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マスメディア [日記]



先日、某新聞社の紙面に「復興増税から逃げ回る与野党」と副題のついたオピニオンがありました。
国会の外から、「増税せよ」というエールを官僚に贈っているのは何故なのでしょう。
「政治家どもの、ケツを蹴り上げてやってよ、某新聞社さん」と官僚に裏で言われた論説委員が、官僚を応援するために書いたオピニオンのように見えました。「世論操作は俺達に任せておいてよ」と胸を叩いたのでしょう。
ひどい。
余りにも、ひど過ぎる。
これが、日本のジャーナリズムです。
新聞社が利権グループの一員である事を誇りにするなんてこと、「あり」なんですか。
恥じるという感性すら失ってしまった人達を、ジャーナリストと呼んでいいのでしょうか。
時々、海外の新聞社の記事を参考資料として書きますが、極めて大きな差があるのは歴然としています。外国製だから良いなどという盲信は、私にはありません。

論説委員の岩崎氏の論旨はこうです。
最初に言っておきますが、この方は政治情勢も経済情勢も全て承知の上で書いています。
官僚に依頼された結論が最初にあり、その為に詭弁を弄している努力は認めますが、余りにも国民を舐めた話で納得できません。少しだけ、その文章を検証したいと思います。

1. 「政治家の中の増税反対勢力は、増税が景気悪化に拍車をかけるとして反対している」と書いています。
当然、景気は悪化するでしょう。
増税が景気悪化に拍車をかけることは、過去の実績からも、経済の常識からも非常に確率の高い事実だと認識せざるをえません。
ただし、政治家は景気悪化を心配して反対しているのではありません。それは、政治家特有の後付け理由にすぎません。彼等は、一票を減らしたくないから反対なのです。菅さんを除いて、増税の好きな政治家など一人もいません。
逆に言えば、氏は、増税が景気悪化に繋がる事を知っていて、書いているのでしょう。
ですから、増税は景気悪化にならないという、説得力のない、いい訳をします。

2. 「4月の百貨店売上を例にとり、個人消費は堅調だ」と言います。
たとえ、百貨店売上げが4月に上向いたとしても、それは部分的な反動にすぎません。実際の消費者購買指数は2月から3ケ月連続で下落しています。4月は5.5ポイントの大幅下落です。どこを捉えて個人消費が堅調だと言えるのでしょう。しかも、まだ増税がされた訳でもない今の時点で景気悪化にならないと断言する条件にはなりえません。

3. 「早期回復を予測するエコノミストは多い」と書いています。
エコノミストの予測は的中しません。と言うより、どのようにでも変わるのがエコノミストの予測です。

4. 更に、「被災した設備が新しくなるので再生力は強い」と言います。
少なくとも、企業に限っては、生産効率の悪い設備を使用していた訳ではありません。逆に新しい設備は減価償却費が増え、コスト増になります。

5. そして、最後に、「眠っていた200兆円の企業内部留保が復興に使われれば追い風となる」と言っています。
企業の内部留保が国内で使われるという想定をする根拠はどこにあるのでしょうか。今の時代、海外への投資に向けられると考える方が自然だと思います。これは、単なる希望的観測であり、想定通りにならない時は「想定外」を理由にするのでしょう。これは、官僚の手法であり、ジャーナリストがやるべきことではありません。
それだけではありません。国債に振り向けられていた内部留保が、国内か国外かは別にして設備投資に向かえば、国債はどうなるのです。日本の国債は、この企業内部留保で、やっとのことで支えられているのです。これは、増税問題とは別の大問題です。

こんな根拠で、増税が景気悪化をもたらさないと言えるのでしょうか。
いいえ、間違いなく、増税は景気悪化に繋がります。「がんばろう、にっぽん」で一年程度は頑張れるかもしれませんが、二年、三年と続くでしょうか。国民は自分の生活防衛を、当然のように優先させます。

