SSブログ

救いようのない愚か者集団 [評論]



ごめんなさい。今日も暗い話です。
昔から暗い話ばかりでしたが、最近は、更に、暗くなっていると思います。
それは、多分、この国の「国力衰退病」が、コロナに背中を押されて、更に悪化するだろうと私の直感が言っているからです。もちろん、私の妄想です。

8月末に、コロナ関連倒産件数が2000件になったというニュースがありました。
これは、東日本大震災時の倒産件数(10年間分)に匹敵するそうです。東日本大震災は地域限定で、コロナは全国規模ですから、多くなるのは自然だと思います。
仮に、1年8カ月で2000件だとすると、月平均では100件になります。
この100件が多いのか少ないのかは見方によって違ってくるのでしょうが、倒産は倒産ですから、何の影響もないというわけにはいきません。

一方。
この1年間、企業の倒産件数の総数が減少しました。
変な話ですが、これも現実です。
コロナ以前は、月に、600件から800件だった倒産件数が、コロナになってから、400件から600件になりました。
この変化の原因は、コロナ以外に考えられません。
単純計算ですが、毎月200件減少したのです。
この数字は何を意味しているのでしょう。
コロナに関係なく倒産していたはずの企業が、この1年8カ月で4000社以上生き延びていることになります。当然、この400件から600件の倒産にコロナ由来の倒産の100件が含まれています。だとすると、生き延びている企業が6000社あるということです。延命措置は、どこかで、必ず、死を迎えます。
もちろん、この倒産予備軍が、時間をかけて平均的に倒産してくれるのであれば、それほど問題にはならないのかもしれません。しかし、ある時期に集中すると、少し厄介なことになります。
これは。
対コロナの特別融資と雇用調整助成金の威力がどれほど大きかったかの証です。
裏返せば、多くの企業が借金漬けになっているということだと思います。
皆さんは、どうやって、借金を返済するつもりなのでしょう。
衆議院選挙が終わり、ワクチンが行きわたれば、或いは、来年の参議院選挙が終われば、特別融資と雇用調整助成金は縮小又は廃止されるものと思います。
それだけでも、倒産は増加します。
倒産が増加するということは、金融機関が不良債権を増やすということです。
特別融資を実施したのは政府系金融機関だけではありません。
コロナ前でも、民間金融機関は青息吐息だったのです。
大丈夫なのでしょうか。

