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検討します、注視します [評論]



イギリスのガス電力市場監督局は、家庭用エネルギー料金が10月から80%引き上げられ、平均で年額3549ポンド(約570,000円)になると表明した、というニュースがありました。1カ月では約48,000円です。1年前(月額約10,000円)と比較すると5倍になったそうです。
また、今後の予測として、来年の1月には、700,000円(月額で58,000円)になると言われています。
9月の調査によると、イギリスのバーガーショップのフィッシュバーガーセットが3,000円だったそうです。ランチに3,000円出せる人は多くないと思います。バーガーショップの営業は大丈夫なのでしょうか。
インフレは、イギリスだけの問題ではありません。世界中がインフレです。
以前に、「電気料金が10倍になったら」という試算を書いたことがありますが、イギリスでは、それが現実になりそうな環境になっています。イギリス庶民は、生活防衛に必死になっているものと思いますが、生活防衛には限度があり、生活が破綻する人が出てくるものと思います。年金生活者である私の場合、日常的に切り詰めた生活をしていますので、生活防衛策は多くありません。日本で、仮に、電気料金が5倍になれば、私には食料品の購買を減らす選択肢しか残されていません。3食を2食に、2食を1食に減らすしかないと思います。
イギリスでは、ジョンソン英首相の後任を選ぶ与党保守党の党首選が行われましたが、その最大の争点になったのが減税でした。
欧州ほどのインフレにはなっていませんが、日本の世論調査でも、国民が政府に求める政策の一番目は物価対策だったそうです。

世界中の国の国民に多大な影響を与えているエネルギー価格。
ただ、国によって、その影響は違います。
エネルギー価格は、庶民の生活に影響を与えるだけではなく、産業の基盤ですから、先進国ほど大きく影響を受けます。
また、先進国の国民は、電気・ガス・水道は「あって当たり前」の生活に慣れていますので、貧しい国の国民に比べれば、大きな影響を受けています。
しかし、もう少し視野を広げると、食糧価格の高騰が世界の混乱を招く状況になっています。
ウクライナ戦争で食糧供給に問題が出ただけではなく、多くの国で水害と旱魃が食糧生産に黄信号を出しています。特に、中国で天候不順による食糧不足が現実化すると、中国政府は爆買いをしますから、世界から食糧が消えてしまいます。
後進国の庶民にとっては、電気・ガスよりも食糧価格のほうが深刻です。
ただし、もっと深刻な事態は、価格ではなく量です。
国連が、貧困国への食糧援助をしていますが、価格の高騰により買える量が減り、援助のレベルを落としています。この先、もしも、カネを出しても食糧が買えない状況になれば、貧困国への食糧支援そのものができなくなります。

国連世界食糧計画(WFP)が世界の飢餓人口は最大8億2800万人に達すると警告した、というニュースがあります。世界人口は80億人ですから、1割の人が食糧難に直面しているということです。
その原因は、4つあるそうです。
1. 継続的な紛争:飢餓人口の6割が戦争と暴力に苦しむ地域に居住している。
2. 気候変動:人命、農作物、生活が破壊され、人々の生活それ自体が地域ごと破綻する。
3. COVID-19:物資と資金の停滞と流動化が、飢餓を前例ない水準に押し上げた。
4. コスト上昇:人件費、食糧費など、あらゆる場面でコストが過去最高となった。

国連世界食糧計画(WFP)の警告には、電気・ガス料金という言葉は一度も出てきません。それは、電気・ガスでは飢餓を防げないからです。
世界規模で地球を俯瞰してみると、価格高騰、戦争、紛争、気候変動という現象が顕著になり、それが食糧不足を招いています。
世界各地の旱魃も、数百年に一度と言われるような旱魃になっています。
妄想ですが、私には「不幸の神様が世界総会を開こうとしている」ように見えます。
人間にとって最も大切なものが生命です。しかし、世界中に生命の危険が見えます。
これは、世界の潮流が変わろうとしている証なのではないでしょうか。
私には、世界が、本物の混沌と騒乱の時代へと向かっているように思えてなりません。

