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最終責任は国民が負う [評論]



今日は、ロシアが出した部分動員令について、短く、書きます。
戦争で勝つためには、特に攻撃側には、敵より数倍の兵力が必要だと言われます。
日本の戦国時代でも、籠城戦が多用されたのは、敵よりも兵力で劣る側が食糧と水を確保して籠城したのは、この法則が有効だったということだと思います。
だとしても、籠城すれば勝てるということではありません。籠城している側は、相手が引き揚げれば、勝ったことになりますが、それは、引き分けに過ぎず、勝利ではありません。
ただ、厄介なことに、必ず、防衛側の犠牲が少ないということでもありません。
それが、独ソ戦です。攻めていたのはドイツです。
独ソ戦では、攻撃側のドイツの犠牲者は、約400万人ですが、ソ連側の犠牲者は1500万人だと言われています。この犠牲者数については、いろいろな数字がありますが、ソ連側の犠牲者が多かったことは間違いないようです。数年間、断続的に戦っていましたので、この戦争に参加した兵士が何人なのかは知りません。仮に、兵士の損耗率が3割だとすると5000万人の兵士が参戦したことになります。これは、驚異的な動員力だと思います。
当時のソ連の人口は、約2億人、ドイツの人口は約7000万人でした。
国の動員能力が戦争の勝敗を決するということのようです。
それは、人口の多い国が勝つということです。
今の時点では、中国が世界最強の国だということです。

さて、今、ロシアとウクライナが戦争をしています。
戦争の初期は、火力に勝るロシアが占領地を増やす展開でしたが、西側の武器供与によりウクライナが反撃して、戦争は膠着状態になっています。
開戦時のロシアの兵力は20万人と言われました。「ロシアは、たった20万人の兵力で、どんな勝利を目指しているのでしょう」と専門家の方が首をひねっていました。
ウクライナ軍は、70万人から100万人と言われていますので、ロシアは、300万人の兵力を送り込まなければならない状況になっています。
プーチンは、国民総動員令を出す勇気はありませんので、部分動員令という名の徴兵令を出しました。規模は30万人だと言っていますが、必要な兵員は300万人です。ロシア全土では2500万人の兵力が徴兵可能だと言っていますので、300万人は可能な数字です。
少し時間はかかりますが、ロシアが300万人の兵力を投入できれば、ウクライナに勝利することが可能です。ただ、ウクライナは、自国の防衛ですから、士気が高く、数字以上の力を出す可能性があるとすると、ロシアは、500万人から1000万人の兵力が必要です。だとしても、ロシアには、それだけの力があります。
ロシアの動員令で、ロシア・ウクライナ戦争は、フェーズが変わりました。
放置すれば、ウクライナはロシアに併合されます。
NATOは、ウクライナをどうするのかを決めなくてはならなくなりました。
ウクライナを見捨てるのでしょうか。
それが、一番、現実的な対応です。
では、自由と民主主義、法の支配を主張してきた西側諸国は、その価値を捨てるのでしょうか。「ならず者国家」による蹂躙を認めるのでしょうか。
ロシアは、「ならず者国家」の中では、小さな「ならず者国家」です。最大の「ならず者国家」である中国は、14億人の人口を持っていますので、兵員の動員力では世界最強です。ロシアのゴリ押しを認めるということは、中国に屈服するということを意味します。
さあ、どうするのでしょう。

