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昼寝していて大丈夫なのですか [評論]



この文章を書いている今も、ロシア・ウクライナ戦争のニュースが日々更新されています。
私は、2月24日の開戦時に、ウクライナはすぐに制圧されるだろうと思っていました。
しかし、ウクライナ軍とウクライナ人は、抵抗しています。今の時点で、まだ、首都キエフは陥落していません。
昔の戦争と違って、多くの映像が世界に発信されていますので、日本でも、多くの方があの映像を見ているものと思います。
ただ、南部では、地下に避難している人達の食糧や水は底をつき始めました。市民の大量虐殺も始まっています。更に大規模な爆撃も始まると言われています。
ロシアは、東部に戦力を集めるようですから、マリウポリでの市民虐殺は、この先も続きます。キエフのロシア軍は後退しましたが、化学兵器による攻撃の準備かもしれません。
これまでは、数百人、数千人の犠牲でしたが、化学兵器や核兵器が使われれば、この先は、数十万人、数百万人の犠牲を覚悟しなければなりません。
これが、国家運営に失敗した国の姿です。
国の責務は、国民の生活を、国民の命を、守ることです。
ウクライナという国は、その責務を果たしませんでした。
もしかすると、ウクライナ政府もウクライナ人も、公正と信義と平和を信じていたのかもしれません。でも、信じた結果が、市民の殺戮です。これが、現実です。
今、世界の目の前で、市民の生活が破壊され、市民の命が失われているのです。あれは、映画でもドラマでもありません。現実に起きていることです。
否定しようのない現実です。
皆さんは、プーチンが悪い、と言います。
その通りですが、プーチンという人物が存在していることも現実です。
現実に対応することが、国家運営です。
失敗してから「ああでもない、こうでもない」なんて言ってみても、何の役にも立ちません。
政治家の先生方は、「政治は結果責任だ」と言います。でも、悪しき結果が出て、責任を取るのは。政治家ではなく、国民です。結果が出てからでは遅いのです。
国家運営は、万に一つも失敗してはいけません。

しかし、日本では、他人事です。
もちろん、皆さんは「気の毒なウクライナ人には、助かって欲しい」と思っています。
ロシアの暴挙は許せませんよね。
正義は、ウクライナにありますよね。
でも、どこの国も、援軍を出しません。
国連も静かなものです。
正義や理想が、間違っているのですか。
いいえ、これが、現実なのです。
正義や理想と現実は同じ土俵にあるわけではありません。正義という土俵と、理想という土俵と、現実という土俵は、交わることのない場所にあるのです。
現実の前では、正義も理想も、何ら価値を持ちません。
人道主義愛好者の皆さん、平和主義愛好者の皆さん。
皆さんは、どうして、黙っているのですか。どうして、行動しないのですか。マリウポリの街に立ち「戦争反対、平和、平和」と叫んでください。ロシア軍の兵士と話し合い、攻撃をやめさせてください。皆さんは、話し合いで解決できると信じているのですから、恐れることはないと思います。どうして、マリウポリに行かないのですか。
正義を追求するという旗を掲げて、モリ・カケ・サクラをあれほど追求していた立憲民主党の皆さん、共産党の皆さん。もちろん、モリ・カケ・サクラは非難されるべきものですが、ロシアの行動は非難されるものではないのですか。皆さんは、外交力で解決すると国民に約束していました。どうか、プーチンと話し合って、攻撃を止めてください。今こそ、皆さんの出番です。ウクライナを、世界を、助けてください。人命が失われている映像があります。皆さんは、コロナ対策で、人命が最優先だと言っていました。ウクライナの人命は人命ではないのでしょうか。口先ではなく、行動が必要です。
総理大臣のお粗末な認識にも驚きます。ロシアがウクライナの原発を攻撃したことを受けて、原発に警察の専従警備部隊を設置すると言っています。軍を相手に、警察力で何をするつもりなのでしょう。拳銃の弾丸で戦車の砲弾を撃ち落とすのでしょうか。能天気としか言いようがありません。警察官が気の毒です。
平和ボケの国では、こんなものなのでしょうか。
悲惨な映像を見ても、誰も、あの光景を「明日のわが身」だとは思っていません。漠然とした不安は感じていますが、何もしていません。
戦争では、タブーなんて存在しません。建前では、何も防げません。建前の象徴である国連も、国際司法も、国際法も、何一つ機能していません。これが、現実です。
それでも、日本の空気は「俺には関係ねぇ」というものです。
多くの方が、口先で「悪いのは、ロシアだ」と言います。
その通りですが、私達は何をしているのでしょう。
「頑張れ、頑張れ」と一部の人達が、声を上げています。経済制裁もしています。日本は防弾チョッキですが、他国は武器も送っています。
「あとは、ウクライナが頑張ってください」ということです。
でも、これが、現実です。
どこの国も、自分の国の国民を犠牲にしてでも、ウクライナを助けることはしません。
当たり前です。
正義や理想よりも、ロシアの悪や西側の欲のほうが、はるかに強力です。
これが、現実です。
現実が全てです。
ウクライナの大統領は、アメリカが、NATOが、助けてくれないと怒っていますが、怒ってみても何の足しにもなりません。
ですから、くどいようですが、日本の皆さんも、「自分の身は自分で守る」しか選択肢がないことを、是非、知って欲しいと思います。責任を取るのは皆さんなのです。
人道も平和も正義も理想も追求するべきです。しかし、人道も平和も正義も理想も、自国の安全保障という土台の上でしか役に立ちません。ウクライナの皆さんには申し訳ありませんが、私達は、ウクライナの失敗から学ばなければなりません。
岸田総理は、G7の決定に追随することで頭が一杯です。対話が得意な岸田さんは、今こそ、国民との対話をしなければならないと思います。
今、岸田さんがやらねばならないことは、日本で戦争が始まる前に、日本の国民に語り掛けることです。「国民の皆さん、このウクライナの惨状を目に焼き付けておいてください。ウクライナは、明日の我が国の姿です。国民の皆さんに何が出来るのか、是非、考えてください」と。

