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終わらない茶番劇 [評論]



今日は、衆議院解散ということなので、評論を書くことをお許しください。
選挙の意味と、選挙の争点について書きます。

突然の解散宣言で政界は一気に選挙モードに突入した、という見出しがメディアを賑わしています。
さて、国民の審判という言葉も踊っていますが、国民は何を審判するのでしょうか。
消費税ですか、TPPですか、原発ですか。
震災復興を誰も争点にしようとしないのは、何故なのでしょうか。
この国では、意識的に論点がずらされていると何度も書きました。各党の主張が、まだ明確にはなっていませんが、今度の選挙でもどうやら論点は本質から外れ、曖昧な争点に終始し、国民は、漠然とした、好き嫌いという従来通りの判定基準で審判することになるものと思われます。メディアでは争点論議が行われていますが、この選挙に争点はありません。隠された争点はありますが、表面化することはないでしょう。
先ず、消費税増税ですが、自民、公明、民主、第三極は消費税増税容認です。増税で得られる税金の使い道が違うだけです。小沢さんや共産・社民が反対を叫んでも争点にはなりません。
それは、TPPでも同じです。民主党は賛成です。自民党は、アメリカと財界の意向を無視する訳にもいきません。橋下氏もTPP賛成です。
原発問題は少しだけ争点になる可能性はありますが、自民・民主・公明は、出来るだけ争点にしたくないと考えるでしょう。橋下氏は原発再稼働反対ですが、やり方によっては原発そのものは容認する余地はあります。
震災復興は候補にもなっていません。
原発再稼働反対だけを争点にして、選挙ができるでしょうか。
つまり。
争点はないのです。
小沢さんの党と共産党と社民党が第三極であるのなら、争点ははっきりしますが、この三党にはもう力はありません。
石原さんは、統治機構を変えるのだと言いますが、無理です。本来であれば、本物の争点になるべき課題ですが、現状では、これも争点にはなりません。
なぜなら、石原さんにも、橋下さんにも、みんなの党の渡辺さんにも、グランドデザインがないからです。新しい哲学と思想がないとしても、国家像がなくてはなりません。自民・民主・公明だけではなく第三極にも明確な国家像という大義がないのです。大義がなければ、グランドデザインは描けません。彼等が統治機構の変革と言っているのは、官僚をぶっ潰せと言っているだけです。大義もなしに、現行の統治機構を潰すことなど出来るわけがありません。ただの暴力行為に国民が賛同してくれるとも思えません。また、官僚組織はそんな軟弱な組織ではありません。官僚機構が諸悪の根源だと言っている石田でも、こんな無茶な話には賛同できません。日本は、30年後に、50年後に、100年後にこんな国になりたい。その為には現行の統治システムをこのように変えなければならない。だから、賛同して下さい、と言えば争点になるのです。そこには大きな計画だけではなく、緻密な計算が必要になります。第三極には、その片鱗すら見えません。自民・民主・公明にも、それがないことは間違いありませんが、自民・民主・公明と同じレベルで戦かおうとしても、戦いにはなりません。挑戦者なのですから、既存政党にはない強みが必要なのです。
多分、自民党は、デフレ脱却と経済成長を宣伝文句にすると思いますが、彼等は自分達が20年間空手形を切って来たことを棚に上げようとしています。民主党が経済運営に失敗したのは3年ですが、自民党は17年間も失敗してきた前科者です。よくも、ぬけぬけと言うものだと思っています。
株式市場では公共工事関連銘柄が上昇しています。自民党は10年間で200兆円の公共投資をすると言っています。日本の、どこに、そんなお金があるのでしょう。消費税増税分は、全て公共投資に化けます。国の借金は、一般会計の不足を補うために10年間で400兆円の増加になりますが、公共投資の分だけでも更に200兆円増加するのです。今ある1000兆円の借金もほとんど自民党が残したものです。このツケを誰が払うのですか。次の選挙で自民党を支持するということは、国民もその責任を自ら背負うということです。つまり、最終責任をとる用意があると意志表示をすることになるのです。一人当たり1000万円、家族四人の標準世帯であれば、4000万円の負担をすることに同意する選挙になるのです。この金額が意味するのは、国民の全財産を没収するということです。国民は無一文になることを覚悟して、自民党に投票するのです。私には究極の馬鹿にしか見えません。
これは、選挙の争点にはなりませんが、隠された本物の争点はここにあるのです。「まさか、そんなことは知らなかった」と言っても後の祭りです。多分、14年後の借金は2000兆円になっているでしょう。どうやって、やりくりするのですか。
自民党の安部氏は、「無制限の金融緩和」をすると発言しています。日銀に対する批判があることは承知していますが、これは、滅びへの道程をまた一歩進めることになります。
それでも、自民党政権が復活するのでしょう。この国に山口県民がいる限り、自民党が消滅することはありません。戦後67年間、日本人は曖昧の中で過ごすことに慣れてきました。今度の選挙も曖昧なまま決着するものと思いますので、歴史は後退するしかありません。私達は、民主党の大失敗すら、何ら教訓にできなかったのです。
アメリカの大統領選挙では、経済問題と財政の壁の問題が争点になりました。アメリカ国民は軍事費の削減を選択し、オバマ氏を選びました。この争点は、アメリカにとってまさに本質的な争点なのです。中東政策や中国政策よりも、経済・財政の問題の方が重要だと政治家も国民も判断したのです。その観点から、アメリカ国民には審判の対象があったのです。結果として、増税と歳費削減という困難な道を歩むことになりますが、国が破綻するよりはいいと判断したのです。アメリカとアメリカ国民は、経済と財政という本質論から逃げなかったのです。他国の事ですが、決してアメリカを好きにはなれませんが、立派だと思います。ただ単に、アメリカには曖昧文化がなかったことによるのかもしれませんが、険しいけれど正しい道を選んだのだと思います。
日本では、財政破綻の問題は、全ての党が争点にはしないものと思います。
それは、どの党も勝算が持てないほど、問題が大きいからです。
改革という意識ではできません。革命でなければ為し得ないほどの課題ですから、どの党も棚に上げるしかないのです。革命などすれば、自分の利権が吹っ飛ぶことくらいは知っています。今は、まだ利権を手にしていない日本維新の会にも無理です。それは、本物の覚悟がないからです。維新という言葉は革命と同義語ですが、橋下氏にそこまでの覚悟は見受けられません。
本当は、日本でも、経済と財政の問題が最も重要な課題です。しかし、日本はその最重要課題を棚に上げて、曖昧なままで、時を流す生き方を変えられません。
日本の選挙は、国の進路を決めるためのものではなく、ほぼ、惰性や好き嫌いで投票が行われます。AKBの選挙と何ら変わりがありません。ですから、日本の政党では代表者には容姿端麗が求められます。石破さんよりは安部さん。小沢さんよりは菅さん。野田さんよりは細野さんが選挙の顔になるのです。もっとも、野田さんは強権を使って選挙の顔になろうとしていますが、あの顔では勝てる戦も勝てなくなります。
日本の選挙は国の進路を選ぶためのものではなく、単なる人気投票ですから、本質的な問題を選挙の争点にする必要がないのです。
ですから。
この国では、まだまだ、茶番劇が続くことになります。
石田の日本崩壊の予測を補強してくれる材料には不自由しません。
間違いなく、この国は崩壊します。
責任を取ろうという国民は一人もいませんので、全員で責任を取るために、皆で仲良く地獄に堕ちていくのです。日本人らしい生き様だと言えば、まさにその通りですし、馬鹿な民族だと言えば、おもいっきり馬鹿な民族だとも言えます。
どこまでも続く茶番劇。終わらない茶番劇。これで、この国の将来が希望に満ちた将来になると思える人がいるのでしょうか。
いいえ。
崩壊へと加速度がつき始めました。
国民も、もう薄々とは感じています。やがて地獄が来ることを。


2012-11-16



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