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何とかなるさ [評論]



岸田総理大臣の評価が、つるべ落としのように低下しています。
統一教会と国葬と五輪疑惑のせいなのでしょうか。
違うと思います。
薄々気付いていた「なんだ、この人、口先だけなんだ」が、多くの国民に見透かされた結果だと思います。
ただ、気の毒なのは、岸田さん自身も、何をすればいいのか、わからないことです。
岸田さん以外の人が総理大臣をやっても、同じです。
そろそろ、そのことに気付きましょうよ。
国民の皆さん、ぜひ、原因の原因の原因を見つけてください。皆さんが気付けば、政治は、自動的に変わります。

統一教会と国葬と五輪疑惑という後ろ向きな話題で、国家運営の中心にある政権が右往左往しています。国民は、大変、不安に思っています。
では、国力衰退という窮地に立っているこの国を、どうやって再生するのかという本来の仕事はどうなっているのでしょう。
それが、見えません。
新しい資本主義、田園都市構想、デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーション、その他にも、言葉だけは踊っています。
で、何か、変わり始めたのでしょうか。
国民に、そんな実感はありません。
「時間がかかるんだよ」
そうなのかもしれませんが、積極的に評価する方が少ないのはどうしてなのでしょう。
少なくとも、国民を引き付けているようには見えません。
国民の協力がなくては、何も始まりません。
これは、今に始まったことではありませんが、枝葉の部分だけに目を向けていることで起きている勘違いが原因だと思います。
国の盛衰は、国民次第なのです。
そうであれば、国民意識を変えるしか方法はないとおもうのですが、軽薄な言葉だけが飛び交う国になっています。
何よりも、国民が「俺には関係ねぇ」と言っていたのでは、何も始まりません。
マスコミ主導で生まれる世論であっても、世論を無視できないのが国です。
だったら、政府主導で世論を生み出せばいいのです。
そのためには、国民が納得してくれる理念を示す必要があります。
それが、国の目的と責務であり、国民の目的と責務です。
目的と責務を明確にすることが、国家運営者の仕事だと思います。
中身のないお題目は理念ではありません。新しい資本主義というお題目は、手段に過ぎません。理念のない手段が成果を出すことはありません。

岸田政権発足時は、いつもの事ですが、それなりに政権支持率もありました。
「何となく、期待してみたい」
「悪さ、はしない人に見える」
「優しそう」
「きっと、いい人に違いない」
二階さんが総理になっていたら、別の評価になっていたと思います。
でも、この岸田評価は、毒にも薬にもならないという評価でもあります。
確かに、政権支持率は、どこの国でも、時間と共に下落するものです。
しかし、ついに、政権支持率下落トレンドが始まったように見えます。もっとも、1年間、何もせずに、持ち堪えたのですから、それはそれで、立派なものです。
だとしても。
物価上昇を実感していない国民は、一人もいないのではないでしょうか。
まだ、日本の物価上昇は2%とか3%ですが、世界トレンドから見れば、トルコのように80%にならないとしても、8%になっても不思議ではありません。特に、日本の場合は、マイナス物価というデフレからの出発ですから、庶民の実感は大きいと思います。
この30年間で、貧困層が激増しました。
それは、物価上昇に耐えられる体力を失っている人が大勢いるということです。
この先、節約では乗り越えられない時がやって来ると思います。
「お上が悪い」というトレンドが生まれます。
そんな中、統一教会と国葬と五輪疑惑で岸田政権は追い込まれました。
当面、選挙はありませんので、頭を低くして嵐が過ぎ去るのを待つようですが、ほんとに、国民の皆さんは忘れてくれるのでしょうか。
岸田政権が得意とする「小出し、後出し、むにゃむにゃ」は、少し尾を引くように思えます。
五輪疑惑に関しては、東京地検特捜部が動いていて、逮捕者も出ています。政治側のキーマンは、安倍元総理のようですが、既に、亡くなっていますので、東京地検は、どこまで迫れるのでしょうか。
これまでも、今も、これからも、国が支出するカネには蟻がたかるものです。これ、どこの国でも常識です。極論ですが、政治家の使命は蟻に便宜を図り、上前を撥ねる、ことだと思います。それは、後進国の様子を見れば一目瞭然です。日本も例外ではありません。いや、先進国と言われる日本ですが、倫理とか公平という分野では、立派に後進国だと言うことだと思います。それは、「ふむ、ふむ」と頷いてくれる従順な国民の存在があるからです。政治家は、後進国のように「やりたい放題」ができるのです。
私が、いつも、不思議に思うのは、国民の皆さんが慣れ親しんできた「ふむ、ふむ」は国民の首を絞めるロープだということに気付かないことです。
ただ、今回の三大疑惑で、国民の皆さんは、少しだけ心配になったようです。
「このままじゃ、ヤバクねぇ」
ただ、どうすればいいのか、国民の皆さんには体験がありませんので、心配は心配のままで終わります。
政権を託すに足る野党が存在していたら、国民の選択肢もあったのでしょうが、立憲民主党や共産党だけではなく、どの野党も、国民の信頼は得られません。
最終的には、いつものように、「うやむや」にするしかないと思います。
国葬に関しては、「国葬とは」という定義が存在しないまま、国葬をすることに決めてしまったために、いつものように言葉で誤魔化すしか手がなくなりました。
左翼の皆さんは、チャンスと捉え、デモをしていますが、右翼側からは極左暴力団と呼ばれ、国民からも遊離し始めています。
完全に、政争の具になりました。こんなこと、いつまでやるのでしょう。
葬式で点数を稼ぐ。葬式で政敵を倒す。この次元の低い争いが、誰かの利益になるのでしょうか。いいえ、何も生み出しません。
岸田さんに責任が無いとは言いませんが、岸田さんではない誰かがやっても同じです。
と言うことは、「なあ、なあ」「まあ、まあ」しか能のない岸田さんに原因があるのではなく、「なあ、なあ」「まあ、まあ」そのものに原因があるということです。
いい加減、気付いてもいいと思うのですが、残念です。
「不幸は群れてやって来る」という格言(個人的な格言)から見ると、岸田さんも不幸の神様が選んだとしか思えません。
ただ、これは、岸田さん個人の問題ではありません。
「目的」と「責務」が欠けていることが、問題なのです。