6. 「増税反対派は復興財源についても成長による自然増収でと言うだけだ。破綻寸前の財政はこの根拠なき大衆迎合的楽観論によってもたらされた。」と書いています。
増税反対派の政治家は自然増収に頼れ、と言っている訳ではありません。なぜなら、政治家はただ反対しているだけで、何の展望も持ってはいないからです。たとえ、野党の政治家でも、官僚の機嫌を損ねるようなことは言えないのです。
しかし、利害関係のない庶民は利権の解体で復興財源を作れと言っています。
氏は、財政が破綻寸前だということはよくご存じのようです。
ただし、この事態は大衆迎合的楽観論が生みだした錯覚などではありません。政治家に大衆迎合的な政策を取るように勧めたのは、官僚です。票を失いたくない政治家と、既得権益を失いたくない官僚の利害が一致して行われた暴挙です。その本質は利権保護強欲論によってもたらされたのです。
赤字国債を積み上げる暴挙が始まった時にやらなければならなかったのは、国のあり方の再構築だったのです。再構築を先送りした日本は、その状態から脱していないのです。
利権集団が現状維持を最大目標としている今の国のあり方に問題があるのであって、まるで国民に媚びているために財政危機があるという論旨は「逃げ」にすぎません。

7. 「本来、成長による税収増は膨大な国債残高の圧縮にあてるという財政の基本認識が欠けている」と続けます。
財政が破綻寸前であり、もし、税収増があったとしても、それを国債の返済に充当すべきであることも氏は承知しています。その基本にあるのは経済成長であることも知っているようです。氏も、成長戦略を心待ちにしている一人なのでしょう。ない物ねだりは、星の王子様を待つ少女と同じです。成長戦略などない事は過去が証明しているのです。ですから、少なくとも、現状では経済成長を阻害する要因は極力小さくしなければなりません。今回の災害が日本の経済成長を阻害したことは確かなのですから、これ以上の成長阻害をしてはいけません。

氏が列挙した論旨では、増税が経済成長を阻害しないという説明になりませんし、全く説得力に欠けています。
氏の意見は、整合性を持たないままに進みます。
自分に都合のいい情報だけを信じ、今までのように平穏無事が続くものと思っている思考は、野性を失った、頭だけ優秀な官僚が陥る病気のようなものです。全ての発想は今までの実績の延長線上にしかありません。なぜなら、利権の基盤がそこにあるからです。新しい発想をすれば、それは自動的に利権の基盤を否定することになるのです。利権集団が現状維持を最優先にしなければならないのは、そのためです。しかし、時は待ってくれません。それが人間社会なのです。
氏は金利上昇にも言及しているので、日本が置かれている状況は百も承知なのだと思います。どうやら、この方は、愚かなことに、財政破綻は増税で乗り切れるという財務省の宣伝文句を信じているようです。復興財源に充てる増税はその口実であり、本当の目的は財政破綻の回避(実際は延命ですが)にあるようです。

ですから。
7. 「復興目的の消費税引き上げを火事場泥棒と呼ぶ一部野党の批判もあたらない。社会保障財源の確保と第一段階の財政健全化目標を考えれば、もともと、2015年には税率2ケタへの引き上げが不可欠だった。後で社会保障財源に切り替えていけば、復興増税は立派な段階的税率引き上げだ」と論じます。
この論旨にいたっては、財務省の外局かと疑わねばなりません。消費税増税は不可欠で、代替策は無いと決めたのは財務省です。新聞がそのことを追認するのは、どういう根拠があるのですか。しかも、復興財源にする消費税は、終わりのない税率アップの第一段階になる立派な策だと言っています。一体、どこが立派な増税なのでしょうか。これも、財務省が最も望んでいる事ですよね。あなた達は紛れもなく火事場泥棒です。
消費税の引き上げで財政健全化など出来ないことは、さんざん書いてきました。税率2ケタというのは、10%ですか99%ですか。本当に、増税以外の方法はないのですか。
ここでも、現状維持が最大の目的になっているとしか思えません。官僚にとっても、新聞社にとっても、自分達の利権のためには現状維持が不可欠だと考えているようで、仲間意識を持つことになったのでしょう。
でも、我が国に本当に必要なことは、国の仕組みを変えて、つまり利権構造をなくして、災害の復旧に、そして財政再建に取り組まなければならないということです。日本では、もう利権構造の中にしか「お金」はないのです。利権の温存のために、また過ちを犯そうとしていることに気がつかねばなりません。