日本でも、各種商品が、値上げラッシュの様相を呈していますが、企業収益、企業内部留保、税収、等々が増加しています。まるで、好景気がやって来ているような現象です。
日本って、好景気なのですか。
どう贔屓目に見ても、そのようには見えません。
線香花火が燃え尽きる時、最後に、一瞬だけ、強い光が出ます。その後に、火の玉がポトリと落ちます。
私は体験がありませんが、人が死ぬ時、一瞬、平穏が訪れると言われます。
もしも、それが自然の摂理だとすると、今の疑似好景気は、日本崩壊への最後の通過点なのかもしれません。
しかし、岸田政権は、危機感もなく、アフリカへ4兆円の支援をすると言っています。
理解不能です。
自国の国民は、物価対策を求めているのです。
減税であれ、補助金であれ、給付金であれ、財源が必要です。また、借金ですか。
そんな中、防衛費の大幅増額もされます。これは、増税ですか。
高齢者の増加で社会保障費は増える一方です。借金ですか。
恒例となってしまった補正予算も、大盤振る舞いです。借金、借金、借金。
岸田政権が、何をしようとしているのか、私には理解できません。
財務省が、「匙を投げる」ほどの手詰まりなのでしょうか。
この30年間で、数万点の商品が値上げされた時代があったでしょうか。
初めてです。
これは、時代が一歩前進したことを示す現象です。
どの方向へと前進したのでしょう。
この国の、これまでの動きは、そのトレンドは、国力衰退です。
では、値上げラッシュは、このトレンドを変える動きなのでしょうか。
違うと思います。
国力衰退というトレンドを加速させる方向へと前進したと捉えるのが自然です。
アフリカ諸国を支援することは間違っていません。しかし、政府がやるべき仕事は、この国を、4兆円でも40兆円でも支援できる国にすることです。衰退する一方の国がやることではありません。これは、本末転倒です。
慌てて防衛費の増額をしなければならなかったのは、これまでの自民党政権の失政が原因です。そのことを国民に謝罪した上で、国民に「国防に対する意識」を持ってもらうための方策を講じた上で、防衛費の増額はするべきだと思います。
数十年前から、少子高齢化の社会が来ることはわかっていました。何一つ対応しなかったことを明確にし、その原因を追究し、揺るぎない原則を打ち立てることで、この先、苦しい生活を強いられる国民の理解を得なければなりません。
国家運営費の半分を借金に頼っている異常事態を、平常だと思っている異常に気付く必要があると思います。
どれをとっても、国が本来の責務を果たしていないことが原因です。
そのことに気付くことから始める必要があります。
今の総理大臣は、メモ用のノートを片手に、銀座の高級クラブで、「検討、検討」と笑顔を振りまきながら、借金に頼り、カネをばら撒いている愚か者にしか見えません。
もちろん、総理大臣の愚行の責任を取るのは、国民の皆さんです。
岸田政権が発足してから、そろそろ1年になりますが、国のために、国民のために、岸田政権は何をしたのでしょう。
「謳い文句」、「大風呂敷」、「空手形」、「検討します」以外に何かやったのでしょうか。
政界遊泳術では優れた手腕があったのでしょうが、「なあ、なあ」「まあ、まあ」術には秀でているようですが、岸田さんの政治家としての信念は何なのか、聞いてみたいです。もしかすると、「皆さんと、うまくやること」という答が返ってくるのかもしれません。確かに、多方面に「いい顔」をすることは上手ですし、この国では彼のような調整役は有能な人材の部類に入るのかもしれません。でも、失敗のツケは国民に回ってくるのです。
世界の激動を目の当たりにすると、岸田さんの無能ぶりが際立ちます。多分、今が昭和40年だったら、岸田さんは名宰相と呼ばれていたかもしれません。
しかし、岸田以外に誰に任せたらいいのか、と問われると、答がありません。
と言うことは、総理大臣の資質の問題ではないのだと思います。
何度も書きますが、国民次第なのだと思います。
国民の皆さんは、安全保障に無関心です。
安全保障は戦争に特化した概念ではありません。エネルギーも食糧も水も安全保障の大きな要素です。国民生活を守るということは、それらのものを守るということです。そのことを、国民が意識することで、国のあり方は違ったものになります。「国民生活を守る」ということは、国民の皆さんが、安全保障に関心を持つということだと思います。
しかし、この国には「目的」も「責務」もありません。だから、国民の皆さんが、そのことに気付く条件が満たされていません。


2022-10-01



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