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マイナス成長 [日記]



今回の原発事故で原子力政策の「ひずみ」が表面化しましたが、この国には我々の知らない「ひずみ」が山のようにあると思わねばなりません。その「ひずみ」を辿っていくと、ぶつかるのは利権です。原子力政策も氷山の一角でしかありません。
政治家プレート、官僚プレート、メディアプレート、企業プレート、アメリカプレート等々、多くのプレートが複雑に噛みあった場所に日本の国土があり、その上で国民は生活をしているのです。そして、それらのプレートの「ひずみ」が限界に達して、地震のように国民を揺らします。一番多くて、一番大きな「ひずみ」は肥大化した官僚プレートに蓄積されています。いつの日か、この国土の上では生活が成り立たない状況を迎えることになるのです。私は夢のような理想論を求めているわけではありません。人間社会ですから、不正のない、きれいな社会などありえません。ただ、国民の生活を根底から覆すような不正は、行き過ぎだと思うのです。その根源になる「ひずみ」がこの国にはあまりにも多くなりすぎました。それらの「ひずみ」を放置したままでは、大惨事が起きるのは必然だと言えます。国民は、その事を避けて通ることはできないのです。
今、原子力政策の「ひずみ」により原発事故を引き起こした電力利権グループは、突然、極道並みの脅しをかけてきました。「電気料金を値上げしなければ、電気は使わせないぞ。お前ら、全停電でもやっていけるのか」という国民を人質にとった恫喝にも等しい脅しです。
こんな脅しが堂々とまかり通る国に統治能力があるとは思えません。無理を通せば、道理が引っ込む。この言葉通りのことが行われています。国家国民のためではありません。経産省の利権のためなのです。天下り役人たちの法外な給料を確保するためです。こんな理不尽な「ひずみ」を放置しているのは、私達国民なんです。

私は、前回の日記で官僚利権は50兆円だと推測しました。庶民には捜査権がありませんので証拠はありません。これも、おかしな話です。国の予算は国民の税金で成り立っているのです。そして、その税金を納めているのは国民です。その国民は何も知らされていなのです。国民って何なんです。
これでも、50兆円の官僚利権というのは、控え目に言っています。特別会計を詳細に捜査すれば、数倍の利権が隠されている可能性があります。こんな「ひずみ」を抱えたままで、平穏無事に国家運営が出来ると考える方が非常識です。
では、何故、いろいろな「ひずみ」が庶民の目に触れるようになったのか。確かに、原発事故は非日常の災害によって表面化しましたが、勤労者所得の減少に代表される数々の「ひずみ」は経済成長に要因があります。高度成長の時代には、それらの「ひずみ」は表面化しませんでした。日本経済が低迷期になったために表面化した現象だと言えます。
この先、日本経済はマイナス成長期に入りますので、「ひずみ」はあらゆる場所で火を噴くことになります。

