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このままドツボにはまりますか [評論]



小沢一郎という政治家がいます。
往年の勢いはなくなり、立憲民主党で老後を過ごしている政治家ですが、私達の年代の人間にとっては、華々しく、辣腕で、平然と悪事を働く、これぞ政治家という印象でした。逮捕はされませんでしたが、田中角栄二世と言ってもいいのかもしれません。
その小沢一郎が、自民党批判を繰り返しています。
もしかすると、自民党批判をするという条件で立憲民主党に置いてもらっているのかもしれません。だとすると、寂しい話です。
私と同年代だと思いますが、もう、先はないのですから、自民党批判などという「せこい」ことをせずに、国家、国民のために一肌脱ぐ時だと思います。経験豊富な政治家ですから、政治そのものを一刀両断するだけの知見は持っていると思います。小沢がやるべきことは、自民党批判ではないと思います。
小沢発言の中に、「自民党は、国を私物化している」という批判があります。
過去に、国を私物化した経験を持つ小沢が言うと、やけに説得力があります。
それでも、少なくとも、「お前が、言うな」と言いたくなります。
自民党と名指しせずに、「政治家が、国を私物化している」と言ってくれれば、「ふむ、ふむ」と頷けるのに残念です。
この国、やっぱ、変だと思います。
国会議員って、一体、何者なのでしょう。
今は、その答がありません。
国家運営の定義もなく、国会議員の定義もありません。ですから、その目的も責務も明確ではありません。国会議員は何をやってもいいのです。こういう存在を、鵺のような存在と呼ぶのでしょう。そう解釈すると、色々なことが腑に落ちます。

