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選挙公約という詐欺 [評論]



今日は、参議院議員選挙について書きます。
実現不能な能書きを示して不当な利益を得る行為を詐欺と呼ぶとすると、選挙公約は、まさに、詐欺そのものです。「実現不能な公約を提示した者は、10年以下の懲役に処す」という法律はありません。政治家は、そんな法律を作りません。でも、詐欺は詐欺です。
これまでは、自民党や立憲民主党に焦点を当てて書いてきましたが、今日は、国民民主党に焦点を当ててみたいと思います。
これは、既存政党の既成概念が、この国をドン詰まり状態にしていることを、国民民主党に代表してもらうものであり、国民民主党を非難することが目的ではありません。自民党を筆頭に、既存政党では、この国の国家運営は出来なくなっていることに気付いていただきたいという願いを持って、書きます。
私には、国民民主党の公約は、いや、他の政党の公約も、弥縫策にしか見えません。
弥縫策という言葉の意味を調べると、「一時のがれにとりつくろって間に合わせるための方策」と書かれていました。原因を追究することなく、結果を捻じ曲げようとする、曖昧文化の下ではよく使われている手法です。
今、この国に必要なのは、弥縫策なのでしょうか。

さて、国民民主党の主な参院選公約です。

[ 景気対策として、給料が上がる経済の実現 ]
「物価を上回る賃金アップ」の実現、がキャッチフレーズのようです。
自民党が対応できなかった課題を、国民民主党は解決すると宣言しています。
もちろん、言うのは自由です。でも、当選すれば、詐欺です。
「給付付き税額控除を導入し、最低賃金時給1150円以上を早期に実現する」
この給付付き税額控除というのは、10万円の国民給付金(インフレ手当と呼ぶそうです)と消費税の5%減税のことのようです。
つまり、国民に10万円をばら撒き、消費税を5%下げ、最低賃金を上げれば、給料が上がる経済を実現できると主張しています。
どうすれば、こんな無茶な公約が作れるのか、不思議です。それとも、ジョーク。
経済成長しないのは、賃金が上がらないのは、国力が衰退しているからです。
そして、経済が停滞しているのは、賃金が上昇していないのは、国にも国民にも国力衰退を止める意志がないからです。
この国の責任者は国民です。国民がその気にならない限り、この国の衰退は止まりません。でも、そんなこと選挙公約にしてしまえば票が貰えません。これは、選挙のための、いつもの、詐欺のテクニックに過ぎません。選挙で当選することが最優先であり、国民生活を守るために仕事をするつもりは、最初から存在していないということだと思います。

余談です。国民民主党だけではなく、野党は「減税」と「ばら撒き」を公約しています。今回は参議院選挙ですから、政権交代は起きません。だからと言って、国家運営を放棄するような公約をするのは、いかがなものかと思います。
国家運営は税で行われています。「減税」は歳入の減少であり、「ばら撒き」は歳出の増加です。明らかに、財源は減少するのです。先ずは、税収の増加策を示すべきだと思います。法人税の増税と富裕税の新設をしたとしても、短期的に増収になったとしても、ジリ貧になるだけです。
国力衰退を阻止し、税収の自然増を確保しなければ、国家運営は行き詰まります。いえ、既に、行き詰っています。自民党は、その方策を提示できていないのですから、野党にチャンスがあるのです。「減税」と「ばら撒き」なら、小学生でも公約できます。
自民党幹事長が「消費税5%減税なら、社会保障費3割削減になりますが、いいのですか」と脅したことで、野党の大合唱が起きています。立憲民主党の代表は「非常に冷酷な人物だ」と演説しています。確かに、自民党幹事長は「自分さえよければ」をやっている「ろくでなし」だと私も思いますが、「冷酷な」という表現には驚きました。「お前ら、小学生か」と言いたいくらいです。目的も責務もないために、皆さん、やりたい放題です。

[ 人づくりこそ国づくり ]
言葉は、美しい。
この標語にも瑕疵はありません。
その通りです。
では、どうやって、実現するのでしょう。
教育国債(これも借金です)を創設して、教育の無償化を実現するそうです。
具体的には、年収にかかわらず児童手当を18歳まで一律月1万5000円支給するというものです。年間、18万円です。子供のいる家庭は、ほんとに、助かります。
財源が国債でなければ、これは、少子化対策として必要なものです。でも、これは、これまでの無策だった少子化対策を補完するものであり、マイナス部分を補う施策であり、「人づくり」「国づくり」という前向きの施策とは呼べません。
「人づくり」って、カネさえ出せばできるのでしょうか。
私には、そんな美味しい話があるようには思えません。
この国には、目的とグランドデザインがありませんので、ばら撒きが施策だと勘違いしてしまうのだと思います。
子供達に、夢はあるのでしょうか。
自分から、「頑張ってみようか」と思うモチベーションはあるのでしょうか。
それを見つけることのほうが先だと思います。
間違っているかもしれませんが、「人づくり」は、「動機づくり」だと思います。
大人達が、目的も責務も持っていなくて、どうやって動機を作るのでしょう。
「人づくり」「国づくり」が出来ていないという現状認識は正しいと思います。
しかし、その原因を見つけていません。
カネさえ出せば、人づくりも国づくりもできると考えるのは、幻想です。

