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記事紹介 38 [記事紹介]



ロイターの記事を紹介します。BNPパリバ証券 経済調査本部長の河野龍太郎氏のコラムです。専門家の方にも、いろいろな意見があります。専門用語や専門家の視点が出てきますので、私にはよく理解ができませんが、この筆者が心配していることは長期金利が制御できない危険物だと言っているのは理解できます。



これまでのコラムでも述べてきたように、アグレッシブな金融緩和と大盤振る舞いの追加財政をパッケージにしたアベノミクスは、今後も追加財政を止めることができず、結局、「マネタイゼーション」の罠に陥るのではないかと筆者は懸念している。このとき問題は、デフレから脱却した際、日銀が国債をアグレッシブに購入しても、長期金利の上昇を食い止めることが難しくなるという点だ。
1%の均衡実質金利を前提にするならば、2%のインフレ予想が定着した場合、長期金利は少なくとも3%程度まで上昇する。長期金利が上昇し、損失が発生すると、投資家は損失リスクへの見返りとして上乗せ金利(リスクプレミアム)を求めるようになる。リスクプレミアムが織り込まれれば、長期金利は4%、5%へ上昇しても不思議ではない。
現段階では、債券投資家はリスクプレミアムをほとんど要求していないが、債務危機が発生する前の南欧諸国の国債金利はドイツ並みの低位で安定し、リスクプレミアムは相当抑え込まれていた。しかし、危機が始まると、同プレミアムは跳ね上がり、債券利回りも急上昇した。ギリシャやポルトガルは言うに及ばず、イタリアやスペインにおいても、危機のピークでは10年債利回りの対独スプレッドが6ポイント前後まで急上昇したことは、記憶に新しい。
日本にとって、この南欧諸国の教訓は重い。政府債務残高は対国内総生産(GDP)比ですでに先進国中最大の200%に達している。いったん長期金利が上昇を始めれば、利払い費が増大し、債務残高が雪だるま式に膨張していく。
長期金利の上昇を受けて、国債を大量に保有する金融機関の自己資本が劣化すれば、金融システムに動揺が走りかねない。後述のように対応を誤れば、南欧で見られた「銀行支援のための財政膨張、国債価格下落、銀行の資本劣化」という財政問題と銀行危機の負のスパイラルが始まるリスクがある。
<長期金利の分水嶺は3%か4%か>
では、長期金利がどの程度上昇すれば、金融システムは動揺を始め、危機に陥るのだろうか。大手金融機関と地域金融機関の多くは、3%程度までの長期金利上昇への備えは十分にできている模様である。保有債券の実質的な価値の毀損(きそん)により、純資産の3割前後は失われるものの、「バーゼルⅢ」上で必要な自己資本比率は維持される。系統金融機関についても、自己資本への影響は同程度にとどまると見られる。
しかし、問題は総資産の5割以上を国内債券で保有する中小企業金融機関等だ。長期金利が3%を上回ってくると、保有債券の価格下落により自己資本の7割以上が実質的に失われるため、経営問題に直面する恐れがある。
このこと自体は、あくまで一部の金融機関の問題で、本来、金融システム全体に影響を及ぼすものではない。しかし、これらの金融機関は強い政治力を有するため、1990年代のように、政府が誤って猶予政策を取り、ゾンビ銀行の延命に財政資金の投入を始めると、市場は将来的に公的資金の投入が際限なく膨らむ可能性を意識する。その結果、財政リスクプレミアムが上昇し、長期金利は一段と上昇しかねない。
長期金利が4%に近づけば、今度は地域金融機関で自己資本が不足し金融システムに動揺が広がるが、リスクプレミアムの上昇を目の当たりにした政策当局は資本注入に二の足を踏むだろう。しかし、この時点では、株式市場も動揺が始まっていると想定されるため、市場からの資本調達も難しい。結局、日銀が国債の買い支えに動かざるを得なくなるが、動揺した市場を安定化させることは容易ではないだろう。
巨額の財政赤字が続く日本では、政府は継続的に国債を発行し、入札によって消化する必要があるが、欧州債務危機で見られたように、リスクプレミアムが発生し金利が上昇する局面では、損失を抱えた金融機関は応札を手控えるため札割れが生じ、そのことがさらなる金利上昇圧力となる。
中央銀行によるセカンダリー・マーケットへの介入だけで、金利上昇を抑え込むことは容易ではなくなる。また、物価安定よりも金融システムの安定を重視せざるを得ない日銀の行動そのものが、円安を加速させインフレ懸念を高めることで、長期金利のさらなる上昇圧力をもたらすだろう。
長期金利が5%を超えると、大手金融機関、系統金融機関でも自己資本不足に陥るところが現れ、金融システムは危機的様相を強める。6%まで上昇すると、大手金融機関を含め大半の金融機関で自己資本が不足することになる。市場から資本を調達しようにも、株式市場でもかなりの動揺が広がっているため、大手金融機関であっても自己資本を充当させることは難しい。国債の価格下落が問題の根源にあるため、危機収束のために公的資金を投入しようにも、市場から資金を調達することもできず、日本政府単独では対応できない。国際通貨基金(IMF)に支援を求めることになるだろう。
あるいはもう一つ、金融抑圧政策という選択肢もある。こちらの方が、蓋然性が高いと思われる。金融抑圧政策とは、公的関与の強化によって、インフレ率が上昇しても、低い金利の国債を金融機関に半ば強制的に購入させることだ。マイナスの実質金利となる国債を保有する金融機関、最終的には預金者や保険契約者、年金契約者の犠牲によって、公的債務(正確には対GDP比)を圧縮していく。具体的には、日銀の大量国債購入だけでなく、国債保有の優遇税制の導入や非市場性国債の発行、時価会計の停止などを実施する。
政策当局者が現段階でそうした政策を検討しているとは思われないが、インフレ率が上昇し長期金利に上昇圧力が加わり始めると、眼前の財政危機や金融システム危機を避けるために、政治家や行政官、セントラルバンカーが対症療法を続け、結果的に金融抑圧政策が進展していく可能性がある。金融抑圧政策については、改めて論じる。




