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飢餓への一本道 [評論]



私は、これまで、国力衰退を、諄いほど、話題にしてきました。この先も、この課題から逃れることは出来ないと思っています。
数字を示して、いろいろな事象を指摘してきたように、衰退の事象は至る所に出ているのですから、否定できない現実として認めるしかないと思います。
当初、きっと、皆さんには、私が変人に見えたと思います。いや、「大人の対応ができない馬鹿な奴だ」と思われていたかもしれません。
「わかっていても、口には出さない。それが大人」という常識を全否定するつもりはありませんが、国力衰退に目をつぶることが「大人の対応」だとは思えません。逆に、「大人の責任放棄」に見えます。「なあ、なあ、まあ、まあ」や「見て見ぬふり」は楽ですが、それは、「逃げ」だと思います。
胸を張って「俺は変人じゃない」と言う度胸はありませんが、自分でも「ひょっとすると、俺、変かも」と思うこともありますが、国力衰退に関しては、間違いなく現実なのだという確信があります。確かに、大人の対応は苦手ですが。
ただ、少し、空気は変わってきたように思います。
最近、「衰退」と言う言葉を多く見るようになりました。
突然、「大人の対応」を忘れた人が増えたのでしょうか。
そうではないと思います。
「見て見ぬふり」をし、「俺には関係ねぇ」と思い込んでいた皆さんも、さすがに、「これは、ヤバそうだ」と思ったようです。
GDP4位転落のニュースだけが原因だとは思えません。
多くの方が、漠然とではありますが、この国の衰退を肌で感じているからだと思います。
確かに、1つ1つの事象は小さなことかもしれませんが、これだけ広い範囲で衰退の現象が表面化してきているということは、全体が腐り始めているということだと思います。私達に見えるのは氷山の一角にすぎません。海に沈んでいる部分の衰退は、途方もなく大きく、その氷山が至る所にあるのです。人間は、いや、動物は、危険を察知する本能を持っています。本能という点では、衰えたとは言え、人間も動物です。どうしても、感じてしまうものだと思います。これは、理屈ではありません。
多くの方が「ヤバそう」と感じるものは、実際に「ヤバイ」のです。
少しずつですが、現状認識が出来たことは歓迎すべきことです。
現状認識が広がることは、政府にとっては不都合なのでしょうが、国民にとっては、悪いことではありません。これは、岸田総理の唯一の功績なのかもしれません。
ただ、現状認識は、出発点に過ぎません。
もちろん、スタート地点にすら立てないよりはいいと思いますが、この先には、原因究明と対応策の立案という難問が待っています。これが、とても、厄介です。
30年かけて現状認識が出来たとして、この先、30年かけて原因を見つけるのでしょうか。でも、その先には、30年かけて対応策の立案が待っています。対応策の実行に30年必要だとしたら、更に、その効果が出るまでに30年必要だとしたら、150年の時間が必要だということです。
私達に、そんな時間はあるのでしょうか。
無い、と思います。

今日も、小さなニュースですが、衰退の事例を見てみます。
世界的に権威のあるイギリスの科学誌『ネイチャー』が、「日本の研究は、もはや世界トップクラスではない」という記事を掲載した、というニュースです。
研究・開発・実用化には、多くの時間が必要ですが、研究がなければ、開発も実用化もありません。研究は、経済の源なんです。
今の時代は、世界に売れるものを生み出さなければ、利益を生み出しません。
私達は、他国が開発したものを買うだけの消費者になります。
しかし、経済が衰退すれば、購買力は生まれませんので、消費すらできなくなります。
研究が成果を出すまでに、10年、20年、30年かかるとすると、10年先、20年先、30年先の日本は、今よりも更に衰退するということです。
つまり、日本は、既に、夢も希望もない国になっているのです。
これが、現実です。
では、今日から、明日から、研究成果が出せるのかと言うと、環境と人材と資金を調えなければ実現しません。
では、環境と人材と資金は、どうすれば手に入るのでしょう。
自然発生的に実現するようなものではないと思います。
必要なのは、私達の意志なのだと思います。それも、多くの人の強い意志です。
私達とは、国、企業、個人、という総合的なものです。しかも、その意志を共有する必要があります。バラバラでは、成果は得られません。
この国に、そういう環境、意志はあるのでしょうか。
ありません。
ないから、衰退しているのです。
人間の行動の原点は「意志」だと思います。
その気もないのに研究などしないものです。
この国を覆っている空気は、「自分さえよければ」と「俺には関係ねぇ」です。
そもそも、意志のない人が、「その気になる」なんてことはありません。
しかも、求められているのは総合力です。
何が欠けているのでしょう。
そうです。この国には「目的」がないのです。
この30年間、国力は衰退する一方の中で、ノーベル賞受賞者が多く出ました。
しかし、ノーベル賞受賞者の多くが老人でした。ノーベル賞は、過去の業績を評価するものですから、老人の受賞が増えるのは当然です。
彼等は、「世界に追いつき、追い越せ」という「目的」があった時代の功績を認められたのです。明治維新の時の「列強の植民地になりたくない」という目的は、それほど多くの国民に共有されていませんでしたが、敗戦後の「世界に追いつき、追い越せ」という「目的」は、多くの国民に共有されました。そんな国民の中の、特別に頑張った人達がノーベル賞を貰いましたが、多くの国民がノーベル賞を受賞してもいいくらいの成果を挙げ、日本は繁栄したのです。アメリカを抜くことは出来ませんでしたが、世界第2位の経済大国になったことで、その目的は終わりました。
今の日本に、目的はありません。
ですから、この先、日本人のノーベル賞受賞者は出なくなります。