そして、最後に。
8. 「増税しなければ、日本全体がメルトダウンする」と締めくくっています。
それは、違います。
あなた達、ジャーナリストや官僚という利権集団が日本をメルトダウンへと追い込んでいるのです。

氏の論旨が破綻しているのは、ある事実を棚上げにして封印してしまったために起きた事です。それが、利権そのものと利権グループが画策する現状維持です。本来のジャーナリストは、その封印をはがし、追求し、世論を喚起する役目を担っているのです。それがなぜできないのか。それは、彼等が利権グループの一員だからなのです。ご自分の身が何よりも優先しているからなのです。

今の日本に必要なのは、利権の解体しかありません。なぜなら、それ以外に日本にお金はないからです。この、国難とも言うべき大災害の今、同じ国民としての責務を放棄して、自分だけが甘い汁を吸い続けようとする姿勢が国を滅ぼすことになるのです。
国民だって、近い将来、自分の周りの景色が変わったことに気付きます。経済のマイナス成長、国際収支の悪化などは統計の数字だと今では思っていますが、必ず、実際の生活に影響が出てきます。その上に増税があれば、国民でも世界が変わったことに気付きます。そんな世界が、目の前にあるのです。
最後に残されたお金を、今使わずに、いつ使うのですか。
後世に禍根を残すことに、何か意味があるのですか。
あなた達も、日本人の一人ですよ。
このオピニオンの表題は「政治は国難に立ち向かえ」ですが、あなたはご自分が天に向かって唾を吐いていることにも気がつかないのですか。この表題はそのままあなたにお返しします。政治という文字を、ジャーナリストに変えて。

この方がどんな人なのか知りませんが、論説委員という肩書があるのですからお年寄りなのでしょう。若い頃には、ジャーナリズムとは、と真剣に考えたこともあったと思います。今、欲と二人連れで官僚のリクエストに尻尾を振って答え、メディアを利用している自分の姿を恥じることも忘れてしまったようです。日本には、こういう人間が増えすぎました。この方が一人で日本を壊そうとしているのではありません。一致協力・団結することで責任の所在を曖昧にし、自己弁護の手段は確保した上で、権力に魂を売り渡している人達が日本を壊しているのです。
岩崎さん。
あなたが、どうしても、増税がしたいのなら、年収600万円以上の人の所得税税率を60%にしてみてはどうでしょう。少なくとも公務員は半分以上が該当しますし、メディアの方も余裕で該当します。そういう提案であれば、説得力があると思いますよ。そうすれば、復興財源も社会保障財源も財政再建も心配いりません。
そんな増税が提案されれば、きっと新聞社の論説委員であるあなたは「景気悪化」を理由にして増税反対と主張することになるのでしょう。でも、その増税案であれば、大衆迎合的楽観論だと揶揄されても、庶民はその批判を甘んじて受けますよ。
自分の身が危険に晒されれば、ジャーナリストといえども、利権の解体を考えるようになるでしょう。情けない事ですが、これが現実です。

新聞各社は「積極的な増税大賛成キャンペーン」という点で一致していますが、この陰謀を勝手に推測すると、財政破綻がかなり早くやってくるという予測を財務省がしているのではないかと思うのです。国民に知らせればパニックになるという使いなれた論法で新聞社を説得したものと思います。
でも、これもまた、国家運営を誤った方向へと導くものになります。
いま、この国がやらねばならない事は。
最初に利権の解体、その後で、国民全体が過去のツケを地道に払っていくことです。