政府は、復興計画と財政再建、そして社会保障の切り下げと消費税の増税を一体的に進める全体指針を6月に発表すると言っています。
誰が見ても異様としか思えない内容の指針を、平然として発表するのは、責任を誰も取らない国家運営の「まやかし」にあります。
政府の全体指針がもたらすものは、日本経済のマイナス成長でしかありません。
現実として残るのは、給付の削減と税の増加だけです。
そう言えば、民主党政権は経済政策を何もやっていません。成長戦略も何一つ実行されていません。それなのに、増税で需要を押さえる意味がわかりません。そして、電力供給不安や電気料金の値上げで、企業にも海外へ出て行けと言わんばかりです。これで、長期金利の上昇が始まれば、日本が生き残る道はどこにあるのでしょうか。
もしも、日本経済全体を考える政治家がいれば、東京電力救済スキームは全く別のものになっていたでしょう。東京電力を解体して電力の自由化を進めれば、民主党政権初の経済政策となり、小さな光は見えてきます。東京電力を丸ごと救済して官僚利権の温存を図るのは亡国の策でしかありません。政府閣僚たちの頭の中は「真っ白」なのでしょう。民主党の議員も政局しか興味を示さない。経済政策を忘れた政権は、亡国の政権です。原因は、民主党の政治家も官僚の支配下に組み込まれたからです。
官房長官は電気料金を値上げせずに賠償すると言っていますが、枝野氏が得意とする「ただちに」であり、ほとぼりが冷めるのを待つということです。枝野さんが、いつまで官房長官でいるのかも不明です。民主党政権では、無責任発言が珍しくもない訳で、これで統治能力があるとは言えません。
更に、東電救済スキームに盛り込まれる文言に「国民負担の最小化」という文字が入るという報道がありました。官僚が得意とする言葉のマジックです。ここで使われている最小という言葉は、比較対象とする数字がなく、ただの枕詞に過ぎません。従って、「最も小さい」という数字は存在しないのです。誰一人として具体的な数字を示すことは不可能なのです。この言葉は、「極力、小さくする努力はします」という意味ですから、事実上、いくらになってもいいのです。こんなマジックでも、日本国民はコロッと騙される、いい人達ばかりです。善意の言葉に聞こえますが、詐欺の犯行現場でよく使われる騙しの手口であり、彼等は確信犯です。菅さんは、このスキームは東京電力の救済が目的ではありません、と言います。その通りです。目的は、官僚利権を救済するスキームであって、偶然、東京電力の救済になることもある、ということなのです。
東京電力は経産省と共謀して、あれだけの事故を起こしたのですから、存続する資格はありません。この際、これまでの経緯を公表して身を引くべきでしょう。可能であれば、経産省と刺し違えてくれれば、最後の花道となるでしょう。
厳格に決めたスキームでも、時間が経てばそれをすり抜けたり壊したりする人は大勢いるものです。最初からグスグスのスキームが国民にとって望ましい方向へと進むとは考えられません。半年か一年経過すれば、経産省のやりたいように運用できるのです。5年後に、このスキームに言及する人がいるとは到底考えられません。これは、官僚の思う壺というものです。官僚達の高笑いが、あなたには聞こえませんか。
被災された皆さんも、それ以外の国民の皆さんも、怒らなくてはいけませんよ。
再生のチャンスは幾つでもあるのに、意図してそのチャンスを潰し、日本を崩壊へと進めるのは、何か別の目的があるのではないかと思ってしまいます。
官僚政治では安全策が優先されます。緻密な策を弄して獲得してきた官僚利権は、現状維持が一番望ましいからです。私は、今を非常時と見ていますが、少し遠慮して準非常時だとしてみましょう。今、求められる国家運営は過去の「ひずみ」から脱却する大胆な政策です。安全策は傷口を広げるだけです。例えば、大胆に電力自由化政策をとれば、野党も反対することはできなくなります。そして、そのことが規制緩和の方向性を示すことになり、日本経済の再生を可能にすることができるのです。このことは、多くの経済学者が提言していますが、官僚の下僕になり下がった政治家が政治家としての使命を果たしていないために実現しません。高度成長経済の日本で官僚政治の果たした役割は有効でした。それが、いつの時代でも有効だと思うことは単なる思考停止に過ぎません。
経済のマイナス成長は、風景を一変させます。遠い将来の予言ではなく、5年後10年後に、この現実は必ずやってきます。
余りにも、日本崩壊のシナリオが着実に進行していく様を見ていると、恐ろしさが先に立ちます。

余談です。
無責任発言の代表選手は菅さんですが、浜岡原発の運転停止要請は、無責任発言と言うよりは嘘つき発言と言った方が適切でしょう。今では、アメリカの圧力で突発的発言をしたことが多くの国民に知れ渡ってしまいました。嘘は、その嘘がバレた時に、信用も失います。「あいつの言う事だから、また、嘘だろう」と思われてしまいます。そう思われても、菅さんは屁とも思っていませんから、本人はそれでいいのでしょう。
この余談は嘘つき菅さんの話ではありませんでした。アメリカ軍の話です。横須賀にある米軍基地の兵士たちを守るために、アメリカは日本政府に「浜岡を停めろ」と圧力をかけてきたのです。アメリカという国は人権の強い国でもあり、訴訟社会でもあり、世論社会でもあります。人権を尊重しなければ、国といえども訴えられますし、世論が逆風になれば政策の変更を余儀なくされる国です。アメリカはアメリカにとって当然の要求をしたのであって、ゴリ押しをしたとは考えていません。逆の立場に日本がいて、同じ事ができたでしょうか。両国の間には大きな隔たりがあります。
日本に駐留する米軍は、日本を守るためにいるのだと思っている人がいるのです。タイムスリップをしたようで、吃驚しました。いくら日本人でも、そんな勘違いをしている人がいるとは思わなかったのです。「我々は米軍に守られているのだ」と信じているのです。確かに米軍の駐留は抑止力にはなっていますが、米軍はその事だけのために日本に基地を置いているのではありません。「もし、有事になれば、米軍は日本人のために戦ってくれると思っているのか」と尋ねると、「当然じゃないか」と言われました。私は、その男に浜岡の話をすることはやめました。「どうして、お前は、そんなにひねくれ者なんだ。へそ曲がりめ」と怒っていました。言われるように、私の臍は曲がっていますが、少し違うのにと思いましたので、反論をしようとして相手の顔を見たのですが、反論は諦めました。アメリカはアメリカの都合で日本に基地を置いているのであり、日本がどこかの国と戦争状態になった時には、あくまでもアメリカの利害を最優先にして判断を下します。そんなことを言えば絶交されてしまいます。
善意に満ちている人には、特に、地獄に落ちて欲しくありません。いい人のまま、一生を終えて欲しいと願います。私のような「ひねくれ者」は、地獄がくると思っていますから、何も知らない人よりはショックが少ないと思うのです。いい人の場合は、その人の全人生を否定することにもなってしまいますので、とても気の毒なことだと思うのです。

