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この国を蘇らせる力 [評論]



少し変わった世論調査のことを書きます。
「あなたは、どの政党を支持しますか」という調査ではありません。
「あなたは、今の政治に変化を求めますか」という調査です。
この調査の目的は何だったのでしょう。
野党の奮起を促すのが目的だったのかもしれませんが、質問の文言を無視すれば、行き詰った政治環境という今の時代に相応しい質問だったと思います。
調査をしたのが、反政府運動の先頭に立っている朝日新聞だったことも、とても斬新な調査だったと思います。朝日新聞の記者は、「いまの政治について聞いてみたところ、有権者の複雑な思いが表れる結果となりました」と言っています。傲岸不遜という言葉が似合う朝日新聞社が路線変更するとは思えませんが、どんな対応をするのかは興味あります。

質問。
今の政治について、「あなたは、大きく変わって欲しいと思いますか」、それとも「それほどではない、と思っていますか」というものです。とても、不思議な質問です。まさに、曖昧文化ならではの質問だと思います。
「大きく変わってほしい」と答えたのは52%。
「それほどでもない」が44%です。
朝日の解説では、「大きく変わってほしい」が「それほどでもない」を上回ったことに注目しています。2019年の調査では、47%と43%だったそうです。
47%と43%の差に、52%と44%の差に、意味はあるのでしょうか。
私には、国民の皆さんが、2019年も、2022年も、「なあ、なあ」「まあ、まあ」と言っているように聞こえます。
そもそも、国民の皆さんは政治に関心はありません。「お上」は「お上」、「下々」は「下々」だと思っています。「俺には関係ねぇ」ことについて聞かれても困ります。「ふむ、ふむ、どっちでもいいよ」と言っているのだと思います。
質問が、そもそも、曖昧です。
「大きく変わる」とは、どういうことなのでしょう。
「それほどでもない」って、どう解釈すればいいのでしょう。
つまり、質問をした朝日新聞にも、調査に答えた国民にも、問題意識が無いということなのではないでしょうか。両者共、実に、「日本らしい」対応だったと思います。

次の質問。
自民党に対抗する勢力として、いまの野党に「期待できますか」「期待できませんか」
       期待できる   期待できない
全体       13%      80%
18~29歳    20%      74%
30代      18%      74%
40代      12%      84%
50代      13%      81%
60代       7%      89%
70歳以上    13%      78%
この質問では、明確な答えが出ています。
質問を、「期待できますか」「期待できませんか」から「存在価値がありますか」「存在価値はありませんか」と置き換えたとしても、それほどの差は出ないと思います。もちろん、「いい人」ばかりですから、これほどの極端な差は出ないでしょうが、30%対70%くらいの結果は出るのではないかと思います。
しかし、逆に、「自民党政治に期待しますか」と問えば、8割の方が「YES」とは言わないと思います。この調査は、既存政党では、この国は蘇らないということを示していると思います。このブログで、何度も指摘しているように、日本には新しい政治集団が必要なのです。それは、右でも左でもありません。口先ではなく、実際に「国民生活を守る」ための政治集団が必要なのです。過去の、現在の、延長線上に、この国の未来はないということを認識しない限り、新しい政治集団という発想は生まれません。今は、そういう時代なのです。

