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記事紹介 21 [記事紹介]



記事を三つ紹介します。一つは10/25のフィナンシャルタイムズ紙の記事で、残り二つは11/8のダイヤモンド・オンラインの記事ですが、長文なので部分的に抜粋しました。興味のある方は、是非、それぞれのサイトで読んでみてください。


その1

10/25 フィナンシャルタイムズ紙
表題「欧州の新たな首都ベルリンへようこそ」

[抜粋]
 実際のところ、ベルリンは次第に欧州連合(EU)の事実上の首都になっている。もちろん、EUの主要機関である欧州委員会と欧州理事会はブリュッセルに本部を構えている。だが、重要な決断は次第にベルリンで下されるようになっている。
ギリシャはユーロから離脱しなければならなくなるか? これは最終的にドイツが判断する問題だ。政治家は南欧諸国に対する追加の救済策を支持するか? これに関する極めて重要な議論は、欧州議会ではなく、ベルリンの連邦議会で行われることになる。
 国際通貨基金(IMF)がユーロ危機に関して電話する相手は誰か? 最も重要な対話は、欧州委員会ではなく、ドイツ政府およびフランクフルトの欧州中央銀行(ECB)との間で行われる。
ドイツによる財政支援の代償は次第に、ベルリンで定められた規則と法律を受け入れることになってきている。
この手の権力は奢りにつながることがある。筆者は先週ベルリンで、傲慢なスペイン人、高飛車な英国人、妄想に暮れるフランス人、堕落したギリシャ人に対する怒りの言葉を時折耳にした。
問題は――もし問題が存在するとしたら――、ベルリンの生活があまりに甘美だということだ。ドイツは裕福な国で、ベルリンは快適でファッショナブルな都市だ。ギリシャやスペインの苦闘は、遠くかけ離れた場所の出来事のように思える。「力への意志」ではなく、その他ユーロ圏諸国からのこうした孤立こそが、ベルリンが欧州の奇妙な首都であり続ける理由だ。


その2

11/8ダイヤモンド・オンライン
表題「大国の誇り諦めた米国有権者―”撤収する指導者”となるオバマ大統領」
筆者 山田厚史 氏

[抜粋]
 オバマになっても米国経済は好転しなかった。2期目の大統領選挙は「業績評価」とされるが、実績を見ればオバマは期待はずれで落第だった。それでも米国民は再びオバマを選んだ。4年で結果は出なくても、あと4年の執行猶予を与えたのである。


その3

11/8ダイヤモンド・オンライン
表題「財政赤字と金融緩和の行き着く先はどこか?」
筆者 野口悠紀雄 氏


[抜粋]
 しかし、現在の状態がいつまでも続く保証もない。
 いまの財政状況をいつまでも続けられるとも思えない。
 理由について議論の余地はあるものの、日本が公的債務を積み上げているのは、間違いない事実だ。そして、日銀がこの貨幣化を行なっているのも事実だ。
 では、この状況は続けられるのか?これは、日本経済にとって、最大の問題だ。
 海外からの資金流入が続けば、当然、国債の外国人保有比率は上昇する。外国人投資家は、これまでサブプライム証券化商品や南欧国債を買ってきたときと同様、短期に資金調達して運用している。だから、市況が変化すれば、簡単に売りに転じる可能性がある。
 第2に、「日本国内の国債購入者である金融機関は、簡単には国債を売却しない」と述べた。しかし、金融機関のうち、メガバンクは、保有国債のデュレーションを著しく短期化している。これは、将来起こりうる金利高騰に備えた行動であると解釈することができる。
 インフレの兆候はないが、バブルはすでに起きている。国債バブルだ。それが崩壊すると、金融機関に巨額の損失が発生する。
 現在の世界経済は、ユーロ危機の行方(収束するかどうか)、アメリカ金融政策(緩和からの転換が起きるか)、中国経済の動向(成長減速が続くのか)に大きく影響される。
 これらの一つでも大きく変わると、日本経済は変調する。すでに中国の減速が、大きく影響している。日本の将来は、大きな不確実性に包まれていると言わざるをえない。