この日記の常連になってしまったギリシャですが、欧州では追加支援の話題が盛んになっています。ギリシャが資金調達に苦慮していると言っても、数兆円規模の資金の話ですから、日本とは単純に比較できないかもしれません。それでも、ギリシャが債務再編や債務延長やユーロ離脱を選択すれば、他の欧州各国の資金調達に支障をきたす状況がやってきます。それは、ギリシャの国債を持っている他国の銀行が、ギリシャのデフォルトで大きな傷を負うからです。勿論、ギリシャ国内の銀行も被害者になります。
EUとIMFは、EU及びユーロを守るために援助し続けなければならないのです。追加支援と簡単に言っても、ギリシャは何の痛みもなく支援が受けられる訳ではありません。その痛みは、ギリシャの国民が受ける以外に方法はないのです。給付の切り下げと増税のセットを受け入れるのはギリシャ国民です。ある報道には、「ギリシャは近い将来、内戦に近い状態になる」と書かれていました。
或いは、ギリシャが開き直るかもしれません。所謂、弱者の恫喝です。そうなれば、ギリシャは借金だけで国家運営を続けることが可能になります。しかし、EUは解散しなければならなくなります。EUが解散すれば、ギリシャに資金を援助してくれる機関は無くなりますので、自滅するしかありません。究極の選択として、EUが政治統合をすれば、ギリシャも一地方都市として生き延びる可能性もありますが、政治統合は簡単にはできません。最後の最後は国民がそのツケを払うことになるのです。
ギリシャという国も、いろいろな問題を抱えています。経済規模の小さい国で、観光立国ですから成長産業や輸出産業は少なく、国際競争力もありません。徴税能力では欧州最下位ですし、公務員の数では欧州最上位でしょう。何よりも南欧特有の民族性が顕著で、勤勉より浪費を好みます。たとえ、借金を減らしたとしても、ギリシャの再生は難しいという評価です。経済のマイナス成長とデフレ経済で、ギリシャ国民は苦しい時代を迎えることになるのでしょう。
これは、対岸の火事ではありません。給付の切り下げと増税のセットは、近々日本でも実現する事です。日本の場合は内戦にはならずに、グスグスと壊れていくだけになるでしょうが、どちらがいいかなんて、選択肢が悪すぎます。

もう、日本には官僚利権を放置する余裕はありません。マイナス成長により、そのことは顕著に表面化してくると思いますが、相手は人間の強欲ですから庶民の手には負えません。世論調査では、国債発行も増税も支持されています。いい人も悪い人も、同じように地獄に落ちるという話は以前にも書きました。いい人を演じていれば地獄には落ちないという古くからの迷信は、未だに信じられているのです。それは、日本人が素晴らしい民族だという事でもあるのでしょう。しかし、日本人の本音は違います。日本人だって人間ですから地獄行きなど欲している訳ではありません。嫌だ、嫌だと言いながら堕ちていく日本人は根っからのMなんでしょう。結構、快感だったりして。こんな日記を書いている私も、Mなんでしょうか。いや、ドMかな。もしかすると、私にはエロ小説を書く才能があるのかもしれない、などと思ったりして。
冗談はさておき、私達は目を覚まさなければなりません。少なくとも、私は地獄に落ちることは望みません。石田はいい人ではない、と言われてもいいです。ですから、地獄行きは勘弁して下さい。私もそうですが、小さな幸せを大切に生きている人が大半です。それが、そんなにいけないことなのでしょうか。なぜ、我々まで地獄に落ちなくてはならないのでしょうか。


2011-5-14



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