上記のニュースは、減少した、というものですが、増加したものもあります。
エンゲル係数が上昇したことはご存知だと思います。先進国1位のイタリアの数字は知りませんが、イタリアを抜いてナンバー1になったかもしれません。
「食」が手に入る内は、大丈夫でしょうが、全国的な数値はありませんが、「食」に苦しむ人が増えています。週に何日かは食事を抜いているという人が増えているのです。「私達の未来に待っているのは食糧難ですよ」と何度も指摘していますが、既に、それを体験している人が存在しているのです。今は、1万人なのか、100万人なのかわかりませんが、食料が手に入らない人が1000万人に、1億人になる日がやってくる可能性が非常に高いのです。そんな人の中に、育ち盛りの子供もいます。
子ども食堂の数が、2022年度に、7331ヶ所になったというニュースがあります。
2016年には、319ヶ所でした。当時、私にも出来ることはないかと調べたことがあります。行動には結び付きませんでしたが、関心は強かったと思います。この8年間で20倍以上に増えたのです。これは、驚異的な増加率だと思います。
ただ、物価高と寄付の減少が運営を困難にしているという話もあります。
子ども食堂が、フードバンクをどれほど利用しているのか実情は知りませんが、フードバンク自体の運営も厳しくなっていると言われています。
このフードバンクという言葉の認知度がどのくらいなのかは知りませんが、需要増と供給減で、世界的に運営が厳しくなっているという話もあります。
フードバンクの歴史は、それほど古くはありません。
公的な機関ではなく、民間の有志によって運営されています。子ども食堂もそうですが、フードバンクも寄付とボランティアで運営されています。
フードバンクというお店があるわけではなく、市民が「食料を下さい」と言って訪ねる場所でもありません。行政や指定の団体が資格審査をして紹介するという方法で配布先を決めているそうです。
フードバンクは。1967年にアメリカで始まったと言われています。
日本で設立されたのは、2002年だそうです。
まだ、20年の歴史ですから、認知度は高いとは言えませんが、食料が手に入らない人にとっては、有難い存在です。
ただ、子ども食堂やフードバンクがニュースになるというのは、決して、歓迎できる状況ではありません。
民間施設であることと歴史が短いこともあって、全国的な、まとまったデータが手に入りません。メディアが、取材した個別のフードバンクの情報が存在するだけです。
そんな情報の中に、最近は、フードバンクの需要が増えたというニュースも散見されます。また、配布する食料の入手に困っているというニュースもあります。
日本のデータではありませんが、イギリスのフードバンクの苦境がニュースになっています。先進国の中で、衰退国家の先頭を走っているのが日本ですが、日本を追っているのがイギリスだと思います。
そんなニュースを転載しておきます。
「英国民の7人に1人に当たる約1130万人が昨年に貧困のため飢えに直面したとする調査を、英フードバンク慈善団体トラッセル・トラストが28日公表した。社会保障制度の機能不全と、緩和の兆しが見えない生活費危機が原因とした。
英国の経済規模は世界6位だが、ほぼ全労働者の賃上げ幅がインフレ上昇に追いついておらず、1年以上にわたり圧力にさらされている。
トラッセル・トラストは全英1300カ所でフードバンクを運営し、3月までの1年間に過去最多の300万食を提供。これは前年から37%増加し、5年前の2倍を超える水準だという」
イギリスでは、ホームレスの増加も問題になっています。それは、イギリスには賃貸住宅が少なく、その賃貸料が上昇しているために、家賃を払えない人が増え、ホームレスが増えているそうです。
住む場所を失い、食料を買う資金もない、俗に言う「貧乏人」が増加しているのです。もしかすると、その点では、日本はイギリスに追い越されてしまったのかもしれません。
でも、日本の貧困化も進みますので、イギリスを追い越す日も近いのかもしれません。
国力衰退というトレンドは、貧困化を生み、食糧難に、そして、餓死に向かいます。
貧困化と食糧難は、もう、芽を出しています。早晩、貧困化と食糧難は、その範囲と深度を大きくし、餓死が日常になる日を迎えることになります。
これが、国力衰退という名の、一本道です。
餓死の世界を迎えた後では、そこから脱出するのは容易ではありません。
予見できる今、行動を起こす必要があると思います。
もう、得意の「先送り」では、ドツボに直行するようなものです。
私達は、大変危険な岐路に立っているのです。
どうか、行動してください。
もう、不平不満や文句を言ったり、ニックネーム遊びをしたり、非難、批判をしたりしている場合ではないと思います。
このままでは、崩壊を止めることは難しいと思います。
行動する時だと思います。
なんてことを、このブログで何度言及しても、どうすることも出来ません。
それでも、他に方法はないのでしょう。
皆さん、ほんとに、このままでいいのですか。
どうか。
言葉の定義をしてください。
責務を明確にしてください。
目的を持ってください。
そして、国力衰退を止めてください。
皆さんには、それが出来るのです。いや、皆さんにしかできません。


2023-12-02



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