私は「自分の身は自分で守る」ことが鉄則だと書きましたが、これが難題です。
それは、この国が「国力衰退病」という病に冒されているからです。
人口は、どんどん減少します。GDPも、どんどん減少します。ということは、国防力も、どんどん減少するということです。
最後は、国民の素の力で、侵略を防がねばなりませんが、国民は、昼寝をしているだけではなく、諸国民の正義を信じる「いい人」ばかりです。とても、外敵から、自分を守らねばならないという現実に気付くことはないと思います。
どこを切り取っても、この国は、亡びる運命にあると思います。
安全保障は、国の根幹だと言われますが、私達は、その根幹を根幹とするための根幹が必要なのだと思います。それが、目的と責務だと思います。
それでも、私達が生き続けるためには、今の難関は乗り越えなくてはなりません。
国の、そして国民の、目的を作り、国の、国民の、責務を明確にし、ゼロから出発することが求められているのだと思います。
専門家の皆さんは、「日米同盟の強化」とか「敵基地攻撃手段」とか「核兵器の議論」を推奨しています。
でも、問題は、そこにあるのではありません。
必要なのは、国としての原則です。
寄るべき根拠を持たずに小手先の対策をとっても、結果は得られません。
これは、個々の手法の問題ではありません。国家運営を担う皆さんの、国民の皆さんの、意識の問題です。意識を変えなければ、日本もウクライナになるということです。
私達にウクライナを救うことはできません。
しかし、自分の身は守らねばなりません。
プーチンは、人類史上初めて現れた怪物ではありません。
力のある国の権力者は、誰でも、プーチンになれるのです。
アメリカのバイデン大統領は「ウクライナで第三次世界大戦を始めるつもりはない」と言いました。いやいや、ウクライナで始めなくても、第三次世界大戦は始まります。
私は、これまでも、第三次世界大戦は必ず起きると書いてきました。
「まだ、起きてないじゃないか」「いつ、起きるのだ」と言う人がいるかもしれません。
大丈夫です。待っていてください。必ず、起きます。
世界大戦が世界大戦になるまでには、色々なことが起きます。
でも、最終的には、世界大戦で決着をつけることになるのです。同じことを繰り返してきたのが、私達の歴史です。古人も「二度あることは、三度ある」と言っています。
ウクライナ戦争は、世界大戦へと至るプロセスの一局面です。
第三次世界大戦は、民主国家連合軍とロシア軍との戦いではありません。民主国家連合軍と専制国家連合軍との戦いです。専制国家の親玉は、中国です。ウクライナ戦争では、本命の中国が出てきていません。いや、戦争を仲裁する用意があると言っています。ウクライナ戦争は、本戦ではなく予戦なのです。
第三次世界大戦の戦場はアジアです。
それも、東アジアです。
つまり、日本が主戦場になるのです。
私達のお花畑にミサイルが飛んでくるのです。
皆さん、昼寝していて大丈夫なのですか。
禄でもない今の国家運営者に任せておいて、大丈夫なのですか。
皆さんは「お上」に丸投げをしています。しかし、責任を取るのは、皆さんです。そのことは、承知しておいてください。


2022-04-02



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