余談です。
国家運営の最も重要な仕事は経済運営だと、何度も書きました。
そこで、欧州とアメリカと日本の話題を取り上げました。
ドイツの一人勝ちになっている欧州の現状は、この基本的な現実を如実に示しているものだと思います。以前に残飯を拾い歩くギリシャ市民の話を書きました。ドイツやギリシャに行くチャンスはありませんが、ドイツ庶民の暮らしとギリシャ庶民の暮らしの格差は大きくひらいているものと思われます。それは、国が経済運営に成功したか失敗したかの差なのです。
アメリカは、難しい選択を迫られています。その原因は基本的に経済問題です。アメリカも巨額の借金を抱えていますので、オバマを選んだということは、世界戦略に大きく貢献してきた軍事力の削減に動くということです。このことは、近い将来、アメリカはこれまでと別の道を進まざるをえないということです。アメリカの力の源泉になっていた軍事力。その軍事力を支えてきた経済力。でも、借金には勝てなかったようです。アメリカの時代は終わったという人もいますが、すぐにでもアメリカが没落するということではないでしょう。もう少し時間が必要です。
参考までに、中国の発言権が強くなっているのも、その背景は経済です。
では、日本はどうなのか。
経済的には、GDPで中国に抜かれ、国内では貧困者が増大しています。そんな日本の最大の問題は財政問題です。確かに、今日明日の財政破綻が見えている訳ではありませんが、近い将来に必ずやって来ることが決まっている、大災害みたいなものです。野口悠紀雄氏の危惧している環境は直近のものですから、かなり近い将来の心配をしているようです。5年以内には、欧州かアメリカか中国で何かが起こる可能性は高いと思います。
石田の予測では、崩壊は14年後ですから、まだ多少の時間はあります。その根拠は、苦痛度レベルは時間をかけて深くなっていくと予測しているからです。一気にレベル2からレベル9にはならないのではないかと思っています。日本人は、もっと、もっと、貧しくなり、財政破綻が起きなくても生活苦に喘ぐレベル5の人達が増えます。
ただ、レベル5からレベル9へは時間的に短いかもしれません。財政破綻は、崖っぷちに立っている国民の背中を押す、最後の一押しになるのだろうと予測しています。14年後の日本国民は疲弊しきっていますので、踏ん張る力は残っていないと思います。