[ 安全保障とエネルギー ]
「自分の国は自分で守る」ことが原則だと主張しています。
このキャッチフレーズも間違っていません。
抑止力の強化と自衛のための打撃力(反撃力)を整備するそうです。
当然、防衛費の増額は必要ですし、増額は認めています。しかし、財源については書かれていません。岸田総理と同じで、国債による増額を容認しているようです。
エネルギーでは、原発を容認するようです。
安全基準を満たした原発再稼働と、次世代炉等へのリプレース(建て替え)を提案しています。
その前に、福島第一原発の処理の問題と、核廃棄物の処理に関する施策を提案してもらいたいと思います。自民党では展望が持てていないこれらの諸課題について、国民民主党であれば、「こう解決します」という案を出して欲しいと思います。
言葉ばかりで、中身がありません。これを、詐欺と言うのです。
もちろん、自民党だって具体策を持っていないのだから、国民民主党に要求するのは筋違いだと言われれば、その通りなのかもしれません。でも、実現性は、ほぼゼロだとしても、「国民民主党が政権を取れば」というのが公約だと思いますので、提示する必要はあります。

[ 正直な政治 ]
これも、間違ってはいません。
公文書改竄などが起きないように罰則を作るそうですが、官僚の責任だけではなく、政治家の責任を糾弾する法律を成立させるつもりはあるのでしょうか。ま、政権を取ることはないのでしょうから、どんな法律でも要求はできますが、自民党にその条文を認めさせる力は、国民民主党にあるのでしょうか。
私には、机上の空論にしか見えません。

この他にも公約はあるのでしょうが、それは割愛します。
どの公約を見ても、言葉は、間違っていません。でも、口先だけです。
この公約を見て、国民の皆さんは、国民民主党に政権を取って欲しいと思うのでしょうか。
国民民主党に政権を委ねれば、国民生活が豊かになると思う国民は、何人いるのでしょう。
そんな国民はいないと思います。
もちろん、国民民主党も政権を取ろうなんて考えていないでしょう。
「先生」と呼んでもらえる快感と余禄、議員歳費というカネのうま味、に群がるだけの助平根性が、彼等の原点だと思います。
自民党批判票、立憲民主党批判票、共産党批判票が取れれば大成功なのだとすると、国民民主党の存在価値は、どこにあるのでしょう。
そんなもの、あるようには見えませんが、実は、国民民主党にも存在価値があるのです。
それは、自民党政治の補完機能としての価値があるのです。
自民党政治が100%国民に受け入れられるなんてことは、ありません。
人は、百人百様です。国民の不満は、常に存在します。
ですから、その不満の受け皿としての野党が必要なのです。
これまで、自民党批判が大きくなった時代が何度かありますが、その後、すぐに、復元しています。ですから、戦後日本の国家統治は、ほぼ、自民党が担ってきました。
日本では、基本、「お上」は自民党なのです。
野党は、基本、「ガス抜き装置」としての機能を持っているのです。
では、国民は、自民党を信頼しているのでしょうか。
そうではありません。
国民は、自民党を信頼はしていませんが、歴史と伝統に従い、自民党が「お上」なのだと思っているのです。いや、思い込んでいます。封建時代の百姓だって、領主を信頼していたわけではありません。歴史が、「お上には従う」という伝統を作ったのです。それが、現在でも、脈々と受け継がれているのです。
結果、政治家は、自分達が特別の存在だから、何をやってもいいと思っています。
国民は、政治家を「先生様、先生様」と呼んでくれます。まるで、「お殿様」です。
もう、歴史と伝統という伝統的な手法では乗り越えられない時代を迎えているのです。
確かに、歴史と伝統から生まれた曖昧文化は、心地いい面が多々あります。
だからと言って、国民生活が破綻したのでは元も子もありません。
私達の国は、これまでの長い歴史の中でも、最も困難な時代に遭遇しているのです。こんな時代は初めてだと思います。
今日は、国民民主党の公約を取り上げましたが、まだ、これでも、ましなほうです。「消費税廃止」「ガソリン税廃止」「年間40万円給付」と約束している政党もあります。国家運営を放棄しているとしか思えませんが、それでも、一票を投ずる人がいます。
極論ですが、投票所へ行ってはいけません。それは、一票を投ずるに値する政党が存在しないからです。どうしても、投票したいのであれば、「白票」を投ずることをお勧めします。もちろん、こんなことをしても、何も解決しません。でも、消極的な意志表示にはなります。投票率が20%になれば、「何とかしなくては」と思う人も出てくると思います。
政治家は、どの党の政治家も「国民の金銭的な要求に応える」のが政治だと思っています。それ、違います。「国民生活を守る」ことが仕事です。国民生活を守るためであれば、国民に「責務を果たせ」と言わねばならない時もあります。それなのに、野党は、国民にゴマをすり、実現しない「ばら撒き」の公約ばかりを掲げます。政治家の皆さんの仕事は、詐欺を働くことではありません。国力衰退を止め、国民生活を守ることです。
確かに、国民も、政治が「金銭的な要求」に応えてくれること期待しています。それは、政治家も国民も、自分の責務を知らないからです。政治家も国民も「なあ、なあ」「まあ、まあ」をやっているのです。こんな国が、繁栄するとは思えません。
こんなやり方を続けていれば、国民の皆さん一人一人の生活が破綻します。
国家運営システムも、選挙も、これまでの既成概念も、文化でさえも、賞味期限を過ぎています。どうか、そのことに、気付いてください。


2022-07-01



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