余談です。
この意見が妥当な意見なのかどうか、私にはわかりません。
ただ、日銀の会見では、説得力のある説明がありません。質問に対しても、意識的に主旨を外した回答をしているように見えます。もしかして、この人達はわかっていないのではと思わせる空気があります。リフレ理論を全否定出来ないとしても、解明されていないだけで、いろいろな条件が満たされた時に起きる経済現象なのかもしれません。
動き始めれば、いつか幸運がやってくる、と考えているのかもしれません。もっと厳しいことを言えば、リフレ派の人達は脚光を浴びるチャンスに飛び付いただけかもしれません。
日銀の説明に明確な反論をしている人達がいるということは、日銀の説明を鵜呑みにしている人が少ないのではないかと感じます。専門的で難しいので、私の感覚が正しいかどうかはわかりませんが、上記のコラムを書いた河野氏の意見の方が説得力があるように感じます。私の目には、日銀が「迷走」しているように見えてしまうのです。
でも、問題は、専門家だけではなく、石田のような素人が危惧している状況がやって来た時に、それは長期金利が急騰した時にという意味ですが、国民の生活がどうなるのかということです。エコノミストの仕事は、経済事象に関する分析ですから、国民生活には言及しません。それは、私達国民が考えることなのではないでしょうか。
国民目線から見れば、これは大事件だと思いますが、皆さんはどう思いますか。
あなたの生活には、何の影響もありませんか。
先日、テレビを観ていましたら、専門家らしき人が「長期金利が上がって、財政が破綻する可能性はありますが、それは、ただ、財政が破綻するだけですから」と国民には何ら影響がないような発言をしていました。その場にいたお笑い芸人やタレントは、「俺達には、関係ないんや」と私語していました。財政破綻が国民に与える影響は、語ってはいけないという決まりがあるのかもしれません。

国会議員が新聞に対する軽減税率適用の署名運動を始めたという記事がありました。理由は「言論」を守るためということです。今の新聞に言論なんてありません。今の新聞にあるのは政府によって統制された情報を複写するだけです。いっそのこと、全て国営新聞にすべきなのではありませんか。上記のような記事が新聞では見られないのに、言論を守るという大義が適用されるのは変です。


2013-05-29



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