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国家破綻という一択 [評論]



金融崩壊という道筋をつけたのは黒田日銀ですが、今、金融崩壊の仕上げ段階の第二章が植田日銀によって始まろうとしている。なんてことを、素人の私が言っても、何の助けにもなりません。ただ、専門家の意見もいろいろで、「ヤバイ」のか「大丈夫」なのか、よくわかりません。多分、「なんでも、あり」なのだと思います。
金融市場は専門性が高いだけではなく、その守備範囲も広いので、私のような素人には理解できないことばかりです。
ただ、金融分野の異変は、時には、国家存立を危険にするほどのインパクトがあります。
そのために、国には金融を管理する専門の組織があります。
日本の場合、その役目を担っているのが日本銀行です。もちろん、内閣府も財務省も金融庁も深く関与しています。金融は、中央銀行と重要官庁が管理するほどの分野です。
今日は、通貨と金利について、素人目線で考えてみます。素人目線ですから、間違ったことを書く可能性は、非常に高く、読み飛ばしてもらったほうがいいかもしれません。

平穏無事な時には、ニュースになりませんが、最近、「円安」のニュースはよく報じられます。それは、今が平穏無事な環境ではないことを示しています。世界を見渡すと、不穏な空気に覆われている国が至る所にありますし、空気は様々に形を変え、伝播する性質を持っていますので、仕方ありません。
世界から隔絶して存続する国はありません。
例え、国が鎖国政策を取っていた江戸時代の日本であっても、長崎でのオランダとの通商や清国との通商は存在していました。
今は、資金も物資も、世界中を駆け回っています。
国の数だけ通貨が存在しますので、通貨と物資、通貨と通貨を交換する時には、その基準となる指標が必要となり、世界為替市場が生まれました。これは、価値は市場が決めるという資本主義のやり方です。
1ドルと交換する円は150円とするのが、今の為替相場です。
かつては、1ドルが70円台の時代もありましたから、その時代と比べると円の価値は半分になった計算になります。例えば、シカゴに行って、10ドルのハンバーガーがあったとします。以前は700円で買えましたが、今は1500円出さなければ買えません。
欧州の為替専門家の方が、顧客に対して「日本円は、トルコリラやアルゼンチンペソと同じカテゴリーの通貨になった」とリポートしているそうです。トルコリラやアルゼンチンペソは、投資という視点からは、現在、最も危険な通貨とされています。
通貨を取引する基準である為替相場は、誰でも参加できる投資市場になっていて、世界中の資金が取引に参加しています。日本では「FX投資」と呼ばれています。世界中で「FX投資」が盛んになったことで、その資金量は膨大なものになりました。
今は、為替相場をコントロールできる国はありません。それは、資金量が違い過ぎるからです。日本では、未だに、為替介入がニュースになりますが、日本政府がどれほど円買いをしても、数円、数日、よくても数週間の効果しかありません。
では、通貨の価値は、どうやって決まるのでしょう。
最終的には、国の信用度で決まります。
その信用度を計る物差しは多岐にわたっていて、国としての総合的な価値で決まります。それを、アメリカドルを例に見てみます。
例えば、トランプが南北戦争を始めたら、世界でドルを使う人は激減します。
例えば、中国が世界最強の軍事力を手に入れて、アジアやアフリカを支配下に置き、アメリカが守りに入ったら、ドルは敬遠されることになります。
例えば、アメリカで大恐慌が起きたら、アメリカドルの信用は失墜します。
例えば、アメリカが移民政策を破棄し、著しい人口減少国になったら、ドルは世界の基軸通貨ではなくなります。
通貨の価値を決めるのは、国としての総合力ですから、経済で、安全保障で、人口で、社会の安定性で、何らかの疑義が生まれると、価値が下がることになります。
もちろん、「通貨安」が起きても、私達の生活に影響がないのであれば、通貨がただのステータスに過ぎないのであれば、問題はありません。
でも、「通貨安」は、私達の生活を直撃します。
その現象が、今、皆さんの身の回りで起きています。
仮に、1ドル120円が安定した為替相場だとすると、1ドル150円になれば、輸入物価がその分高騰します。ウクライナ戦争で資源不足が起きているだけではなく、「円安」の影響で石油の買い入れ価格が円ベースで高騰した結果、電気代が私達の生活を圧迫しています。
少し極端な例を考えてみます。
仮に、1ドルが、500円に、1000円に、10000円になったら、電気代は5倍10倍100倍になります。仮に、今、電気代が1万円の家庭で、電気代が5万円10万円100万円になったら、私達は、電気のない生活をしなければなりません。
私達の生活を支えているのは電気だけではありません。食料も輸入に頼っています。食生活も大幅に変えなければ生きていくことができなくなります。
「円安」は、国民生活を破壊し、国家存亡の危機になり得るのです。
今、私達の国は、人口減少、経済停滞、国力衰退というトレンドが進んでいます。国の総合力は日々、衰えているのです。
国の総合力の衰えという現状の、先にあるのは、「円安」です。
「お先真っ暗」だと言っても過言ではないと思います。

