SSブログ

基礎体力の喪失 [評論]



白票運動というものがあります。
選挙の時、投票所には行くが、立候補者の名前を書かずに、投票用紙をそのまま投票箱へ入れる運動です。この白票は無効票になり、立候補者の当落には関係しません。
その歴史は知りませんが、古くからある運動だと思います。
ただ、白票運動が盛り上がったという過去はありません。
ごく少数の人が、自分の信念で実行していた運動です。
衆議院選挙が今年行われるかどうかはわかりませんが、少しだけ話題になりました。
では、これで白票運動が盛り上がるのでしょうか。
いいえ、99.9% 盛り上がらないと思います。
そもそも、白票運動の着地点は、どこにあるのでしょう。
それが、何も見えていません。
あるとすれば、政治の自浄能力ですが、そんなもの、そもそも、存在していません。
有権者の皆さんが白票を投じても、何も、変わりません。
ですから、これまでも、盛り上がることはなかったのです。
私も、随分前に、白票を有効にする選挙制度改革案を提案したことがあります。当時は、まだ、「言葉の定義」に気付いていませんでしたので、自分がお気楽な提案をしていることに気付いていませんでした。
白票を有効にするためには、選挙制度の変更が必要です。しかも、私の提案では、議員定数を固定制から変動制にする必要があります。議員の数が減るのです。これ、全部、国会議員が法律を作らなければなりません。自分が不利になる法律を国会議員が作ることはありませんので、絵に描いた餅です。
言葉だけでは、いや、白票を投じただけでは、何も変わらないのです。
これまで、私も、白票を推奨し、選挙制度改定案も提案してきましたので、大きな顔はできませんが、白票運動では、この国の政治は変わりません。反省しています。
しかし、今、この国は断崖絶壁の上に立っていますので、政治も変えなければならない時代に入っています。もちろん、政治だけではなく、あらゆるものを変える必要があります。中でも、一番重要なのが、国民意識です。国民意識を変えれば、白票運動の必要性もなくなるかもしれません。
この国の現状を見る限り、誰かが、何かを、変えなくてはならないのは、多くの皆さんの共通認識だと思います。「今のままでいい」なんて思っている人はいないと思います。
では、現実問題として、「誰が」、「何を」、「どう」変えるのですか。

先ず、「誰が」って、誰ですか。
皆さんが「自分ではない、誰かが」と思っていたら、「誰か」は、この世に存在していないことになります。
だとすると、皆さんが、今の状況を変えるしかないと思いませんか。
なぜなら、結果的に貧乏くじを引くことが約束されているのは、国民の皆さんだからです。
でも、国民の皆さんは、そんなこと、考えてもいません。
「めんどくせぇ」
「俺には関係ねぇ」
「俺ではない、誰かが、やってくれ。甘い汁だけは吸わしてもらう」
「なんで、俺がそんなことしなきゃならないんだ。お上の仕事だろ」
でも、国民の皆さんが、今の日本の惨状を自分事だと捉え、行動を起こせば、この国は変わります。いや、それ以外の方法では変わらないと思います。
国民の皆さんが、そう考えれば、行動を起こせば、総理大臣は「俺には関係ねぇ」とは言えません。そんなこと言えば、政権を維持できませんし、総理大臣どころか議員の資格すら失うことになります。
国力衰退という潮流が、ひたひたと、身近に迫っていることを肌身で感じている皆さんが、自分を守るために、行動するしかないと思います。
不安感と焦燥感と閉塞感だけは、たっぷりとある社会なんて、誰も望んでいないと思います。数百万人の餓死者を出す国になりたいと思う国民はいないと思います。
しかし、現状を放置すれば、そんな国になります。
「誰が」とは、皆さんのことです。

次に、「何を」、変えるのかが認識されていません。
漠然とした「何を」では、変えたくても変えることができません。
勘違いしている方は、大勢います。
政権が交代すれば。
新しい資本主義を成功させれば。
デジタル革命をすれば。
生産性を上げれば。
これ、全部、勘違いです。
それで、この国が変わるのであれば、アベノミクスでも変わっていたはずです。
この国の現状は、手練手管で何とかなるようなものではありません。
ですから、国力衰退というトレンドは止まっていないのです。
まだ、誰も気付いていませんが、変えなければならないのは、「何を」の「何」は、「考え方」であり、その基盤である「文化」です。
国民の皆さんが、「文化」を変えることでしか、この国は救われません。

