。
中国経済は、正念場に立っているようです。
海外企業の中国離れは、今年から本格的に増え始めると言われています。これは、雇用が失われ、金融流失が始まるということです。
アメリカの半導体輸出規制も、今年から本格化します。
中国の経済予測は、明るいものではありません。
中国共産党は、経済発展と人民弾圧の2本柱で運営されてきました。
人民弾圧という1本足運営では、かなり、厳しくなると思います。
中でも、一番怖いのが、社会不安です。政府及び党の機構は、この社会不安に対処するものに変更されるようです。一部では、スターリン化と呼ぶ人もいます。それは、粛清される人民が数千万人になるということです。共産党対人民の戦いも始まっているようです。

情報が遮断されている中国や北朝鮮のような社会主義国では、現政権の情報しかなく、外部の情報を得る機会がありません。
政権は、最大限の努力をして、外部情報を遮断します。これは、社会主義国の定番です。
しかし、北朝鮮とは違い、中国では、政権の検閲を逃れたネットツールが存在していることも確かなようですから、情報の完璧な遮断は不可能なのだと思います。更に、豊かになった中国人は海外旅行に行きます。実物の情報に接する機会も増えます。北朝鮮と違い、中国での情報統制は至難の業です。しかも、人口が多いことも、統制を難しくします。
人々は、何かに困った時に情報を探そうとするものです。
多くの中国人が、親や祖父母や親戚の高齢者がコロナで死亡したことに、どこか割り切れない感情を持っているようです。病院が長蛇の列で、医療機関に辿り着けた人よりも、自宅療養を余儀なくされた人のほうが桁違いに多いと思います。病院での死者数は、氷山の一角だと言われています。
コロナによる死亡者は、圧倒的に高齢者が多い。これは、世界共通です。中国でも、同じです。自分がコロナウイルスを持ち帰り、親を感染させ、死なせたのではないかという気持ちもあります。特に、火葬場に行列したことには、反発が多いようです。
肉親の情は世界共通です。真面な弔いが出来ないことへの反発は心に残ります。
ゼロコロナ政策は中国以外にはないことを、習政権は自慢していましたが、その政策が理に適っていないことを、中国人民は知りません。あれほどの感染爆発が起きたことが異常であることも知りません。
しかし、肉親の非日常的な死は、簡単には忘れられません。
人は、自分の情念を扱いかねて、情念の負の部分を開放するために情報を探します。
時間はかかりますが、共産党政権の異様さに気付く人も増えてきます。
ある中国人の感想。
「コロナ以前は、多くの人が中国共産党に対して、正直なところ『どうでもいい』といった態度でした。なぜなら政府が一人ひとりの生活に干渉することはなかったからです。しかし、コロナ禍の3年は完全に異なります。中国共産党は一人ひとりの頭上にいて個人の運命を決定することができる、ということを誰もが思い知ったと言えるでしょう」
今回の感染爆発騒動は、まだ小さな波紋に過ぎないのかもしれませんが、大きな波になる可能性を秘めているように感じます。人間の情念は強力です。

これまで、中国人民が不条理を受け入れてきたのは経済成長があったからです。
共産党独裁国家に対する不満が大きくなっても不思議ではありません。
本格的な社会不安がやってきたら、「白紙デモ」では終わらないと思います。
共産党独裁国家の終焉の始まりだと言う方もいます。
もしも、そうだとしたら、中国はどんな国になるのでしょう。
コロリと民主国家になれるのでしょうか。
そうはならないと思います。
では、どうなるのでしょう。
わかりません。わかりませんが、カオス状態になることは避けられないと思います。
抽象的な言い方ですが、ぐちゃぐちゃ、になると思います。
最終的には、力による支配が始まると思います。
最悪の想定では、内戦状態になる可能性もあります。
巨大な組織である人民軍は、一枚岩ではありません。
人民軍もバラバラになると思います。
アメリカは、表でも裏でも、介入してきます。
仲良しに見えたロシアでも、力が残っていれば乗り込んできます。
それ以外にも、介入してくる国はあると思います。
やはり、ぐちゃぐちゃ、になるのではないでしょうか。
ソ連崩壊後のロシアの混乱も大きなものでしたが、あの程度の混乱では終わらないのでしょう。多分、世界を巻き込んだ混乱が生まれると思います。