この世論調査をした朝日新聞社は、この結果を見て、何度も、真剣な議論したものと推察します。どんな議論があったのか、どんな結論が出たのかは、私達にはわかりません。
でも、今の日本の空気は、当然のことですが、朝日新聞社のある場所にも、充満しているものと思います。
その空気とは「曖昧」という名の空気です。
原因の追究をしようとしたとは思えません。もっと言えば、原因の原因、原因の原因の原因を追究したとは思えません。
結果に、どう対応するのか、結果を捻じ曲げるためには、どうすればいいのかが議論されたのではないかと推察します。結果を捻じ伏せるという思考が、今の日本人の思考のトレンドにまでなっていると思います。もしも、この推測が正しいとすると、朝日新聞社の皆さんは、総力を挙げて非難している自民党政権と同じことをやっていることになります。
朝日新聞社は、いや、朝日新聞社も、変われないと思います。
これでは、国力衰退という泥沼から逃れることはできませんし、ますます、泥沼化することになります。
私は、朝日新聞社の皆さんが、どのような共通思想を持っているのか、知りません。
もしも、その思想が、戦前の反省から生まれているとすると、「反政府」が基本的な思想なのかもしれません。これも、結果に対する対応です。
もしかすると、もともと、日本人の思考は「結果対応」が基本だったのかもしれません。大化の改新や明治維新の短い期間だけ、「原因対応」があったのだと考えると、「結果対応」は致し方のないことなのかもしれません。
しかし、この国は、今、大化の改新や明治維新が必要な時代を迎えています。
朝日新聞社は、社員の皆さんは、そのことに気付いているのでしょうか。
朝日新聞社に勤務する友人はいませんが、朝日新聞社には優秀な方が大勢いると思います。私のような負け組と違って、彼等は、優秀な知力を持っていると思います。そんな皆さんが、どうして、時代認識を誤っているのか、不思議で仕方ありません。朝日新聞社では、まだ、学生運動最盛期の空気が残っているのでしょうか。ジャーナリストの皆さんに求められているのは、現実認識と時代認識なのではないかと思います。しかし、私には、皆さんが、まだ、昭和を生きているように見えてしまいます。
朝日新聞の主張は、左翼系の野党の皆さんと同じような主張が多いと感じますので、両者の共通項は「反政府」なのかもしれません。いや、「反政府」が目的になっているように見えてしまいます。政府の瑕疵を見つけて、批判し、攻撃することがジャーナリストの使命なのでしょうか。皆さんには、国民生活を守るという使命はないのでしょうか。いや、「反政府」に徹すれば、国民生活は守れると信じているのでしょうか。もちろん、政府に迎合しろとは言いません。私達が目を向けなければならないのは、政府でも反政府でもありません。国民生活を守るために、国が衰退する原因を見つけて対処することです。
とても、違和感があります。
今、求められているのは、学力でも知力でもなく、そのことに気付く感性が求められているのではないかと思います。
この世論調査を担当した朝日新聞社の方は、今の政治が、「大きく変わって欲しい」と思っていると答えた52%に注目していますが、「大きく変わる」という内容を提示することなく、「大きく変わって欲しい、と思いますか」と問えば「ふむ、ふむ」と答えるのです。
もしも、52%ではなく82%を期待しているのであれば、もっと具体的な質問をする必要があります。
朝日新聞社の皆さんが、この国を共産主義国にして、日本の「人民日報」になりたいと思っているのであれば、「アメリカのポチをやめて、中国のポチになりたいと思いますか」という質問をすれば、国民は明確に答えてくれると思います。
国民の皆さんの基準と、朝日新聞社の基準が異なることを無視して、「52%は、凄い数字だ」と喜んでいるのは、ただの「我田引水」にすぎないと思います。
これも、曖昧の副作用です。
もちろん、自民党政権が国家運営に失敗していることは、私も同意見です。
でも、「反政府」の先には何があるのでしょう。
共産主義政権であれば容認できるのでしょうか。
共産主義政権と、また、二人三脚をするのでしょうか。「人民日報」が目標なのですか。
それ、違うと思います。
朝日新聞社は、今日からでも、民主主義の旗手になれる存在です。いや、それこそが、朝日新聞社の使命だと思います。
政治家の勘違いも、ジャーナリストの勘違いも、国民の勘違いも、全て、目的と責務の欠如から生まれている勘違いだと思います。
朝日新聞社がジャーナリズムを続ける目的は、何なのでしょう。
「反政府」が目的になれるのでしょうか。
そうは思えません。
目的がないから、勘違いしているのではありませんか。
目的がないのは、言葉の定義が為されていないことから生まれています。
先ず、言葉の定義をしませんか。
そして、国の責務と国民の責務を明確にしてみませんか。
そうすれば、自ずと、目的は生まれます。
仮に、「子供達の未来を守る」ことが目的だとしてみましょう。
国は、政府は、その目的を実現するためのシステムとして存在するだけです。
政府が、民主主義政権であろうと、共産主義政権であろうと関係ありません。
「親政府」である必要も、「反政府」である必要もありません。
私達の目的は、「反政府」ではなく、「子供達の未来」を守ることです。
「子供達の未来を守る」ための最大の仕事が、国力衰退を止めることです。

朝日新聞社の皆さんにお願いです。
この国では、今、貧しい人が増え続けています。
それは、自民党の、総理大臣の、せいなのでしょうか。
もちろん、彼等にも責任があります。
しかし、原因は、もっと深いところにあります。
どうか、原因の原因の原因を見つけてください。
皆さんは、数百万人の読者を持っています。テレビを通じて数千万人の国民に、原因の原因の原因を伝える手段を持っているのです。朝日新聞社も古い会社ですから、内部の権力闘争は熾烈だと言われていますが、皆さんは、ジャーナリストなのです。是非、「ジャーナリズムは誰のためにあるのか」を思い出してください。皆さんは、政府に振り回されるのではなく、「親政府」でもなく、「反政府」でもなく、ジャーナリストとしての責務を果たす責任があります。どうか、そのことに気付いてください。
政府に、自民党に、ケチをつけていても何も生まれません。問題を矮小化するのは、ジャーナリズムの仕事ではありません。たとえ、安倍元総理が森友問題で断罪されたとしても、この国の衰退は止まらないのです。
これでは、まさに、「不毛」な日々です。
「不毛」な日々は、貧しい人を増やすだけです。
皆さんには、やるべきことがあるはずです。
自民党も、総理大臣も逆らえない原則を見つけることでしか、この国は再生しません。
皆さんには、この国を蘇らせる力があるのです。
成績優秀な、頭脳明晰な皆さんが、どうして、そのことに気付かないのでしょう。
朝日新聞社だけではなく、優秀な頭脳を持っている方は沢山いると思います。そんな皆さんが、原因の原因の原因に気付かないのは、頭脳の問題ではなく、感性の問題なのではないかと思います。是非、何かを感じ取ってください。
そうです。言葉の定義に気付けば済むことです。簡単なことです。

余談ですが、立憲民主党と朝日新聞社は、喧嘩でもしたのでしょうか。
両者は、同じ穴の狢だと思っていましたが、立憲の元代表の枝野さんが朝日新聞をぼろ糞に言っています。
「ばかを言うな。お前らが批判をちゃんとしないから俺たちの仕事が増えているのではないか。メディアこそ仕事をさぼっているではないか。最初に(民主主義の発展を求める)大正デモクラシーから軍の支援に回ったのは朝日新聞だった。今回も似たような感じが危なくて仕方ない」
朝日新聞を「お前ら」呼ばわりです。
枝野さんだけではなく、旧民主党の「お偉いさん」は、碌な人がいません。まるで、自分を見ているようで、背中が寒くなります。


2022-09-06



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