では、「どう」変えればいいのでしょう。
政治が機能していないことは、多くの方が実感しています。
それは、政治を機能させる政治家が存在していないからなのでしょうか。
いいえ、この人に託せば、日本は変わる、なんて人物は一人もいません。
クソみたいな政治家しかいません。
しかし、救世主になるような人物の登場を待っていても、そんな夢は実現しません。
それは、個人的な能力で、どうにかできる状況ではないということです。
国の仕組みを変えて、個人の力量に頼らないシステムを構築する必要があるということです。
何か、方法は、私達国民にできる方法はないのでしょうか。
現行のシステムでは、国民は無力です。国民には立法権がありません。ですから、選挙制度1つ変えることもできません。ましてや、国家運営システムを変えることなど、国民には出来ません。では、国民が立法権を持てば、変わるのでしょうか。いいえ、国民には、そんな暇がありません。国家運営を担っている人達が変わるしかありません。もちろん、自浄能力の話ではありません。必要なのは、原則です。この国には、原則がありません。あるのは、曖昧だけです。為政者は何をやってもいいのです。そういう意味では、中国共産党に支配されている中国よりも劣る国だと思います。
そう考えると、一つだけ、私達国民に出来ることがあります。
それが、「言葉の定義」です。
国民に法律を作ることはできませんが、「言葉の定義」をするのは自由です。「言葉の定義」をしたら、懲役10年に処す、という法律はありません。
今の国会議員は、全員がクソです。
「国とは、国家運営とは、国会議員とは、選挙とは」という言葉の定義をすれば、クソの居場所はなくなります。
言葉の定義をすれば、責務が明確になります。
責務を果たさなければ、次の選挙で落選します。
もちろん、言葉の定義をし、責務を明確にし、目的を持てば、夢のような国が実現するなんてことにはならないと思います。しかし、今の苦境は乗り越えられるかもしれません。他に方法がないのであれば、やるしかないと思います。
皆さんは「自分ではない、誰かが、何とかしてくれ」と思っています。
でも、同時に、薄々とではありますが、それが実現することはない事も知っています。
だから、皆さん、不安なのです。
「明日が、不安ですか」
「5年後は、どうですか」
「10年後は、どうですか」
「何の不安もない」と答えられる人が何人いるのでしょう。
想像でしかありませんが、1%はいないのではないでしょうか。
しかし、皆さんは、放置しています。
もしも、国民の責務が明確になっていたら、皆さんは、自分の責務を果たしていないことになります。でも、そのことも、漠然と、心のどこかで知っています。
現状は、消極的な選択ではありますが、皆さんは、自分がドツボにはまることを知っていて、知らんぷりをしているだけだと思います。
「仕方ないじゃん」
でも、ドツボはキツイですよ。泣き言は言いませんか。
「もちろん、言うさ。けど、俺のせいなの」
そうなんです。
「そんなの、おかしいよ。俺、何も悪いことしてないよ」
悪いことをしていようと、いい人を演じていようと、見境なく、ドツボにはまる時は、全員がはまります。それが潮流の凄さです。

今日は、白票運動という提案について書きました。これまでも、いろいろな方の提案について書きましたが、どれも、国の基本となる「国民の生活を守る」という目的を実現することはできていません。
いや、数多くの提案はありますが、国民生活は日々劣化しています。
では、提案が実行されたら、劣化は止まるのでしょうか。
いいえ、止まりません。
もちろん、提案が実現されていれば、劣化のスピードは弱まりますが、劣化そのものは止まりません。
提案が実現されていないだけではなく、提案そのものに、劣化を止める力がないのです。
提案がクソだと言っているのではありません。
劣化が始まっていない状態で、今ある提案を実現すれば、それは、少しだけ良き結果を生むことになると思います。
しかし、一度、劣化が始まってしまうと、どうすることもできません。
潮流というものは、それほど強いものなのだと思います。
この国の劣化を憂いている人達が、「何とかしたい」と思って提案してくれていますが、千の提案を持ち寄っても、万の提案を持ち寄っても、劣化は止まりません。提案の良し悪しの問題ではなく、個別具体的な提案では、潮流は止まらないのです。
それは、基礎体力が失われて青息吐息になっている人に、風邪薬を与えても、湿布薬を貼っても、治らないことと同じです。食生活を変え、生活リズムを変え、地道に体力の増強を図らなければ基礎体力は戻りません。
生活を変えるためには、思考を変える必要があります。
私達の思考は、その多くが文化の上で成り立っています。
だとすると、文化を変えることから始める必要があります。
それが「言葉の定義」です。
これは、大事業です。この国の歴史の大革命だと思います。
簡単なことではありません。
しかし、革命を成功させなければ、劣化トレンドの先にあるのは破滅なのですから、革命を成功させるしか選択肢はないのです。


2023-04-03



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。