一般世論とネット世論の乖離が、益々広がっているように感じます。上記のようなオピニオンがネット上では受け入れられないものであることは確かです。
官僚は大手メディアを支配下に入れ、今までは世論操作に成功してきましたが、最近のネット上の世論には苦々しい想いでいるようです。ネット世論が政府を転覆させる力を持っていることをアフリカが証明して見せました。そのために、中国では徹底的にネット規制を実施しています。この時代の流れを誰も無視できなくなってきたのです。
最近、総務省の要請が小さな騒ぎを起こしています。
総務省がネット管理者に向けて出した要請は「法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することも含めて・・・・・」というものです。総務省はネット規制の強化ではないと答えていますが、この要請が警察庁あたりから出てきている事を考えると、権力サイドが規制強化を望んでいる事は明らかではないでしょうか。
新聞社やテレビ局のように、自分の利益のために魂を売り渡した人達と違って、ネット上のひねくれ者には失うものがありません。ネットには権力者の飴と鞭が効きにくいという一面があります。そんな場合の権力者の行動は、中国に見られるような規制強化しか方法がないのかもしれません。
私のブログが公序良俗に反し、流言飛語に当たると判断されれば、プロバイダーであるソネットは、このブログを削除することになります。一般メディアでは頑なに隠そうとする利権の事を、このブログは毎回のように書き続けています。官僚の方が読めば、許せない内容だと思います。
日本で、そう簡単にはネット規制はかけられないと思っていますが、このような総務省要請が出るということは、全くあり得ない話でもありません。

今回の原発事故で、政府の対応は隠蔽と嘘と騙しに終始していたことが、次第にわかってきました。一般メディアは、その政府発表をあたかも真実のように報道してきました。この事を取り締まりの対象にしないのは何故です。明らかに、公序良俗に反していると思われますが、一般メディアの場合は違う基準があるのでしょうか。
私の日記では、3/17に日本政府の発表が信用できないという海外の声を書きました。3/20には、国は隠蔽を隠蔽すると書きました。政府の嘘八百は、昨日今日判明した訳ではありません。報道のプロ達は、政府発表をただただ垂れ流しただけでした。その延長線上に上記のような記事があると思えば、背筋が寒くなります。
利権集団に属している人達は、本来の自分の仕事をやっていません。自分に都合が悪いからとネット規制を持ちだすようでは、最低です。欲に目が眩んで判断力を失くしているとしか思えません。

余談です。
国民の皆さん。不用意に菅さんの支持率を上げてはいけません。彼は勘違いをする習性を持っています。浜岡原発の件は、アメリカさんに尻尾を振っただけです。国民の安全・安心のためにやったことではありません。結果オーライだと思っているのかもしれませんが、時間が経てば別の問題の引き金になる可能性があります。
全国の温泉に異常が起きている事はご存知ですよね。今度の地震で、東北地方以外の温泉で温度が下がったり、湯量が少なくなったりしているそうです。日本国土の下でも異変が起きているのです。どこで新たな地震が発生するかなんて、神のみぞ知ることなのです。浜岡以外は安全だと人間ごときに判断できることではありません。まして、菅さんにそれを判断する能力などありません。
そもそも、菅さんは支持率1%を覚悟している人です。28%は28倍もの支持を得ていることになるのです。くれぐれもご注意ください。
それにしても、28%という支持率は政権にとって危険領域だと言われてきたのに、菅政権の場合は、高支持率に見えてしまうこの異様な感覚は何なのでしょうか。

もう一つの余談。
スイスのIMDという研究所が発表している「2011年世界競争力年鑑」というデータがあるそうです。政府競争力部門で日本は50位になりました。調査対象になっている59ケ国のワースト10に入っています。ビジネス界競争力部門では27位だそうです。妙に納得してしまいました。世界はちゃんと見ているという事です。この現実を知らないのは日本人だけのように感じました。私達は昔日の日本のイメージに囚われているだけではないのでしょうか。私は、以前に世界で50番目程度の国になりましょう、と書きました。認識不足でした。もう、現実に50番目なのです。総合順位では26位ですが、そんな実感は我々にはないのではないでしょうか。そうであるなら、我々は身の丈に合った仕組みにこの国を作り変えなければなりません。過去の栄華に酔いしれている場合ではありません。

日本が壊れていく様子が、私の目にははっきりと見えます。
どうか、私の妄想で終わってくれる事を、心より願っています。


2011-5-19



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