また、雇用調整助成金で失業率は低く抑えられました。
失業率が低いということは、消費者に購買力があるということです。
雇用調整助成金制度が廃止されれば、そのことだけで倒産する企業もあるでしょうが、購買力が減少し、国内経済が失速すれば、人員削減が表面化することになります。
コロナの影響だけではなく、もう忘れているかもしれませんが、政府が70歳定年を推進したことで、この先、中高年サラリーマンの人員削減は加速します。企業は、国の指示に従い、定年の延長をしていたら、会社は潰れます。70歳定年は、労働環境の変化を導く契機になったと思います。これも、国家運営の失敗です。企業は、生き残るために、開き直って、本気で、リストラを推進することになります。
どこの企業でも、中高年サラリーマンは必要とされていません。給料だけの問題ではなく、スキルの問題であり、柔軟性の問題なのです。生産性の低い中高年サラリーマンを抱えていたのでは競争に勝てません。企業は、特に大企業は、あの手この手を駆使し、社員の若返りを進める必要があります。コロナとは関係なく、労働市場には、近い将来、いや、既に始まっていますが、中高年失業者が溢れる現象が出てきます。企業側の本音は、40歳以上の社員は不要なのです。誰もが、40歳から70歳のどこかの時点でリストラされる時代になると思います。年功序列、定年制という国力発展期のシステムを、国力衰退期に使っているのですから、当然、無理が生じます。もう、30年も国力衰退は続いています。これまで、得意の「なあ、なあ」「まあ、まあ」で、やり過ごしてきました。そろそろ、限界です。労働環境だけではありません。「国力衰退」に向き合わなかった、いや、今も、向き合っていないことが、更なる「国力衰退」の背中を押します。「45歳定年」を言い出してバッシングを受けた経営者の方がいますが、彼は、現実を語っただけだと思います。
もう、既に、衰退という悪循環のスパイラルは始まっています。
失業者が増加すれば、消費者の購買力が落ちます。
特に、購買力が大きかった中高年就業者が、失職すれば、購買力は更に落ちます。子供の教育費が払えない人が続出します。将来に備えて、知識を得ようとした子供達は、将来を犠牲にして、生活費を優先させなくてはなりません。そんな大学生も増えました。日本の将来は明るい、なんて思っている人はいません。
購買力が低下し、商品が売れなければ、企業収益が悪化します。
では、この国は、一時的なコロナ有事が終われば、元の成長軌道に戻るのでしょうか。
違います。
日本が戻る先は、成長軌道ではなく、衰退軌道です。
コロナが終われば、薔薇色の未来が待っているわけではないのです。
巨額の財政出動で、衰退が一時的に弱まっただけです。
単純に考えれば、コロナ以上の窮地が待っているのです。
少し、コロナ前の環境を振り返ってみましょう。
数十万社の中小企業が廃業すると言われていました。
政府の政策でも、中小企業の淘汰が計画されていました。
コロナで、一時的に堰き止められていた中小企業の環境が動き出し、大きな流れになる危険はないのでしょうか。
もしも、私が、廃業や倒産という可能性を知っている中小企業の経営者であれば、コロナ終息後を見据えて準備すると思います。特別融資は借りれるだけ借りて、それ以外の補助金を利用するだけして、廃業又は倒産の準備をします。
どんな方法があるかは、具体的にはわかりませんが、きっと、同じようなことを、多くの方が考えると思います。コロナ終息後をターゲットにした、廃業・倒産プロジェクトが多くの中小企業で始まっているのではないかと思います。
日本が「衰退国家」でなければ、こんなプロジェクトは始まらなかったでしょうし、一部の企業が、そんな計画をしていても、日本経済全体に大きな影響は与えなかったと思います。
でも、現実は、「衰退国家」なのです。
先送りされた倒産と計画された倒産と経済縮小による倒産が増えれば、中小企業の倒産であったとしても、大きな負の力になる可能性があります。
これまで、日本の中小企業は手厚く保護されてきました。
コロナ後、政府の中小企業政策は大きく変更されます。
「カネの切れ目は縁の切れ目」と言われますが、コロナで大盤振る舞いをしたために、政府の財源は、コロナ以前よりも更に厳しい環境になります。それは、これまでのように、中小企業の寿命を延命させる政策が打てなくなるということです。
廃業・倒産に最適の時期がコロナ後にやって来るのです。
新陳代謝という意味では、こんな時期があってもいいのかもしれません。
ただ、新陳代謝とは、古いものと新しいものが入れ替わることを意味します。
では、廃業・倒産した企業は、新分野で、新規事業を、立ち上げられるのでしょうか。
そんな新分野・新事業が存在しているのでしょうか。
そこで問題になるが、「衰退国家」であるという現実です。
新分野・新規事業が育たなかったから、この国は衰退したのです。
では、コロナの後であれば、突如として、そんな可能性が生まれるのでしょうか。
それは、無理な相談だと思います。
政府のお偉い先生方は、「中小企業が、新分野に挑戦してくれれば、政府も応援します。そうなれば、日本は、再び、成長できます」と言います。いやいや、それが出来なかったから、日本は衰退したのです。「れば、たら、もし」では結果は出ません。補助金を出せば、成功すると思っている先生方へ「それは違う」と言いたいです。この国を変えるのは、国民の意識であり、国と国民が目的を持てるかどうかだと思います。
中小企業の廃業・倒産が、「衰退国家」の背中を押すことになるほうが、実現性が高いと思います。いわゆる、不幸が不幸を呼ぶという風が吹くのです。
日本の中小企業の大半は、大企業の下請け・孫請けの仕事をしています。
国内の下請け企業が倒産すれば、大企業は、部品を海外から調達することになります。その部品代金は国外へ支払われることになり、日本国内にカネは落ちなくなるのです。それは、日本国内の購買力が減少するということです。
輸出で稼いでいる企業は別にして、企業規模の大小に拘わらず、日本国内の購買力に支えられている企業は、売り上げが減少することになります。当然、身の丈に合った会社にするしかありません。人員削減は必須になります。国力衰退は、次から次へと連鎖します。
国内で部品が調達できなくなって、海外から調達できる企業だけではありません。
中小の金融機関の顧客は国内の中小企業です。融資する国内企業が減少すれば、海外の企業に融資すれば済むという問題ではありません。日本国内の中小企業は、全てとは言いませんが、良識のある会社がほとんどです。海外では、そうはいきません。
「たかが中小企業」なんてことで済む問題ではないと思います。
中小企業の廃業・倒産、中小企業の淘汰の副作用は、一筋縄ではいきません。
多分、日本経済をボロボロにしてしまう可能性だってあると思います。
それが、コロナ後に、津波のように押し寄せてきたらどうするのでしょう。
まさか、こんなことが引き金になるとは思わなかったということが、引き金になる可能性だってあるのです。
この世は、何が起きても不思議ではないのです。
一時的に倒産が増えることもあれば、経済成長がマイナスになるような事態だってあり得ます。しかし、国が衰退している時には、ほんの些細な事でも命取りになる可能性があるのです。逆に、日本の高度経済成長期には、色々なことがあっても、前に進めました。この環境の違いを無視すれば、痛い目に遭います。現実から目を逸らしていて、いいことなど一つもありません。
どうして「国力衰退」を無視するのか、理解に苦しみます。
政府だけではありません。与党も野党も学者もメディアも国民も、皆で無視しています。
つい、「お前ら、皆、馬鹿なのか」と思ってしまいます。私達が、今、最優先でやらねばならないのは、この「国力衰退」を止めることです。
「国力衰退」は他人事ではありません。皆さんの自分事なのです。
皆さんの目の前に出血している人がいます。皆さんは、厄介事に巻き込まれないように、「見て見ぬふり」をしています。でも、その出血している人は、鏡に映っている、あなた自身なのです。これは、妄想ですが、同じことが起きていると思います。