2023-03-03



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この国の目的は何 [評論]



昨年くらいから、社会に「衰退」という言葉が増えてきた、と書いたことがありますが、昨今では、月に数回、そのような記事を目にします。「衰退」「弱体」「後退」「凋落」「老化」と言葉に差はありますが、どれも、日本の国力衰退を嘆いている表現です。
この社会風潮により、自然と、多くの方が「衰退」という言葉に着目し、そのファクトを探し、更に、「衰退」という言葉が増えているようです。
「国力衰退」という現象が、社会的なテーマになることは、現実を直視するという視点で、歓迎すべきことです。数年前、私は、「なぜ、衰退という現状認識ができないのだろう」と嘆いていましたが、現状認識が出来るようになったことは、大変、嬉しいことです。ただ、その事は終末が近づいているということでもあります。時間がありません。
今は、多くの論者が、個別に、自分なりに、原因解明をしています。
対策を提言している方もいます。
でも、何かが違う、という感触が拭えません。
昨今のコラムから感じる違和感について書きたいと思います。
先ずは、あるコラムから抜粋したものを転載します。

1人当たりGDPはアメリカの半分以下の水準で、イタリアと並んでG7の中で最低水準にある。
『世界競争力年鑑』(2022年版、63カ国・地域)によると、日本の順位は34位。1989年から1992年までトップを維持し、1996年までは5位以内だった。それが1996年の4位を最後に2ケタ順位に定着。2022年は過去最低(2020年と同位)の34位まで低下した。
日本は、韓国27位、マレーシア32位、タイ33位よりも下位となっている。
個別の判定要素の中での上位にある指標は、「経済状況」雇用2位が最高で、あとは「インフラ」科学インフラ8位、健康・環境9位、この3指標のみである。逆に「経済状況」物価は60位、「ビジネス効率性」経営プラクティスは63位で最下位、「政府効率性」財政は62位と厳しい評価だ。24指標中、9指標が40位以下という惨憺たる状況だ。
このままでは、日本は「縮小」と「衰退」の坂道を転げ落ちていくばかりだ。
「なぜ、日本の国際競争力、経済力がここまで落ちてしまったのか、その検証をきちんと行い、原因となっている壁をひとつずつ壊していくしかない」と指摘する。
国際競争力トップだった時代の豊かさに甘えて、あぐらをかいてきた結果がいまの凋落ぶりです。1980年代までは官民共同で技術開発を行い、革新的企業に金融支援を行って成長を助けたものです。
 この10年は、成長戦略と称して金融緩和と財政バラマキを行ってきたものの、資金が効率よく回らず、結局、政府に近い企業群が儲かる仕組みだけが残り、非正規の従業員が世に溢れる状況になってしまいました。政権交代も含めたドラスチックな改革を実現させて壁をひとつずつ壊していかなければ、日本のジリ貧化、地盤沈下は止まらないでしょう。

さて。
このコラムの「衰退」の現状認識は、正しい認識だと思います。私も、以前に世界競争力年鑑のことを書いたことがあります。
では、原因の究明は、どうでしょう。
原因は、政策の失敗だと捉えています。
ですから、必然的に、政策変更が対策になると判断しています。
結果、政権交代を推奨しています。
筋は通っています。
では、結論となっている政権交代が実現すれば、日本の「衰退」は止まるのでしょうか。
多分、このコラムを書かれた方も、それを読んだ国民も、そうは思っていません。
だからこそ、不安感と閉塞感と焦燥感が増幅しているのだと思います。
まさに、袋小路状態ですが、それは、なぜなのでしょう。
そうです、私達には選択肢がないのです。自民も立憲も維新も共産も、どれも同じです。ですから、政権交代では、どうすることもできません。