国際環境の変化が顕著です。
ウクライナ戦争、欧州のエネルギー危機、中東産油国の生き残り戦略、イラン核合意の不透明と中東戦争の可能性、世界のエネルギー危機、貧困国の食糧不足、肥料の枯渇、中国の台湾への軍事恫喝と軍事侵攻の可能性の増大、中国国内の経済の変調、アメリカ国内の分断の進行、韓国の迷走、北朝鮮の強気、その上、世界規模での災害の多発、まさに、不幸の神様が世界規模で活躍し始めたようです。
そんな中、日本の国力衰退は、着々と進んでいます。
統一教会とか国葬とか五輪疑惑なんて、やっている場合ではないと思います。
ロシアの核恫喝が有効に機能したことで、イランは核兵器の保有に全力投球しています。それを、イスラエルが黙って見ているとは思えません。イスラエルの情報収集能力は世界のトップクラスです。イランの核弾頭完成の情報を知ることは可能です。イスラエルの国土を破壊するために何発の核兵器が必要になるのかは知りませんが、イスラエルは国家存亡を賭けて、躊躇なくイランの核施設を攻撃します。イスラエルにとっての土地は、他の国の領土に対する執着の何倍もの価値があります。
中東戦争の始まりです。
さて、日本は、エネルギーの調達をどうするのでしょう。
日本だけではなく、世界中でエネルギー不足が深刻になります。欧州も中国も、アジアの国々も、窮地に立ちます。南シナ海で、日本のタンカーが中国に拿捕されるかもしれません。シーレーンが破壊されたら、食糧の輸入にも影響します。そもそも、世界が不安定になれば、食糧生産国は自国の国民を守るために、食糧輸出を制限します。災害が多発していることで、既に、食糧輸出を制限している国もあります。
世界環境の現実を見れば、今、私達が、この国が、やらねばならないことは、エネルギーの、食糧の、国土の安全保障であり、進行する国力衰退を阻止することです。
これらの安全保障は、今日、何かをすれば、明日、結果が出るようなものではありません。10年単位の、100年単位の、時間が必要とされることです。
そのことに、着手できているのでしょうか。
とても、そうは、思えません。
それは、国民の皆さんの未来は、真っ暗だということです。
「なあに、これまでもいろいろあったけど、何とかなったじゃない。心配いらない。今度も何とかなるさ」
ほんとに、そうなのでしょうか。
時代が、世界が、変わってきているのです。過去の延長線上に未来があると信じる根拠は、どこにあるのでしょう。
電気料金やガソリン料金が上がっています。節電要請もあります。老朽化した発電所を無理矢理稼働させています。もう、限界なのではありませんか。石油やLNGが入手できなくなっても、やっていけるのですか。
もしも、この国に、「目的」と「責務」があったら、岸田政権のような迷走はしなかったのではないかと思います。


2022-10-02



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