さて。
日本は、経済成長という課題に真剣に取り組んでいるのでしょうか。
いいえ。それは、この20年間の実績を見ればわかることです。
国家運営の基本中の基本である経済運営のことは、いつの間にか遠い話題になってしまっています。多分、経済成長しないことにでも、人間は慣れるものなのでしょう。
また、日本の国際環境が厳しくなっていることを、民主党外交の拙劣さだとする評論が主流になっていますが、それは違います。日本の国力の低下による、他国のごく自然な対応の変化なのだと捉えなくてはなりません。
そんな下り坂にあるこの国で、あらゆる場面で、論点が本質から外されているのは、なぜなのでしょう。今ほど、根源的な問題と向き合い、本質に係わる議論をしなければならない時はありません。「これは変だぞ」と誰も言わないのは、どうしてなのでしょう。
実に多くの場面で勘違いが横行していますから、国民は、まるで、靴の上から痒い足を掻くような苛立ちを感じています。
国民をミスリードしている欺瞞に満ちた世論操作を終わらせるためには、誰かが、どこかで正論を述べるだけでは難しいのです。ぼけた国民と、カネの亡者になった利権集団の人達の目を覚まさせるには、ショック療法しかないのだろうと思います。
そのショック療法のつもりで、「苦痛度等級」や「崩壊との遭遇」という文章を書きましたが、これを多くの国民に伝えることが出来ませんでした。きっと、私のように歯ぎしりをしている方は他にもおられると思います。庶民は無力だということです。国民の声を代弁してくれる筈だったメディアの視線は国民や国の将来を見ていません。
石田は、自分の発言力のなさを嘆いて、ジャーナリズムに矛先を向けますが、元々、日本にはジャーナリズムはなかったのかもしれません。「お上」の管理術は、江戸時代から今日まで成功し続けています。その管理術は江戸末期に破綻しそうになりましたが、明治政府は見事に復活させました。ジャーナリズムが育つ土壌はなかったのです。日本の歴史の中で、ジャーナリズムが歴史を動かしたことはありませんでした。日本の国家統治は封建時代の延長線上から外れていません。封建社会では、為政者である「お上」の質により「下々」の生活は決まります。「お上」が利権漁りをしている時代には、庶民は苦しい生活を強いられていました。これは、何百年も変わっていません。敗戦後、日本は民主主義という言葉を、言葉として輸入しましたが、日本流の民主主義は「お上」の道具の一つになり、「お上」はその本当の中身を国民に伝える努力もしませんでした。私達国民は、日本が民主主義国家だと信じ込まされていますが、国民は民主主義について考えたこともありません。そんな社会で、メディアが利権にしがみつき、国民を無視し、自分勝手な理屈を作り上げているのは必然なのでしょう。
3.11の福島原発事故の時、日本政府は情報を徹底的に隠していましたから、海外メディアでしか事故内容を知ることができないと言っている方が多くいました。財政破綻の問題も、その危険を正面から指摘しているのは、主に海外メディアです。ネットメディアの中では財政破綻に言及する記事が出てきましたが、それは、財政破綻の危険を指摘する記事であり、財政破綻の結果が国民生活をどのように変えるかという記事はまだ見当たりません。財政破綻の危険があるという知識は得られますが、それが、自分にどう関係するのかを知ることは出来ません。他国の財政破綻の記事と何ら変わりがないのです。
この国の歯車が狂っていることを把握しているのは「お上」だけなのでしょう。正常な動きにしなくてはならないことは「お上」も理屈ではわかっていますが、利権を手放すことができませんので、「お上」もフリーズしています。「お上」を運営しているのも人間ですから、欲が最優先になっても仕方がありません。ですから、これはシステムの不備だと考えなくてはならないのです。性善説や曖昧文化を卒業して、システムの不備を修正する勇気を持たなくてはならないのだろうと思います。そうしないと、皆がこけます。ただ、これが簡単な事ではありません。それは、敵が人間最強の本能である「欲」だからです。「カネ、カネ、カネ」という欲に勝てるとすれば「生き延びたい」という欲しかないと思いますが、そんな危険が身近に迫っていることを誰も知りません。「生き延びたい」という欲が生まれる時には、「自分だけは、生き延びたい」という欲も生まれます。そして、その欲望が破滅への道だということに、人間は気がつかないものなのです。
うまくいっている時は、いろいろな事が噛み合うものですが、うまくいっていない時は、チグハグになるものです。そのチグハグには人為的なものも含まれています。本当の課題に触れようとしませんので、この国では、無理が無理を呼び、全体を歪な形にしてしまっているのです。
今の日本の状況は「お上」も「下々」も皆で自分の首を絞めているようなものではないでしょうか。集団行動ですから、誰も「自分が悪い」とは思っていません。こういうことができるのは、この地球上では日本民族だけではないかと思います。
日本史の中には集団自決という場面がどの時代にもあります。今度の日本崩壊は、その集大成になるのかもしれません。
集団行動だとはいえ、個人個人には自分の感情があります。周囲の空気には逆らえないので黙っていますが、喜んで自決をする人などいません。それでも、不思議と足並みを揃えることができるのが日本人です。
私には、一歩一歩破滅へと向かっている今の日本人が、そんな風に見えています。
日本人は、過去に多くの栄枯盛衰を体験してきました。ある時代が終わっても、日本は見事に再生してきたという実績があります。ですから、今度も再生するだろうという漠然とした安心感があります。でも、本当に、そうなのでしょうか。
国民が感じている不安感・焦燥感・閉塞感は間違っていないのです。無理は、どこかで破綻すると相場は決まっているのです。我々の第六感は、すでに破綻を認識しています。偽装された世論には危機感がないけれど、自分の第六感は危ないと感じている。しかし、世間はどんよりとした平和の中で、気力を失った人達がどんよりとした時間を過ごしています。笑えないお笑い番組を見て、無理矢理、笑っている不自然さにも気付いていません。自分の体のどこかで空っ風が吹いているのは何故なのだろうと思う時もあるのに、その正体はわかりません。テレビや新聞は、目を背けたくなるような話題を日替わりで伝えてくれます。それでも、世間は平和です。自分の内側と外側が、全く連動していないのは気持ちの悪いものです。目に見えないその違いに、多くの国民が「何か変」だと感じています。それが、国民のイライラになっているのではないでしょうか。
あなたに、イライラはありませんか。
あなたが歩いている方向は、あなたにとって正しい方向ですか。
この国は、あなたの子供や孫が安心して生きていける国になれるのでしょうか。


2012-11-12



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