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棚から牡丹餅 [評論]



プーチン大統領という人は、生まれる場所と時代を間違えたのかもしれません。
彼が、20世紀のロシアではなく、15世紀のヨーロッパに生まれていたら、一大帝国を築いていたのではないかと思います。
プーチンは、アメリカの大統領選挙を好機と捉え、アメリカ国内の分断に成功しました。
そのサイバー攻撃の規模の大きさからも、国家的大作戦であったことは明白です。
元々、貧富の格差問題で分断されていたアメリカの病巣を、大統領選挙という一大イベントを利用し、表面化させただけのことですが、これは、プーチンの手柄なのかもしれません。そして、今、アメリカでは、ロシアゲートなどと騒がれています。それは、アメリカサイドの見方であり、ロシアゲートという名称まで作ってくれて、結果的にアメリカの内政を不安定にさせたという功績も、プーチンのものです。トランプが大統領の席に座っている限り、ロシアは何度でも配当を受け取ることができる優良銘柄に投資をしたようなものです。
プーチンが、トランプと共謀したかどうかは、まだわかりませんが、ロシアにとって、そんなことは問題ではありません。ロシアゲートが立証されても、プーチンがアメリカの法廷に立つ必要はありません。トランプが大統領になって、アメリカが不安定になることが、ロシアの狙いです。ですから、トランプが大統領になることをロシアは望んでいました。その理由は、トランプが押しも押されもしない「ならず者」の一人だということを、プーチンは知っていたのです。それは、トランプがロシアでご乱行をしていたのですから、ご乱行の時には、その人物の本性が丸裸になりますので、トランプという人物がどんな人物なのかをプーチンは承知していました。世界に「ならず者」が増え、世界が不安定になることで、ロシアにもチャンスがやってくると考えたのでしょう。
トランプが大統領になったことで、アメリカとヨーロッパの間にも楔を打ち込むことができました。西側諸国の分断にも成功したのです。これが、プーチンの真の狙いだったのでしょう。大成功です。あり得ないと思いますが、もしも、トランプがNATOから手を引いてくれたら、ボーナスみたいなものです。
プーチンの目には、トランプは「ただの愚か者」に見えているのかもしれません。
プーチンは、トランプのことが好きだと言っています。「真っすぐで、率直な人」だと評価しているそうです。でも、これって、トランプが馬鹿だと言っているに等しいことのように聞こえます。
次から次へと、トランプの迷走は続いています。きっと、プーチンは満面の笑みを浮かべて見ているのでしょう。ここまでやってくれるとは思っていなかったかもしれません。プーチンにとっても、想定外の成果かもしれません。先人達は、きっと、こういうことを、棚から牡丹餅という言葉で表現したのでしょう。
プーチンは、「新しい軍拡競争が始まっている」と言っています。私も、プーチンの意見に賛成です。ロシアも、その競争に参加して、昔の威信を取り戻したいと願っているようです。ヨーロッパでは、ロシアの侵略はウクライナで完結しているとは考えていません。ヨーロッパでは、バルト三国から、第三次世界大戦が始まるのではないかと危惧する意見もあります。軍事的に突出することを避けてきたドイツが、NATOの枠組みを超えて、ロシアの侵攻に対する軍事協力を推進しています。国防予算の増額が可能な国は少ないですが、ドイツは、その希少な国の筆頭です。
プーチンは、極東でもミサイル部隊を展開し、二個師団を増派する予定だとされています。プーチンと安倍の間には信頼関係があったはずです。いや、勝手に安倍がそう言っているだけですが、プーチンは国益しか眼中にありません。プーチンは、「これは、日本に対する部隊ではない。アメリカは何をするかわかったものじゃない。晋三も、あの男には気を付けろよ」と友人のような口をきくと思います。おまけに、北方四島に部隊を配置しておけば、日本への売値も高くすることができます。プーチンは時代を読み、時代を自分の手で動かしたいと思っているものと推察します。プーチンと安倍では、あまりにも役者のレベルが違います。プーチンが、ブロードウェイでロングランしている芝居の主役だとすると、安倍は、下北沢の小さな芝居小屋で、不定期な公演をしている役者みたいなものです。
軍拡を主導したのは、中国ですが、中国の独り勝ちを容認するつもりはないようです。それは、プーチンもトランプも同じ考えなのでしょう。特に、「ならず者」の枠の中では、誰がトップを取るかが大変重要になります。それは、やくざ稼業や暴走族集団を見ていても、よくわかることです。「ならず者」であれば、世界一の「ならず者」になるのが、「ならず者」の共通した願いなのですから、二番手はありません。
先日、ロシアは「ジルコン」と呼ばれるミサイルの実験に成功しました。
ミサイルの実験というと、北朝鮮の専売特許のように報道されますが、ミサイルの実験をしているのは北朝鮮だけではありません。アメリカもロシアも中国も、盛んにテストを繰り返しています。核兵器の実験でも同じです。北朝鮮の実験は数回ですが、数百回もの実験をしている国は、いくつもあります。国連で非難されるのは北朝鮮だけですが、「いじめ」はどんな世界にも存在しているのですから、仕方ありません。「いじめ」というものは、弱い者をいじめることで成り立つのです。だからと言って、北朝鮮が核開発やミサイル実験をすることを喜んでいるわけではありません。ただし、これは、北朝鮮の自由です。
ミサイル防衛システムでは、アメリカが一歩先んじていましたが、「ジルコン」はそのミサイル防衛システムを無力化する可能性があります。「ジルコン」は時速7.000キロの性能を持っていて、潜水艦からの発射が可能です。アメリカには、まだ、この性能に匹敵するミサイルがありません。
NATOのミサイル防衛システムはアメリカ製ですから、今、第三次大戦が始まれば、欧州はロシアのミサイルを防ぐことができません。もちろん、核弾頭が搭載されていなければ、ミサイルだけで戦争が決着するわけではありませんが、大きな犠牲を強いられます。
私は、このブログを書き始めた時、世界は混沌の時代へと向かっていると書きました。
アメリカとソ連の1対1の世界が、ソ連崩壊により、1対nの世界になり、アメリカの衰退により、n対nの世界が生まれ、最終的には世界大戦に向かう危険があると書きました。ですから、軍拡競争は時代の要請でもあります。
世界大戦が、10年後になるのか、50年後になるのか、100年後になるのかはわかりませんが、どこかで決着をつける時期がやってきます。なぜなら、人間は水分と「欲」でできているのですから、仕方がありません。その時、核兵器を使用するかどうか、まだわかりませんが、次の世界大戦では、使う確率のほうが大きいと思います。それは、戦争をするのが「ならず者」の人間だからです。人間の「欲」の裏側は「恐怖心」です。人間は、「欲」にも「恐怖心」にも勝てません。
SFの世界が現実になる可能性も否定できません。
もっとも、日本は、世界に先んじて崩壊していると思いますので、世界大戦の影響は限定的だと思います。もちろん、それが喜ばしいことだとは思っていません。