もちろん、これは、悪い方に、悪い方に、予測した時の将来図です。
ですから、この通りになるとは断言しません。
しかし、可能性はあるのです。
なぜ、こんなことになるのでしょう。
それは、目的を失い、国力が衰退しているからです。
衰退国家でなければ、こんな想定は、一笑に付すことができるかもしれません。
日本の課題は、この「国力衰退」なのです。
コロナでも中小企業でもありません。
私達は、この「国力衰退」を正面から議論しなければなりません。
どこかに、そんな議論はあるのでしょうか。
私には見えていません。
この「国力衰退」は、オセロのようにひっくり返すことができません。
緻密な計画を立てて、それを強力に推し進める実行力が求められます。
そのためには、先ず、「国力衰退」を見て見ぬふりをするのではなく、現実として認めることです。
その上で、原因を見つけることです。
そうして、初めて、計画が作れるのです。
地道な作業になりますが、やるしかありません。
ただ、「国力衰退」は結果です。「国力衰退」にも、原因があるのです。いつものように、結果を捻じ曲げるようなやり方では成功しません。
とことん、原因を追究することです。
しかし、問題提起されることもなく、現状認識をすることもなく、まるで、コロナ以外には何の問題もないかのような国家運営が行われているのです。
私には、1億総催眠状態に見えます。皆さんは、そのことにも気付いていません。
きっと、ドン詰まりに押し込まれても、「なあ、なあ」「まあ、まあ」で、皆で仲良く催眠状態を続けることになるのでしょう。
ほんと、救いようのない愚か者集団、いや、「いい人」集団だと思います。
最初に、東日本大震災時の倒産件数(10年間分)に匹敵すると書きましたが、では、コロナ災害の2020年から2030年の10年間で、倒産件数がどれほどの数になるのでしょう。想像もできません。多分、ビックリするような倒産が生まれると思います。ただ、コロナの影響に見えるかもしれませんが、ほぼ、国力衰退倒産だと思います。


2021-10-05



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog