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記事紹介 19.5 [記事紹介]



JBPRESSの10/29付の記事を紹介します。
フィナンシャル・タイムズの「日本国債の回転木馬に現れた亀裂」という表題です。




ふと立ち止まって考えると、日本の政府債務はかなり恐ろしいものだ。1000兆円を超える政府の債務と保証債務の残高は、国民1人当たり約800万円にもなる。
 しかも、国内総生産(GDP)比235%に相当する残高は増え続けている。過去4年間、財務省は毎年、税収よりも多くの金額を国債発行で集めてきた。恐らく来年度もそうするだろう。

ディーラー側が財務省に要請した異例の会合

 政府が物事をうまく回し続ける方法は、誰も立ち止まってこの状況について考えないようにすることだ。すべての国債入札は毎回、財務省が実施されると言った時に必ず行われる。2~3カ月に1度、国債の発行で入札を義務付けられている有力債券ディーラー25社が財務省に招かれ、どうすれば発行プロセスを円滑に進められるか話し合う。
 だが今回は、ディーラー側が自分の方から押しかけてきた。これは政府にとって非常に憂慮すべきことかもしれない。(財務省と金融機関の会合は通常、財務省が召集をかけて開催されるが、10月26日の会合はディーラー側の要請を受けて臨時に開催された)

 赤字国債法案――2012年度(2013年3月までの会計年度)予算92兆円の約40%の資金を政府が調達することを認めるもの――を巡る政治的な行き詰まりが妥協以外のもので終わるとは誰も思っていない。
 野田佳彦首相は総選挙を行うという今夏の約束を守るだろうし、野党は11月に臨時国会が閉会するまでに赤字国債発行法案を通過させるだろう。
 結局のところ、誰も国の年金支払い能力を脅かしていると見られることは望んでいない。「政治家はそれほど馬鹿ではない」とある債券トレーダーは言う。

もし国債発行が停止されたら・・・

 だが、日本の財政に当てられたスポットライトは熱くて不快なものだ。東京のディーラーは、それが本当に起きると思っていないとしても、来年1月に次の通常国会が開かれるまで国債発行が停止されるというシナリオと向き合わざるを得なくなっている。
 1つの結果は、市場の頼みの綱である日本の大手銀行、生命保険会社、年金基金が、急激に限られたものになる資産のプールを追いかけることによって、国債価格が急騰することかもしれない。逆に、赤字国債発行法案が最終的に成立した後の大量発行で入札が失敗に終わるのではないかという不安に駆られて、国債価格が暴落することかもしれない。
 どちらにしても、打撃は避けられない。だが、支出の凍結が日本の不安定な経済にさらなるダメージを与える――野村証券の試算では、場合によっては昨年の地震と津波の影響の3倍も厳しい打撃になる恐れがある――との理解が広がる日はそう遠くないかもしれない。このような事態になれば、それ自体が相場急落の引き金になる恐れがある。
 外国人投資家の役割については言うまでもない。過去数十年間の大半の期間、外国人投資家は、日本の債券市場で通行人の役を演じてきた。今は、もっぱらユーロ圏危機からの安全な避難先を求めて資金が流れ込んでいるおかげで、外国人が日本国債のほぼ10分の1を保有している。

外国人投資家を遠ざけてしまうリスク

 その資金の多くは、ただ短期国債に逃げ込んで、欧州で何らかの解決が見られるのを待っているだけだが、ボラティリティーが低いために珍重されている長期国債に流れ込んでいる資金もかなりある。価格下落に促されるにせよ、ただ価格下落への不安に促されるにせよ、そうした外国人投資家の資金が大量に引き揚げられれば、摩擦を起こす可能性がある。
 三菱東京UFJ銀行の平野信行頭取は、今月東京で行われた国際通貨基金(IMF)のイベントでうまいことを言った。外国人が日本国債を買っているのは、日本国債が良い投資先だと思っているからではなく、「将来の安定した経済と恐らく安定した社会への期待」からだ、と述べたのだ。
 東京で広がる不安は、世界最大の債券マシンがガタピシいう音に関心を引き付けることによって、政府が外国人投資家を追い払ってしまう恐れだ。





余談です。
前回の記事紹介19の記事に類似した記事がありましたので、追加として記事紹介19.5にしました。ご存じだとは思いますが、国債の暴落と長期金利の暴騰は同じ意味です。
フィナンシャル・タイムズは以前から日本国債の危険度を何度も指摘しています。その危険度はなくなった訳ではなく、より危険になっていますので指摘せざるを得ないのでしょう。
念のために、フィナンシャル・タイムズが書いている内容は、英国の話ではありません。日本国内の話題です。他国のジャーナリストに、このような記事を書かれて、日本のジャーナリストはどう感じているのでしょう。
日本のメディアがこの問題の本質をニュースとして伝えているでしょうか。また、正しい問題点を指摘し、国の将来を憂慮しているのでしょうか。この現実が外国人には見えて、日本人には見えない、なんてことがあるのでしょうか。
それは、ありません。
この実情をニュースにすれば、メディアが利益を失うから、触ろうとしないのです。自分の社や自分自身の利益が優先し、国民や国の利益が無視されている結果です。
公共性が求められるメディアが「自分さえよければ」をやっているのです。
紹介記事の文中で「政府が物事をうまく回し続ける方法は、誰も立ち止まってこの状況について考えないようにすることだ」という文章は、問題意識がなければ訳のわからない文章だと思います。前回も書きましたが、利権集団の人達は一致団結して、国民が立ち止まって状況を把握することを阻止しているのです。
皆さんは、石田の評論は無茶な話が多いと思っている筈です。私も、眉に唾をつけながら読んでくださいとお願いしています。
でも、石田が無茶なことを書いているのではありません。利害関係さえなければ、誰もが気付くことを書いているだけです。官制情報を垂れ流しているこの国では、そして、それに慣れきっている国民には、きっと、石田の主張の方が嘘八百に見えるのだと思います。
そうは言っても、やはり、眉に唾をつけながら読んでください。100%正しいことを書いているとは、決して言いませんから。


2012-10-30



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