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あるべき姿 [評論]



6月の解散総選挙が不発に終わり、各政党は仕切り直しをして秋の解散総選挙へ向け、準備に必死です。ただ、これ以上の政権支持率の下落があると、岸田さんが、解散権を行使(乱用)できるのかどうか、まだわかりません。国民の皆さんは、自民党以外の政権が望ましいとは思っていません。もちろん、自民党政治に納得しているわけではありませんが、他に選択肢がないのですから、自民党に投票するという選択肢しかないと思っています。それは、国民が自ら何かを創造したという体験がありませんので、あてがわれた選択肢の中で「少しでもマシな政党」を選ぶという消極的な選択をしてきたからです。
ただ、「お灸をすえる」という意識は常にあります。ゴリ押しのマイナンバー制度は、「お灸をすえる」案件としては手頃であり、選挙には影響すると思います。
もしも、支持率が上昇するような幸運もなく、解散してしまった場合には、自民党大敗の可能性がないとは言い切れません。過去、国民が自民党に「お灸をすえた」のが、2009年です。いや、「お灸をすえる」つもりだったのに、政権交代になってしまいました。国民は、民主党政権を希っていたわけではありません。「俺一人くらい、民主党に票を入れても、変わらないだろう」と考えた人が、意外に多かったのだと思います。
仮に、そんな環境が生まれたとしても、立憲民主党は、ヤバイです。自民党の受け皿になるのは立憲民主党ではなく、今や、日本維新の会になってしまいました。
苦しい立場に変わりがない立憲民主党と立憲民主党所属議員が、足掻いています。まだ2人しか離党していませんが、「離党」という2文字が頭の中で行き来している議員は、かなり、いると思います。ただ、維新が引き取ってくれるか、国民民主が引き取ってくれるか、そこがはっきりしませんので、決断が出来ません。このまま立憲民主党に籍を置けば、落選は避けられませんので、とても、悩ましいと思います。だったら、共産党公認で立候補すればいいのにと思いますが、さすがに、そんな立憲議員はいません。共産党固定票が欲しいだけの助平根性丸出しですが、そのことに気付いているのでしょうか。
他党との選挙協力はしないと言っていた泉代表が、選挙調整はすると言い出して、共産党にまで注文を付けられる有様です。立憲の相手をしてくれるのは共産党しかないのに、共産党との主導権争いに負けたら、最弱野党になってしまいます。国民は、そんな政党に一票を投じてくれるのでしょうか。
ここで、立憲民主党に一票を入れている国民は、どんな人達なのか考えてみましょう。
何人いるかは別にして、立憲民主党の主張に本気で賛同している人達がいます。私には理解できませんが、これは、個人の自由ですから、どうぞ。
昔の社会党だって、そういう人達はいました。しかし、今では、激減しています。過去に、多くの国民が社会党に一票を投じていた時代があったのです。140人もの社会党議員がいた時期もありました。
当時の社会党もそうであったように、立憲民主党に一票を投じている人達の大半は、アンチ自民党の人達で、別に、社会党でも、立憲民主党でも、その他の政党でも、自民党以外の政党であればいい方々です。
昔、「巨人、大鵬、玉子焼き」という言葉がありました。日本人が好きなものの例えを言った言葉です。でも、そこには必ず、アンチ巨人も、アンチ大鵬も、アンチ玉子焼きの人達もいました。ですから、アンチ自民党には、何の不思議もありません。
もちろん、自民党政権に全幅の信頼を置いている国民は少ないと思います。ただ、自民党以外の政党が、明らかに、自民党よりも劣っているのですから、国民の選択肢にはなりえません。国民の皆さんが「自分の生活を守ってくれる」政党を自ら作らなければ、この行き止まり感は解消できないと思います。
政治家も政党も、「国民生活を・・・ 国の将来を・・・ 」なんてことを考えていません。
ただただ、議席が欲しい、それだけです。もっとも、その意識は各党共通ですから、立憲民主党だけに四の五の言ってみたって意味ありません。
本来、国民生活や国の将来をより良きものにするために仕事をすることが政治の仕事であり、それが政治家の責務です。
政治家はその責務を果たしているのでしょうか。
いや、国を、国民生活を、悪しき方向へと引っ張っています。
しかし、それ以上に厄介なことがあります。
それは、誰もその事に言及しないことです。
誰も、愚かな政治家の「自分さえよければ」を止めようとしません。
批判はしますが、処方箋を示して、本気で止めようとしている人がいません。
