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国民という視点の欠落 [評論]



5月に、日米首脳会談が日本で行われました。
バイデン大統領は、気分良く、帰って行ったものと思います。ただ、アメリカへ戻ると、針の筵の上に座ることになります。バイデン大統領の支持率は36%まで落ちています。
そのことを忖度したのか、岸田さんは、思いっきり尻尾を振りました。
岸田さんは、「今、尻尾を振らずに、いつ、振るんだ」と言うかもしれません。
その気持ちは、よくわかりますが、どうやって後始末をするのでしょうか。
ウクライナに防弾チョッキを送る程度では済みません。
菅総理に続いて、岸田総理も、防衛費をGDP比2%へと増額すると約束しました。
5兆円以上の財源が必要です。
そんな財源、この国のどこにあるのでしょうか。
日米安保がなければ、この国の安全は保たれません。このことは、左翼の一部の方を除いて、国民の常識になっていると思います。ですから、岸田さんは、日本を代表して尻尾を振ったのだと思います。
それは、戦後80年間、「自分の国は自分で守る」という原則に向き合うことなく、先送りを続けてきた結果です。永遠の先送りは存在しません。どこかで、ツケを払う日が来ます。
今は、安全保障で、そのことが顕在化していますが、原則に向き合わず、先送りをしてきたのは、安全保障だけではありません。人口減少や国力衰退でも、ツケを払う日がやってきます。安全保障では、アメリカに尻尾を振れば、アメリカがその気になってくれればという条件はつきますが、まだ、軍事的に国を守ることは可能かもしれません。でも、人口減少や国力衰退の場合は、尻尾を振るご主人様がいないのです。
国力衰退という現実を、皆さんは、和の精神を発揮して、「見て見ぬふり」をしています。皆で、目を閉じ、耳を塞ぎ、口を閉じています。これも、先送りです。
近い将来、この国力衰退が、実害として顕在化する日がやってきます。
皆さんは、どうするつもりなのでしょう。

野党の意を受けた集団が、防衛費増額という空気に反応した結果なのかもしれませんが、「岸田政権は消費税を19%にするらしい」というデマをツイートして、一部の人達が騒いでいます。仮に、その集団をA集団と呼んでみましょう。A集団を動かしているのが共産党なのか立憲民主党なのか、朝日新聞なのか毎日新聞なのかは知りません。しかし、これまでも、定期的に反自民ツイートをやり続けてきました。今回のツイートは、誰が見てもデマでしかありませんので、大きな波紋は生じていません。
そもそも、岸田政権が消費税を、この時期に言及すれば、それだけで政権維持に支障を来します。それも、12%でも15%でもなく20%でもなく、19%です。この数字は、かつて、ある経済団体が言い出した数字です。政治家にとっては、国民を守ることよりも、自分の身分を守ることのほうが比較にならないほどの重要事項です。いくら、彼等が欲の亡者だとしても、こんな暴挙をやるはずがありません。
つまり、反政府組織としてのA集団の力量は、この程度なのだということです。
もう少し、現実味のある、国民の共感が得られるプロパガンダを学ぶべきだと思います。
もちろん、いつかは、消費税の増税は避けて通れません。
そのチャンスは、必ず、やってきます。自民党は、今は、待つ時だと思っています。
ただ、衰退国家が増税をする状況は、破綻間近だと証明するようなものですから、国民の皆さんは覚悟してください。
岸田さん。
先ず、国力衰退を止めることです。
そして、防衛費の増額を可能にする経済成長をすることです。
意味不明な「新しい資本主義」では、これらの課題を解決できません。
国を守るためには、国民生活を守るためには、経済成長が不可欠なのです。
砂上の楼閣の上にミサイルを配備しても、役には立ちません。
岸田さんは、自分で自分の首を絞めているのです。
岸田政権が倒れても、日本が国家崩壊しても、バイデンは「そうか」と言うだけです。
岸田さんは、バイデンに尻尾を振ることの虚しさを感じることはないのでしょうか。
日本は、自分の足で、地面の上に立つことです。
そのために必要になるのが、経済力です。
では、その経済力は、誰が作るのでしょう。
国民です。
国民に働きかけるという選択肢しかないのです。
なぜ、そのことに気付かないのか、不思議です。
ウクライナを見れば、国防が重要であることは明白な事実です。
ですから、防衛力を高めることは不可欠です。
そのためには、まず、先立つものを確保しなければなりません。