衰退国家にとって、金融市場の危険要素は「為替」だけではありません。
「金利」も大きな危険要素です。
先進国で、未だに、マイナス金利政策を続けているのは、日本だけです。
植田氏は、日銀の総裁に就任して早々にYCCの許容範囲を広げたことで、「日銀も政策変更するのか」という観測が流れましたが、既に落ち着きました。短期的には、金融緩和政策は継続されることが確認されています。
植田日銀にたいする評価は、まだ出ていません。従来の政策継続か、出口に向かう政策変更かが見えていません。植田総裁からは、どちらの発言もあります。
インフレ率は、日銀の想定を超えていますので、インフレを抑えるために、政策変更をすることは自然なことだと思いますが、政策の変更は出来ていません。
なぜ、日本だけが政策変更できないのでしょう。
それは、金融を引き締め、金利を上昇させれば、副作用が大きいからだと言われています。でも、多くの国が副作用を承知で金利を上げています。と言うことは、日本の副作用は他国に比べて大きくなると考えられているからだと思います。
ただ、素人の私には、どこに本物の問題があるのかがよくわかりません。
素人の勝手な想像を書いてみたいと思います。
日銀は、日本国債を約600兆円保有しています。600兆円という数字は、国家予算の5年分に当たるほどの大金です。
仮に、長期金利が3%になったとすると、日銀は、日本国債という不良債権を600兆円も抱え、時価決算をすれば債務超過になることは容易に想像できます。ただ、植田総裁は、一時的に債務超過の状態があっても問題ないと言っています。それが正しい判断なのかどうか、私にはわかりません。もちろん、植田さんは、「ヤバイ」とは言わないでしょう。
債務超過を抱える中央銀行は、国内だけではなく国外に対しても信用問題になります。それは、国の信用を落とすことになります。国際的な信用失墜は通貨に影響します。
長期金利が上昇するということは、国債だけではなく、地方債も社債も住宅ローンの金利も変わるということです。それは、地方自治体や企業の資金調達を難しくし、景気を下押しします。そもそも、金融引き締め政策は、加熱するインフレを抑制するために、意識的に景気を下押しする政策ですから、当然のことです。
住宅ローンの金利が高くなれば、住宅の販売にも影響します。ただでさえバブルだと言われている住宅市場に大きな影響を与えます。また、住宅ローンを組んでいる人の大半が変動金利を選択していますので、短期間で、返済金額も増えます。
中でも、最も影響を受けるのが国家財政です。
国は、新規国債と借り換え国債を合わせると、毎年、約100兆円の国債を発行していると言われています。毎年です。今は、ほぼ無利息に近い金利で調達できていた国債が、多額の金利負担をしなくてはならなくなります。仮に、金利が3%になると、毎年、3兆円の金利負担が発生します。これを10年続ければ、毎年、30兆円が金利で消えてしまいます。そんな金利を払い続けることは不可能です。
しかし、日本は、国家運営を借金で賄っています。借金をしなければ、国が運営できません。国が運営できないということは、医療、年金、介護、生活保護、障碍者手当等々の社会保障費が支払えないということです。
ですから、金利が上昇するということは、社会に直接影響が出るということです。
少し、フラットに考えてみると、国の借金運営も、日銀の国債購入も慣れてしまっていますが、本来は、禁じ手です。副作用で窮地に落ちることもあります。
正常化することはいい事ですが、金融緩和政策をやめて、金融引き締め政策に転換するということは、日銀が国債を買わなくなるということです。ここにも大きな問題があります。