それでも、プーチン大統領は不幸な星の元に生まれたと思っています。
プーチン大統領の不幸は、彼が持っている自由裁量権にあります。
それは、人間が神であると錯覚できる条件になります。
人間ですから、つい、やりすぎてしまうものです。
そのことは、中国の習近平主席にも当てはまります。
アメリカのトランプ大統領も、「やりたい放題」がしたいと願っていますが、アメリカ大統領の権限も大きなものですが、それでも、トランプは「やりたい放題」が出来ません。
この差は、どこから生まれるのでしょう。
上記の三人は、皆、「ならず者」です。もしかすると、最悪の「ならず者」はトランプかもしれません。トランプは「俺が、ロシアや中国の指導者であれば、誰よりも国の利益を大きくする力を持っている」と信じているかもしれません。
三人の「ならず者」の差は、その国の統治システムに左右されます。
そして、その統治システムの根っ子にあるのが、国民意識です。
では、アメリカやヨーロッパの国々の国民が、高い国民意識を持っているのかというと、そんなことはないと思います。ただ、最終的に責任を取らされるのは、自分達だということを知っている人が多い、ということなのだと思います。国家運営者が間違うことの方が自然であり、彼等に「やりたい放題」をやらせれば、自分達が痛い目に遭うことを知っているからだと思います。彼等は「お上」を信じてはいません。憲法を作ってでも、国家運営者の行動を規制しようという発想が生まれるのも、彼等が「お上」を信じていないからです。ロシアも日本も、国民が支配者を欲しがります。それは、地政学的な歴史に起因するのではないかと思います。
狭い場所で、国々が隣接し、常に他民族との戦争に巻き込まれてきた人達は、「最終的に、責任を取るのは、いつも、俺達だ。俺達が決めるしかないだろう」ということを学習したのだと思います。移民で成り立っているアメリカは、その縮図でもあります。そもそも、豊かな生活をしていたのであれば、新天地を求めてアメリカに渡る必要はありませんでした。責任を取らされ、貧しさに耐えかねた人々が、アメリカに逃げ込んだのです。彼等の根っ子にあるのは「性善説」ではありません。
権力者が悪に走る姿を見続けてきた人達にとって、権力者に「性善説」を当てはめようとする必然性はありません。彼等は「悪さ」をするのが権力者だと思っています。
そういう意味では、中国も権力者の「やりたい放題」に苦しんできた人々が大半ですが、彼等は、今、力で押さえつけられています。彼等が学んだのは「奴らは、やりたい放題のことをやっている。だから、俺達だって、やりたい放題のことをやってもいいのだ」というものです。ですから、中国で共産党の一党独裁が崩壊した時は、民主主義になるのではなく、無法地帯になる危険があります。
民主主義にも「旬」があるのかもしれません。その時を逸したら、民主主義を導入することは至難の業なのかもしれません。それは、日本にも言えます。
やはり、自らの力で民主主義を越える思想を生み出すしか方法はないのかもしれません。


2017-07-03



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