では。
このコラムに限らず、多くの方の警鐘と提案(もちろん、私の提案も同じです)が実現しない要因は、どこにあるのでしょう。
それは、原因の原因の原因に辿り着いていないだけではなく、仮に、原因の原因の原因がわかっても、実行手段が見つかっていないからだと思います。
もう、個々の原因(政府の政策等々)に対処するやり方では、打開できない領域に入っていますので、必要なのは、先ず、原因の原因の原因を見つけることです。
このコラムで指摘されているように、政府の施策の失敗も原因の1つですが、原因はそれだけではありません。世界環境の変化、時代の変化、意識の変化、と多くのものが変わっていることも、原因です。今の日本は、昭和ガラパゴス状態です。その変化に対応するためには、小手先や口先や政権交代などという常識的な対応では無理です。
実践処方箋が見つかっていないことは棚に上げておいて、今は、先ず、原因の原因の原因を見つけ、次に、それに対処する方法を探すことです。
気付いている方は、まだ、いませんが、原因の原因の原因は文化であり、私達が向き合わなければならないのは、文化です。一刻も早く、そのことに気付いて欲しいです。
今は、新しい文化の構築が必要な時代なのだと思います。
振り返って見れば、この課題は、明治時代から存在していた課題だと思います。
ただ、文化は、目に見えませんから、気付き難いという特徴があります。
どこの国でも、どんな統治体制でも、最終的に、その国のあり方を決めるのは国民意識だと思います。
国民意識を超える経済も政治も存在しません。
その国民意識に大きな影響力を持っているのが、文化です。
日本の場合は、曖昧文化です。平たく言えば「なあ、なあ」「まあ、まあ」です。
では、そんな日本で、なぜ、奇跡の戦後復興ができたのでしょう。
あの時代は、皆が生きることに必死で、「なあ、なあ」「まあ、まあ」では生きていけなかった環境があったからです。もちろん、日本人に潜在的能力があったからできたことですが、一時的に文化の力が衰えたことが、奇跡を生み出したのだと思います。

日本が昭和ガラパゴス状態になっている要因は、「目的」の欠如だと思います。
私は、高校生の頃、「この国の目的って、何だろう」と疑問に思ったことがあります。
若い時は、そんな疑問を持つものです。実際に、年配の方に、そう言われました。
しかし、後期高齢者になっても、あれから60年以上経っても、その答は見つかりません。
それは、この国には「目的」など存在しないということなのだと思います。
「なあ、なあ」「まあ、まあ」の世界では、「目的」なんて害になるだけなのでしょう。
ただ、それで、「何とかなった」時代が続けば、問題はありませんでした。
でも、現実は、「もう、どうにもならない」時代になったのです。

政府に責任がある。
その通りです。
では、国民に責任はないのでしょうか。
そうではない、と思います。
最も重い責任を有しているのは、主権者である国民の皆さんです。そんな皆さんに責任が無いなんてことはありません。皆で、力を合わせて、この国を衰退させてきたのです。
政府と国民が力を合わせる推進力になったのが、「なあ、なあ」「まあ、まあ」です。
官民共同は、この国の特徴の1つです。
しかし、「なあ、なあ」「まあ、まあ」にも、限界があったのです。
そのことに気付かなければ、この「衰退」は止まらないと思います。
このブログの記事を読んでくださった方には、耳にタコだと思いますが、私は、「言葉の定義をする文化」を作りましょうと提案しています。
「曖昧文化」から「言葉の定義をする文化」への変更です。
もちろん、「言葉の定義をする文化」が完璧な唯一のものではありません。弊害も副作用もあると思います。それでも、ここまで追い詰められたら、四の五の言っていられません。
この国には、今、「目的」と「責務」の明確化が必要なのだと思います。
日本人は優秀です。
特に、一致協力という分野では、他の民族の追随を許さないほど優秀です。
「言葉の定義」をすれば、目的と責務が見えてきます。
「目的」があり、「責務」が明確になれば、ものすごい力を発揮すると思います。
文化を変えれば、「衰退」を止めることは可能だと思います。
ただし、残念なことに、まだ、国民の皆さんに「言葉の定義」をしてもらう方法が見つかりません。
ですから、実践処方箋のない私の提案は、今も、机上の空論です。
国民の皆さんに参加してもらう方法が見つからなければ、間違いなく、この国は崩壊すると思います。
政権交代しても、生産性向上やDXに挑戦しても、「衰退」は止まりません。
「衰退」の先にあるのは、当たり前のことですが、繁栄ではなく崩壊です。
崩壊で痛手を負うのは国民の皆さんです。
国民の皆さんには、自分のために、この国を変える必要があるのです。
国民の誰にとっても、他人事ではありません。
どうか、そのことに気付いて欲しいです。
崩壊を止めることが可能となるかもしれない方法はあるのです。
岸田さんが「何とか」するのではありません。そんな力、岸田さんにはありません。
皆さんが、「衰退」を止めるのです。
他に、自分を守る方法はないと思います。


2023-03-02



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階級 [評論]



例年、春闘の話題で賑わう季節ですが、変人の私には、空騒ぎにしか見えません。
政府もメディアも、話題にするのは、僅か数パーセントの大企業の中の、ごく一部の優良企業の、賃金上昇率です。
日本の課題は、「そこですか」と聞きたいです。
勝ち組と言われている人達の現状維持を図っても、この国は蘇りません。もっとも、「大企業の中のごく一部の優良企業の賃金上昇」が実現しないと、公務員の給料は上げられませんので、力が入るのは仕方ないのかもしれません。しかし、圧倒的大多数の国民は「春闘なんて、俺には関係ねぇ」と思っています。
「誰のための国家運営なのか」を問うのは国民の仕事です。
国民の皆さんが、自分の責務を知らないのですから、このまま、ずるずると、この国は朽ち果てる運命にあります。もちろん、この国を繁栄させるか崩壊させるかは、国民次第です。しかし、国民の皆さんは、その責務も知りません。「そんなもん、俺には関係ねぇ、お上の仕事だろう」と思い込んでいます。

ここで、大雑把な平均年収を見てみます。
国家公務員   680万円
地方公務員   660万円
国民      440万円
中小企業    380万円
この数字を見ただけでも、歴史と伝統に培われた階級が存在しています。
参考までに、「大企業の中のごく一部の優良企業」の年収も見てみましょう。今、流行りのM&A企業は外しました。
キーエンス   2111万円
三菱ケミカル  1738
三菱商事    1608
野村      1384
ファナック   1364
東京海上    1338
三井住友    1304
三井不動産   1263
ソフトバンク  1253
電通      1169
エーザイ    1099
ソニー     1051
日本軽金属   1044
・・・・・・
ユニクロ     959
トヨタ      857

さて。
ユニクロやトヨタの平均年収が、1000万円に、2000万円になったら、この国の課題は解消されるのでしょうか。
いいえ。
最大の課題は、国民の平均年収の440万円と中小企業の平均年収の380万円です。
全国の中小企業が、あり得ないと思いますが、5%の賃上げをしたとしても、平均年収は400万円にしかなりません。中小企業で働く皆さんは、5%でも給料が増えれば喜んでくれるでしょうが、でも、課題は解消されません。まさに、焼け石に水です。
この国に必要な賃金上昇は、100%とか200%の賃上げだと思います。それでも、仮に、中小企業の平均年収が、100%の賃上げが実現したとしても、760万円ですから、中小企業の平均年収は、現在のトヨタの857万円を追い越せません。
桁が2桁違うのです。
実際には、5%の賃上げを実現できる中小企業は、とても、少ないと思います。
自民党は、今でも、トリクルダウンという仮説に執着しています。
もう、時代は、トリクルダウンの時代ではありません。
どうして、そのことに気付かないのでしょう。
それは、この国が、全体として、ずるずると、衰退しているからです。
衰退国家では、「自分が一番」ですから、トリクルダウンなんて起きません。
国力衰退を止めて、反転させ、国力発展を実現しなければ、課題は悪化するだけです。
国民の年収が減少するという環境の中、公務員の年収は減少しません。賃金を上げるために、企業の場合は、売り上げと利益の増加が必須ですが、国には、借金という強い味方があります。「賃金の上昇というトレンドを作るために」という理由で、今年も公務員給与の賃上げをすると岸田さんが言っています。
現状認識も原因究明も対策立案も、どれも、的を外しています。
いつからか、多分、50年前くらいから、「結果を捻じ曲げること」が対策になると勘違いしているようです。
最近の対策では、「デフレ脱却」と「賃金上昇要請」が、それにあたります。
デフレも、賃金水準も結果です。
しかも、掛け声だけです。
ざっくりとした、曖昧な対策ですから、結果がどうなっても構いません。
〇〇を、〇〇までに、〇〇にします、という対策ではありませんので口先だけで済みます。
その上、対策が実現しなかった時に、誰も責任を取りません。
こんなこと、いつまで、続けるのですか。
なぜ、こんな馬鹿な国家運営をやっているのでしょう。
現状から逃げる。
原因を見つけない。
対策は、口先で済ましてしまう。
これでは、状況が変わることはありません。
では、なぜ、こんな馬鹿な国家運営を許しているのでしょう。
「下々」は「お上」に「物を言ってはいけない」という伝統があるからです。
未だに、日本国民は、日光東照宮の猿のままなのです。
「下々」は、たとえ、自分が苦しい生活を強いられても、ただ、ただ、我慢することが「下々」のあるべき姿だと信じています。
今の時代、「愚かな」という表現が、とてもお似合いな国民だと思います。