立憲民主党や共産党のように反対表明をしていれば歳費が手に入る政党と同じことをやっていて、自民党に政権運営が出来るとは思えません。
今の状態を続けていれば、GDPは減少します。税収も減少します。防衛費に振り向ける財源は、時間が経てば経つほど減少するのです。そんな国が、身の程もわきまえずに、防衛費の増額を他国のリーダーに約束しているのです。これは、もう、ジョークの領域の話でしかありません。
では、自民党に国家運営の能力がないのでしょうか。
違います。
自民党にも、能力がないのです。
私達の国は目的を持っていません。「なあ、なあ」「まあ、まあ」「先送り」は自民党の専売ではありません。この国には、目的も原則も存在していないから、誰が国家運営をしても結果は同じです。曖昧文化に立脚していることが致命傷になろうとしているのです。
野党の主張も見て見ましょう。
立憲民主党の泉代表は、「2%ありきではない」と言っています。
これは、防衛費の増額は認めると言っていることになります。彼等は、「1%上限」という過去の闘争方針を「2%上限」にしてしまえばいいと考えています。つまり、反対する口実があれば、1%でも2%でもいいということです。原則の「げ」の字にも、目的の「も」の字にも気付いていません。自分達の選挙のことしか考えていないのです。そのことを不思議だとすら思っていません。
この国を、どうしようとしているのでしょう。防衛も経済も理解していない野党。私には、自民党に反対することで議員歳費を得ようとする助平根性しか見えてきません。
共産党は、「専守防衛、平和外交を死守せよ」と言っています。いつまで、昭和の残骸を引き摺るつもりなのでしょう。世界は、新しい局面を迎えているのです。
どの政党にも、国民という視点が欠けています。
それは、この国では、目的と責務が明確になっていないからです。
野党の皆さんは、選挙戦のために、口を開くと「ばら撒け」と言います。国がここまで疲弊すると、もう、「ばら撒き」では解決しません。
もちろん、どんな国でも、弱者と呼ばれる人達は一定数います。そんな弱者を救済するのは国の責務です。「ばら撒き」をしなくても、国民が生活できる国を作ることが国家運営者の仕事です。結果を捻じ曲げるやり方は間違っています。
国力衰退を止め、国力増大の青写真を持っている政党が一つもありません。
自民党は、借金と増税、野党は、「ばら撒き」です。
このままだと、ずるずると、国は衰退するだけです。
もちろん、国民の皆さんも「ふむ、ふむ」と頷き、「なあ、なあ」「まあ、まあ」と言っているのですから、政治家の皆さんだけに責任があるわけではありません。

国民の皆さん。
こんな既存政党に国家運営を任せておいていいのですか。
ドツボにはまるのは、皆さんなんですよ。
皆さんが「いい人」であることは、誰もが認めることです。
しかし。
ドツボにはまるかどうかを決めるのは、皆さんが「いい人」かどうかで決まるわけではありません。皆さんが、どれだけ国家運営に参画したのかで決まるのです。
皆さんは、ロシアや中国の日本への軍事侵攻を歓迎するのですか。
確かに、ごく一部の人達は望んでいるかもしれませんが、ほとんどの日本人は望んでいないと思います。
国民が「俺には関係ねぇ」と言っていたのでは、軍事的に国を守ることはできません。
しかし、最低限、軍事的に国を守ることは必要です。
でも、そのためには、経済力が必要なのです。無い袖は振れません。
国民の皆さんの明日を守るためには、経済力が必要なのです。
そんな国家運営をしている、或いは、しようとしている、政党が存在していますか。
いいえ。そんな政党は見当たりません。
政党も政治家も「自分さえよければ」をやっているだけです。そこに国民目線はありません。彼等は、国家運営者の責務が「国民生活を守る」ことだということを知りません。口先では「国民のために」と言いますが、やっていることは真逆です。自分の選挙のことしか考えていません。それは、与党も野党も同じです。
国家運営者が「自分さえよければ」をやり、国民が「俺には関係ねぇ」と言っているのが、私達の国の現実です。国力が衰退するのは、必然です。
国力が衰退すれば、他国の侵略を許しても仕方ありません。
今は、安全保障に光が当てられていますが、経済や生活や貧困に、光が当たる日は迫っています。これは、特定の誰かのせいではありません。国民の皆さん全員が取り組まなければならない課題です。なぜなら、ここは、皆さんの国だからです。皆さんの生活を支えるのは皆さんなのです。「俺には関係ねぇ」なんて言える人は一人もいません。

現状の延長線上に、この国の国民の皆さんが、望ましいと思えるような未来はあるのでしょうか。私には想像できません。
私が言うまでもなく、少しでも想像力を持っている方であれば、そう思っているはずです。ただ、皆さん、奥ゆかしい方ばかりですから、口には出しません。
もしも、輝かしい未来があるのであれば、ぜひ、教えて欲しいです。
こういう場合は、普通に考えれば、国のシステムを変える時だと思いますが、そうではありません。システムを変えても、日本は変わりません。
文化を変えるしか生き残る道はないと思います。
それは、言葉の定義をすることから始まります。


余談です。
細田衆議院議長への批判が止みません。
その細田発言を見てみましょう。
「いったい、いくらですね、歳費をもらっていると思いますか。議長になってもね、毎月もらう歳費は100万円しかない。“しか”というと怒られちゃうけど、そんなにもらってるのかと言うけど、会社の社長は、1億円は必ずもらうんですよ、上場の会社は」
議員定数削減に関して、「人員を減らせばいいというものかどうか、この辺で考えたほうがいい。民主主義というのは、たくさんの議員で議論をしてもらうほうがよく、1人当たりの月給で手取り100万円未満のような議員を多少増やしてもバチは当たらない」

これは論文ではなく、談話ですから、何が言いたいのかよくわかりませんが、その本音はよくわかります。でも、彼等は、勘違いしています。国会議員の仕事は、選挙区を守ることでもなく、議員歳費を増やすことでもなく、国民生活を守ることです。私には、「カネ、カネ、カネ」「オレ、オレ、オレ」と言っているように聞こえます。つまり、彼等は、国の責務も、国の運営を委託されている自分達の仕事の責務も、知らないということです。国会議員の中でも、細田発言は不評だそうです。それは、「細田さん、本音を言って、どうするの」という苦情だと思います。
さて、皆さんは「ふむ、ふむ」と頷くのでしょうか。
こんな欲ボケ老人に国家運営という仕事を外注していていいのですか。
「じゃあ、どこに外注すればいいと言うのだ。碌な政治家がいないじゃないか」
その通りです。
だから、新しい政治集団が必要なのです。
それを作るのが、今の国民の皆さんの仕事であり、国民の責務です。
優秀な政治家が必要なのではありません。政治家を守る仕事をする政治家ではなく、国民生活を守る政治をしてくれる政治家が必要なのです。


2022-06-05



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