1億2000万人もの人がいるのに、誰一人、処方箋を示す人がいないのです。
それは、何もかもが「ぼんやり」としているからです。
日本国民は、全員が政治家ではありません。官僚もいれば、学者もいれば、ジャーナリストもいれば、国民もいます。
どうして、誰も、政治家の責務について発言しないのでしょう。
選挙のことしか考えない政治家に、「君たちの責務は選挙で勝つことではないだろう」と疑問を投げつける人がいないのです。たとえ、疑問をぶつける人がいたとしても、具体的な行動を書いた処方箋を提示する人がいません。
ですから、政治家は、本来の仕事をすることなく、選挙対策に力を注ぎます。
これ、誰に責任があるのでしょう。
政治家だけの問題ではないことは明らかです。
学者、メディア、国民が、それぞれの責務を果たしていないから、政治家は「自分さえよければ」をやっても許されると勘違いしているのです。「俺様は、何をやっても許される、お偉い先生様なのだぞ」と思い込んでいます。
多くの方の目に、「自分さえよければ」をやっている自民党や、不甲斐ない立憲民主党の姿は見えているのに、世論は動きません。
いや、世論は、ふらふらとしか、動きません。
そこには、芯がありません。
それは、何もかもが「ぼんやり」としているからです。
誰も、何も言わないから、政治家は、どの政党の政治家も、選挙に勝つことだけが、自分の使命だと信じてしまっているのです。
これは、私達に責任があると思います。
昔は、お殿様に諫言をした武士は切腹したものです。でも、政治家はお殿様ではなく、外注先ですから、政治家に向かって「責務を果たせ」と言っても切腹する必要はありません。
私は、「批判しろ」と言っているわけではありません。批判や非難なら、山のように出回っています。私は、処方箋を提示してください、と言っているのです。
よく「政治が悪い」という言い方をする方がいます。特に、メディアの皆さんは、その傾向が強いと感じます。
でも、それは、違います。
「政治が悪い」のではなく、「政治も悪い」のです。
この「が」と「も」の違いは大きいと思います。
なぜ、こんな簡単なことに気付けないのでしょう。
何度も言いますが、誰も、政治家も官僚も学者もメディアも国民も、「あるべき姿」を知らないのです。
ただの無知です。この国は、1億2000万人総無知状態なんです。
政治家の責務を、官僚の責務を、学者の責務を、メディアの責務を、国民の責務を、誰一人知らないのです。
自民党や立憲民主党の不様な姿を見ているのに、国民の皆さんは「俺には関係ねぇ」と思っています。
驚きしかありません。
だって、国民の皆さんの生活がかかっているのです。他人事ではありません。
「俺には関係ねぇ」と嘯きながら、ドツボにはまろうとしている国民の皆さんこそ、不様な姿を晒しているのです。どうして、自分の生活を守らないのですか。
実害を受けるのは、国民の皆さんなんです。
皆さんは、立憲民主党の姿を笑えるのですか。
あれは、皆さんの姿なのではありませんか。
立憲民主党の今の姿は、「あるべき姿」を知らず、自分の「責務」を知らず、「自分さえよければ」「選挙に勝てれば」という欲に溺れている姿です。遠からず第2の社会党になろうとしている姿です。
でも、これは、国民の皆さんの姿でもあるのです。
どうか、そのことに気付いて欲しいと思います。
これは、他人事ではなく、まさに、自分事なんです。
国民の皆さんの生活の問題なのです。
明日、何が起きても、不思議ではありません。
仮に、明日ではなく、1年後でも、数年後でも、結果は同じです。
国民の皆さんの生活が、破綻します。
「まさか・・・」「よりによって・・・」なんて言っても、後の祭りです。
体力を失っている人は、風邪を引いただけで死ぬこともあるのです。

なぜ、人間は集団生活を始めたのか。
なぜ、人間は、国という仕組みを生み出したのか。
そうです。生き延びるためです。
いや、そうしなければ、生き延びることが出来なかったからです。
それは、今でも同じです。
この先も、もしも、生き延びたいのであれば、私達は「あるべき姿」を知る必要があります。「あるべき姿」を知り、集団を形成する私達が、それぞれの立場で、責務を果たさなければ、生き延びることは難しいと思います。
もう、これ以上「なあ、なあ」「まあ、まあ」では前に進むことは難しいと思います。
後で振り返れば一目瞭然なのでしょうが、今が、私達の正念場です。
どうか、どうか、そのことに気付いてください。


2023-08-01



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