日銀が買ってくれなくなったら、誰が、国債を買ってくれるのでしょう。
金融機関です。
では、金融機関は、その資金を、どうやって調達するのでしょう。
国民の預貯金、企業の内部留保金です。
では、国民の預貯金や企業の内部留保金は減らないのでしょうか。
現在、国民の金融資産は2000兆円だと言われていますが、この2000兆円は、増えるのでしょうか、それとも、減るのでしょうか。
長期的に見れば、減少します。それも、大幅に減少する時が来ます。
それは、相続税だけを考えても、明らかだと思います。
国民金融資産の2000兆円の6割は60代から上の世代の資産です。今後、30年で、どれほどの相続税税収が増えるのかは知りませんが、明らかに、国民資産は減ります。
相続税は、増税されていますし、まだ、この先も増税されます。
今の勤労世帯は、生活費を賄うことに手一杯で、貯蓄ができません。20代から50代の貯蓄率は、とても低く、将来に不安があります。その人達が、高齢者になる日が来ます。30年も経てば、国民金融資産は、様変わりしていると思います。
金融機関は、どこかの時点で、国債購入の資金が調達できなくなります。
ところが、国債の発行額は、年々、増加しています。
いずれ、国債の買い手がいない環境が生まれます。
今は、究極の「先送り」をやっている最中だと思います。
ほんとに、金融だけではなく、この国のあらゆる分野で、「先送り」があふれています。これまで、「先送り」で「何とかなってきた」ので、「〇〇の一つ覚え」になってしまったのでしょうが、「先送り」では「何ともならない」ことだってあるのです。
残念ながら、金融分野で「先送り」はできても、「なし崩し」をする方法がありません。
いや、1つ、あります。
第二次世界大戦の敗戦後、政府は、資産税で、強制的に借金をチャラにした経験があります。あれも、立派な「なし崩し」です。あの時は、既に、国が壊滅的な状態でしたから、騒ぎは大きくなりませんでした。あの時と同じことを今やれば、国民には暴挙にしか見えないと思います。敗戦後と同じになるということは、国家破綻であり、国民の皆さんは「飢える」ということですが、皆さん、大丈夫ですか。
「老後資金を貯めてください」と推奨しておいて、ある日、突然、その虎の子を、資産税で根こそぎ強制的に徴税されるのです。「国家存亡の時ですから、自助でお願いします」と言われます。ほんとに、皆さん、大丈夫なのですか。「ふむ、ふむ」では済みません。私達は、毎日、食べなければならないのです。
この国が破綻するのは、予定の行動にしか見えません。今は、破綻という最終局面にむかって「先送り」をしている時代なのです。
私達の国は、総力を挙げて、一日でも「先延ばし」が出来るように力を尽くしています。政府は「先送り」こそが国家運営だと思っているのでしょう。
でも、「先送り」は「先延ばし」に過ぎず、どこかで、力尽きる時が来ます。国民の皆さんが持っている将来不安は、皆さんの直感がその事を知っているからです。
この30年間、いや、50年間、日本は、国家運営に失敗したのです。
後世の人達から見れば、一目瞭然なのでしょうが、渦中にいる私達には、見えていません。破綻して、初めて、「あちゃー」と言うことになります。
政府・日銀は、「何も心配ない」「大丈夫です」と言います。そりゃあ、政府・日銀が「危ないです」「ヤバイです」なんて言ったら、その時点でクラッシュが始まりますので、口が裂けても悲観的な発言はしません。なぜか、民間の専門家の皆さんも、口を濁します。「ヤバイ」ことがわかっていて、口にチャックをしているように見えてしまいます。多くの素人が「ヤバイ」と感じるものは、大抵、「ヤバイ」のです。
私達が、正しい判断をするしかないのですが、金融は難しすぎます。
「カクカク、シカジカで、こうなります」と確定的なことが言えれば楽なのですが、それが出来ません。
それでも、「危険が一杯」であることは否定できません。
「先送り」の結果が「国家破綻」という一択しかないのであれば、心構えは必要かもしれません。心構えなんて、何の役にも立たないのでしょうが、多少の気休めにはなります。


2023-12-04



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