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悪いのは誰だ [評論]



東京地検は、自民党の政治資金パーティーを事件にしようとしています。ただ、検察は法律の枠内でしか事件にできませんので、法律そのものを事件にしようとすれば、国民がやるしかないと思うのですが、そんな仕組みはありません。新しい国家運営システムを作る時には、この不具合を是正できるシステムを組み込むことをお勧めします。
政治に係わる法律は、政治家に、特に与党に有利になるような法律になっていますので、法律の枠内で事件にしても、大きな変化は望めません。
その上、この国の統治システムは、民主主義風王政並立封建制度ですし、社会は「なあ、なあ、まあ、まあ」で動きますので、多少の軋轢はあったとしても、この国のあり様は何も変わりません。衰退は続きます。
ま、やらないよりは、やったほうがいいのでしょうが、ほとんど意味ないと思います。
それでも、政治資金事件も数ある国力衰退の原因の1つですから、考えてみたいと思います。

何と言っても、この国は「なあ、なあ、まあ、まあ」の国ですから、この程度の事件であれば、「うやむや」の内に忘れてもらえます。それを前提にしているから、岸田総理は、当面、政治資金パーティーは、「ほとぼりが褪めるまで自粛する」と言っているのです。岸田さんは、わかりやすくて、ほんとに、「いい人」なんだと思います。
今回の事件は、立派な贈収賄事件だと思いますが、新聞・テレビ・野党だけではなく与党までも、申し合わせたように「裏金事件」だと言います。
違います。
国家運営の目的は「国民生活を守る」ことであり、ここで言う「国民」とは、文字通り全国民を意味します。特定の誰かの利益を守ることが国家運営ではありません。ですから、特定の誰かを守るためのカネは、賄賂なのです。
政治資金パーティーで、民間からカネを貰う行為は、立派な贈収賄事件ですが、政治資金規正法という法律で政治家が守られているために刑事事件にはなりません。皆さんは、この法律が不正防止のための法律であると思っているかもしれませんが、違います。帳簿に記載すれば事件としては立件しないという法律であり、カネを貰うことを認めている法律です。
見返りのないカネを出す馬鹿はいません。カネを貰った政治家は、献金を続けてもらうために、便宜を図ります。どう見ても、政治資金パーティーの収入は賄賂でしかありません。
仮に、個人の私が、パーティーを開くのでパーティー券を買ってくださいと言って、企業や団体の事務所に行ったと思ってください。企業や団体は、110番します。恐喝か特殊詐欺だと思われます。「いやー、違います。便宜を図ります。帳簿にも記載します」と言っても逮捕されると思います。私には便宜を図る方法がありませんから。
政治資金パーティーの収益がいくらあるのか知りませんが、数十億円、数百億円のカネを手にしても、帳簿に記載すれば合法で、帳簿に記載しなかった些細な金額だけが罪に問われるのが政治資金規正法です。これ、本末転倒だと思います。
これ、誰が作った法律ですか。
作ったのは政治家です。
更に言えば、自民党の政治家です。自民党議員の目的は「国民生活を守る」ことではなく、「政権を維持する」ことですから、何の不思議もありません。
では、政治資金規正法は、自民党だけで作ったのでしょうか。
国会は、何を議論していたのでしょうか。
もちろん、野党の議員も、カネが欲しいのです。
では、国民は、なぜ、黙っているのでしょう。
私達は「下々」ですから、「お上」のやることに文句を言いません。
多数決という免罪符があれば、何でも、できるのです。
これが、民主主義なんでしょうか。
賄賂を認める法律は、中身は違いますが、香港の「国安法」と何が違うのでしょう。
法律さえあれば何をやってもいい、と言うのは中国共産党の考え方と同じです。
私達は、民主主義の定義をしたのでしょうか。
この国に、目的はあるのでしょうか。
政治家への賄賂を合法化すれば、国民生活は守れるのでしょうか。
いいえ。
この国の民主主義は間違っていると思います。
定義も目的も責務もない民主主義は、民主主義ではありません。
野党もメディアも国民も、そのことを指摘しません。
政治家は、「国民生活を守る」ために働いているのではなく、「カネ」を手にするために働いています。もちろん、私達も「カネ」を手にするために働いています。ただ、政治家が手にしているのは数々の「あぶく銭」です。この違いは大きいと思います。

自民党は、既に、新しい集金システムの構築を始めていると思いますが、未だに「お代官様と越後屋」手法に頼っているとすると、また、失敗すると思います。
確かに、カネが手に入らなければ、与党をやっている意味がありません。
与党になり、権力を握ることに奔走する目的は、何でしょう。
ほんの少し、虚栄心はあるでしょうが、清貧に甘んじてでも虚栄心を満足させる、という人はいないと思います。どう転んでも、目的は、カネです。それも、大金です。カネがなければ選挙に勝てません。カネを稼ぐためにはカネが要るのです。
少々の虚栄心であれば一般国民よりは手に入ります。「先生、先生」と言われて、多くの方がヘコヘコしてくれて、無理難題だって受け入れてくれます。勲章だって貰えます。
大多数の人の「欲」が求めるのは、カネと虚栄心です。政治家は、その両方が手に入る美味しい職業になっているということです。では、誰が、政治をそんな職業にしたのかと言えば、私達国民です。では、国民は、なぜ、そんな馬鹿なことをするのでしょう。それは、「目的」と「責務」がないからです。そして、国民が、未だに「下々」のままだからです。
メディアも野党も、自民党を非難します。でも、その自民党の政治家に一票を投じているのは国民の皆さんです。しかし、メディアも野党も、国民を非難しません。そんなことをすれば、自分達が損をするからです。つまり、自民党もメディアも野党も、更に、国民も、同じ穴の狢なんです。中でも、もっとも非があるのは、彼等の「欲」を容認している国民だと思います。全員が狢をやっていられるのは、「なあ、なあ、まあ、まあ」社会だからです。
やはり、自民党、メディア、野党、国民が、狢をやめるためには、「目的」と「責務」が必要なのだと思います。

自民党に学習能力があるようにはみえません。私には、オレオレ詐欺グループのほうが、学習能力も開発力もあるように見えます。
自民党は、本気を出して、高度な集金システムの構築にかからねばなりません。
私が、自民党の関係者であれば、裏金集金システムの研究開発をする新しい部署を作ります。オレオレ詐欺を開発した人は、その後も新しいシステムを作り続け、今や、立派な資金源に育っています。自民党にだって、できないことではありません。もちろん、それなりの費用は必要ですが、それこそ、必要経費です。政治資金パーティーの利益率は90%だと言われています。1000億円を目標とするのであれば、100億円の経費を払っても800億円が利益になります。しかも、彼等には、法律を作る権限があるのですから、利用しない手はありません。
カネを出したいと思っている人は5万といるのです。そういう人達のためにも、安心安全なシステムができれば、ウインウインの関係が築けます。
なんて発想は出てこないのでしょうか。
多分、出てこないのでしょう。
次の手法も、歴史と伝統に従い、「お代官様と越後屋」方式になると思います。
立件されてしまえば、立派な犯罪者になるのですから、もう少し性根を入れて考えるべきだと思います。「あぶく銭」を手に入れるのですから覚悟は必要です。
もっとも、「なあ、なあ、まあ、まあ」で何とかなるのですから、「お代官様と越後屋」方式でもいいのかもしれません。犠牲になる人は「不運」と諦めてもらえばいいのです。最悪の場合でも、5年も服役すれば済みます。
経済犯罪の場合は、決め手になる物証が少なく、本人か関係者の自供が大きな証拠になります。事情聴取の場では、当然、取引が行われます。取引は、まさに、「なあ、なあ、まあ、まあ」で行われます。金額で不起訴、略式起訴、起訴が決まるようですが、その基準だって「なあ、なあ、まあ、まあ」です。
どこの国にも「なあ、なあ、まあ、まあ」はあると思いますが、日本社会は、ほぼ、この「なあ、なあ、まあ、まあ」で動いています。ですから、その副作用も大きくなります。結果、今は、国力衰退という最悪の結果を招いています。
もちろん、杓子定規に正義を振りかざせば、社会はギスギスします。いわゆる。「落としどころ」があるのです。でも、その「落としどころ」は権力者の胸三寸で決まります。権力者にとっては、「なあ、なあ、まあ、まあ」は最高のシステムなのです。
不正を働いた政治家でも、社会から抹殺されるわけではありません。
ほとんどの政治家が難を逃れます。「ラッキー」と思うでしょう。そんな政治家は、二度と不正は働かないと誓うことはありません。次も、やります。
そうやって、私達は2000年という時間を生きてきたのです。
仕方ありません。私達は人間であり、「欲」からは逃れられません。
ただ、残念なのは、政治家が「国民生活を守る」ために本気で働いていないことです。
それは、「目的」が「国民生活を守る」ことではないからです。
粉骨砕身、国民生活を守るために働いているのであれば、国民だって、1億や2億の不正は諦めてくれると思います。
問題は、「目的」がないために「国民生活が守られていない」ことです。政治家と国民が共にウインウインであれば、たとえ、裏金であっても許容できる範囲だと思います。
費用対効果が悪いから、国民に不満が出るのです。
パイの取り合いをするから軋轢が生まれるのです。
人間に「欲」がある限り、国は繁栄を目指すしかありません。それが国民の責務です。国家運営を担うものは、その国民を支えなければなりません。もう、「お上」と「下々」という関係では、前に進めません。これまでのシステムが限界を迎えているから国力が衰退しているのだと思います。
でも、今は、国家運営者は「自分さえよければ」をやり、国民は「俺には関係ねぇ」をやっています。これは、皆が、共通する「目的」を持っていないからだと思います。

カネに目が眩んだ政治家の姿を見ていれば、国民の不満は大きくなります。
それは、政権交代の可能性が大きくなるということです。
ただ、Aが駄目だからと言って、Bを与党にしても、Cを与党にしても、国民生活は変わりません。いや、更なる悪化もあると思います。
国民の皆さんが、ほんとに、自分の生活を守りたいのであれば、AでもBでもCでもない、新しい政治集団を作るしかありません。
勘違いしないでください。新党が出来ればいいという意味ではありません。
AやBやCと同じような「自分さえよければ」のDやEの新党が誕生しても何も変わりません。口先で「国民生活を守る」ことを宣伝することなら誰にでもできます。私達に必要な新党は、国民生活を守るプランを持っている新党です。
減税やバラマキでは、国力衰退を止められません。
もちろん、新しい資本主義でも実現しません。
だとすると、方法は1つしかありません。
国民の皆さんの意識を変えることです。
国は、国民の意識次第で、どのようにでも変われるのです。
皆さんは、じっと、「棚から牡丹餅」が落ちてくるのを待っているのですか。
そもそも、棚なんてありませんし、ましてや、牡丹餅なんてありません。
「棚」も「牡丹餅」も、「誰か、何とかしてくれ」という皆さんの助平根性が見ている幻影です。皆さんの生活を守るのは、皆さんです。政治家や官僚という国家運営に携わる人々は、神様でも聖人君子でもありません。放置すれば、例外なく「自分さえよければ」をやる人達です。目的を持ち、責務を明確にし、システムを構築して、彼等に本来の仕事をやってもらわねばなりません。それが出来るのは、国民だけです。


2024-01-04



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