国民が納めた税金を財源として支払われているのが公務員の給料です。
しかし、公務員は、統計資料によると、国民の収入の約1.6倍の収入を得ています。
この数字を見ただけでも、明らかに、「お上」と「下々」という階級は存在しているのです。
しかし、「下々」は文句を言いません。
それは、この国が、民主国家ではないからです。
「もっと酷い国はいくらでもあるだろう」と言う方もいるでしょう。
その通りです。
だからと言って、これでいいわけではありません。
しかも、国は衰退し続けていて、どこかで崩壊することが約束されているのです。
「俺には関係ねぇ」と言っている場合ではないと思います。
「お上」に「好き放題を言わせている」のも、勝ち組に「やりたい放題をさせている」のも、国民の皆さんなのです。
国民が「ノー」と言えば、こんな馬鹿なことは続けられません。
それが民主主義なのだと思います。
国の責務は、国民生活を守ることです。
ここで言う「国民」とは、「僅か数パーセントの大企業の中の、ごく一部の優良企業」の皆さんだけではなく、公務員だけではなく、中小企業で働く皆さん、自営業の皆さん、農林水産業で働く皆さん、も含むのです。
中小企業で働く皆さん、自営業の皆さん、農林水産業で働く皆さんのほうが、圧倒的多数の国民なのです。これらの国民の生活を守るのが、国の責務です。
国も責務を果たしていませんし、国民も責務を果たしていません。
これでは、潰れても仕方ないと思います。

では、なぜ、こんなことになってしまったのでしょう。
答えは、簡単なものです。
国民の皆さんの「下々」意識が強く、今でも「三匹の猿」を真似ているからです。
人間は「欲」の塊です。
「お上」や「勝ち組」が「利」を追求するのは当たり前です。
それを許しているのが、国民の皆さんです。
「お上」も「勝ち組」も「三匹の猿」も、自分の責務を知りません。
この「無知」がこの国を衰退させているのです。
誰も、好き好んで、破滅したいとは思いません。しかし、明らかに、破滅へと向かっています。どうしたらいいのか、誰にもわかりません。ほんとに、わかっていないのです。ですから、意図しているわけではありませんが、歴史と伝統に従い、皆で、「なあ、なあ」「まあ、まあ」「ふむ、ふむ」と言いながら、一致協力して、崩壊への道を歩いているのです。いや、そのことに気付いている人もいません。まるで、夢遊病です。これは、ほんとに、恐ろしいことだと思います。

どうすればいいのでしょう。
今日は、くどくど、と書きませんが、「言葉の定義」をしてください。
時間はかかりますが、希望の光は見えてくると思います。


2023-03-01



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