今起きているロシアとウクライナの戦争は、1対1の戦争ではなく、自由主義陣営と専制主義陣営の戦争が始まっているということです。
たまたま、戦争の始まった地域がウクライナだったということに過ぎません。
ここで、動員令という非常事態を計算に入れずに、各国の軍事力を見てみましょう。
装備を除外して、兵員だけの比較をしてみると、日本は国土防衛なんて不可能だということが見えてきます。兵員数では、日本は24位です。
1.中国    300万人
2.インド   280
3.アメリカ  150
4.北朝鮮   140
5.ロシア   140
6.パキスタン 100
7.エジプト   80
8.イラク    80
9.ブラジル   70
10.韓国    65
・・・・・・
24.日本    25
この中で、日本に武力侵攻してくる可能性のある国は、中国、北朝鮮、ロシア、韓国の4カ国だと思いますが、中国は日本の12倍の兵力です。一番少ない韓国でも2倍以上です。もっとも、韓国が日本に侵攻してくるのは、北朝鮮との統一後になると思いますので、朝鮮半島の兵力は200万人になります。中国もロシアも朝鮮も、日本を占領する力を持っているということです。
しかも、日本には徴兵制度がありませんので、予備役と呼ばれる軍務経験者は全国レベルでも数万人だと言われています。仮に、総動員令をかけて徴兵したとしても、全員が素人ですから、銃の分解から教育しなければなりません。そもそも、新兵に支給する数百万丁の銃はないと思います。もしも、武力侵攻、プーチン流の特別軍事行動が起きれば、防ぎようがありません。
では、どうやって国土防衛をすればいいのでしょう。
日米同盟だけではなく、世界規模で軍事同盟を結び、協力して専制国家と戦うしかありません。そのためには、他国を守れる国になる必要がありますが、現行の憲法では不可能です。
日本の安全保障環境を見ると、国土防衛なんて夢のまた夢です。
いっそのこと、平和憲法が日本を守ってくれるというお伽話がお伽話でなかったらと思います。でも、もしも、平和憲法が日本を守ってくれるのであれば、鉄腕アトムだって、宇宙戦艦ヤマトだって、ガンダムだって、日本を守ってくれると思います。
そんな夢みたいなこと、実現可能なのでしょうか。
私達は、安全保障の分野でも、夢見る乙女に過ぎないのだと思います。
日本は、アニメ先進国だと言われることがありますが、日本は、アニメの世界でしか生きていけない国なのかもしれません。とても、現実世界には適応できません。
ロシアは、補給に問題があって戦争に支障を来していると言われていますが、それは、A地点からB地点に、武器・弾薬・食糧・部品を移動させるロジスティックに問題があるということです。しかし、日本の場合、運ぶべき武器・弾薬・部品がありません。継戦能力は数日分しかないと言われています。つい先日、価格高騰で演習用のガソリンが買えなくなって、予備費で賄ったという話もありました。
もしも、仮に、どこかの国が武力侵攻してきたら、私達には白旗を挙げるという選択肢しかないということです。勝つ可能性のない戦争で、無駄に自衛隊員を死なすのは間違いだと思います。それとも、又、「天皇陛下万歳」と叫んで玉砕するのですか。
もちろん、敗戦後の辛酸(拷問、虐殺、レイプ、拉致、貧困、飢餓等々)は、国民の皆さんで分かち合うことになります。
どんな事態が起きようと、最終責任は国民が負うのです。
これ、人間社会の鉄則です。
例えば、10階のビルの手すりを掴んでいた手を離せば、落下する。落下すれば、どうなるかなんて、誰でもわかることです。
そんな当たり前な事に気付かなかつたことを、世間では自業自得と言います。誰を責めることもできません。皆さんが責任を取るのです。
ロシアのウクライナ侵攻を見た皆さんは、憲法に書いてある「平和を愛する諸国民」がブラックジョークに過ぎなかったことを知ってしまいました。今でも、ロシアに占領されたウクライナの都市では、拷問、虐殺、レイプ、拉致が行われています。ウクライナのGDPは半減していますので、今後、貧困と飢餓が進行します。日本だけではなく、どこの国でもウクライナになる危険はあるのです。
「そうかもしれないけど、今は、物価対策だろ」
私達は、そうやって、80年も「先送り」を続けてきたのです。
この先も、80年、「先送り」をすると考えるほうが自然です。
でも、それが、国民の皆さんの判断なのですから、仕方ありません。
責任を取らされても、仕方ない、ということです。
どうか、夢の世界が続きますように、と祈ります。


2022-10-05



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