東京8区で落選し、比例復活もできなかった石原伸晃元衆議院議員が、内閣官房参与に抜擢されましたが、石原の政治団体が、雇用調整助成金というコロナ支援策を利用し、公金を申請し、収入としていたことで、8日間で職を辞しました。岸田総理は、風を読む達人ですから、ここは、石原に引導を渡す場面だと判断したようです。
石原については、落選したことで、その才能を惜しんだという話は聞こえません。親の七光りで議員をやっていた、お坊ちゃま議員に過ぎないのではないでしょうか。何を勘違いしたのか、本人は、体力も能力もあると見栄を切っていました。「おい、おい」
雇用調整助成金は、コロナで、失業の危険がある人達を救済する目的で作られた支援策です。国会議員は、コロナで収入が減ったのでしょうか。秘書や事務員をリストラしなければならないほど困っていたのでしょうか。
多分、そうではありません。貰えるものは1円でも逃さない、という助平根性によるものだったと推定されます。この事件は、「国の私物化」なんて大きな問題ではなく、個人の資質の問題だと思える事件でした。
「語るに落ちる」という言葉は、石原のためにあるのかもしれません。
その後、石原だけではなく、与野党の議員の「公金喰い」が発覚していますが、国民の皆さんは、もっと怒るべきだと思います。そして、「なんで、こんなことになるんだ」と言ってください。その疑問を掘り下げていけば、「言葉の定義」にぶつかります。
余談ですが、政治家の先生方は「政治にはコストがかかる」と言います。だから、文書交通費だって必要だと言います。それ、ちょっと、違うと思います。政治にカネがかかるのではなく、選挙にカネがかかるのです。先生方は、国会議員で居続けるためにカネをかけているのです。これは、政治とは関係ない話だと思います。民間でも、定年退職の時代ではなくなりました。生涯政治家という生き方は、そろそろ、やめる時だと思います。
では、岸田総理は、なぜ、石原を内閣官房参与に抜擢したのでしょう。
「お友達優遇」だと言う方がいますが、そうではないと思います。
政界だけではないと思いますが、利害を超越した友人関係なんて存在しません。そういう友人関係が成り立つのは、私達貧乏人の世界だけだと思います。
石原は、石原派という派閥の長でした。10人しかいない弱小派閥ですが、選挙後は7人に減ったそうですが、岸田さんは、数が欲しかったのだと思います。
これなら、小沢発言の「自民党は、国を私物化している」に該当するのかもしれません。
岸田さんは、信念もなく、国家戦略もなく、人当たりの良さだけで権力を手に入れてしまったために、この先、権力の維持には苦労すると思います。ただ、岸田さんは政界遊泳では苦労を重ねてきた人ですから、本領発揮の舞台なのかもしれません。
でも、今の時代は、そつなく、丸く収める、国家運営が求められているのでしょうか。そうではないと思います。今の時代は、革命が求められている時代だと思います。
勇ましかった言葉も、時間と共に丸くなり、毒にも薬にもならない権力を作ろうとしているように見えます。総理の執務室に「小さな失敗は容認。大きな失敗は厳禁」という額がかかっているかどうかは知りませんが、岸田さんの心の壁には、そんな額がかかっていると思います。政権の延命が最大の目標であれば、間違っているとは言えません。岸田政権の延命には、この方法しかないのかもしれません。政権の延命が最重要課題だという点でも、小沢の言う「国の私物化」は妥当な批判だと思います。
政界が特別なのではありません。どこの集団でも、世渡り上手な人が出世する現象は見られます。それが人間社会なのですから、四の五の言っても意味はありません。
ただ、日本史上初めて、国家崩壊という試練を迎えているこの国にとっては、歓迎できるものではありません。
いろいろな相手に迎合することが上手ですから、大きな失敗はしないと思いますので、権力の維持はそれなりにできるかもしれません。特に、夏の参議院選挙は岸田政権の命運を決めますので、世論には迎合しなければなりません。世論の風は、よく観察していて、素早く対応しています。岸田の頭の中は、「どうすれば、この政権を続けられるのか」という課題で埋まっていると思います。この国の将来とか国民生活なんて、彼の頭の中には存在していないと思います。政権延命のためなら、国民に胡麻をすることなんて簡単なことなのでしょう。国民のためではなく、あくまでも、自分のためです。ま、お見事と言えば、お見事なのでしょうが、一国のリーダーとしてはいかがなものでしょう。
日本の未来は、岸田総理の誕生で、さらに暗くなったと思います。
いや、ドツボは、揺るぎのないものになったと思います。
なぜ、よりによってこんな時期に岸田政権が誕生してしまったのか。
ほんとに、不幸が不幸を呼ぶという原則は、半端ではありません。
「では、誰が総理になればよかったのだ」と問われると困ります。
日本の現状を理解している人は、一人もいません。
いや、いるのかもしれませんが、個人の「欲」が優先されています。
ここに登場した、小沢も岸田も石原も、私には「欲」の亡者にしか見えません。国民生活を最優先で考えている人はいません。小沢は、かつて、「国民生活が一番」というスローガンを掲げていたと記憶していますが、あれも「欲」が生み出したスローガンに過ぎなかったということなのでしょう。
小沢さん。
なぜ、「自民党は、国を私物化」しているのでしょう。
そこを、考えてみてください。
目的もなく、責務も明確ではありませんから、国を私物化することが可能なのです。
特に、「欲」では誰にも負けないような人達が政治家になっているのです。彼等にとっては、私物化しないほうが、非常識なのだと思います。
小沢さんが岸田さんの立場にあれば、やはり、「国を私物化」していたと思います。
国民の皆さん、小さなことでも、「これ、なんか、変だな」ということを掘り下げみてください。きっと、「言葉の定義」にぶつかります。どうか、そのことに気付いて欲しいと思います。たかが「言葉の定義」だと思っているのでしょうが、「言葉の定義」をすれば、この国は根っ子から変わります。

別の「私物化現象」を見てみましょう。
自民党は、ドブ板選挙を得意としています。
ドブ板選挙で力を発揮するのが、県議会議員であり市議会議員です。
広島の買収事件でも明らかになった構図ですが、あの構図は広島にだけあるのではありません。全国、どの地域でも、同じことが行われています。広島事件は、氷山の一角にすぎないのです。47都道府県、全域で、行われていることです。
朝日が、新潟5区の「裏金強要疑惑」という報道をしています。
素人の私には、どこまで真実なのかはわかりません。ただ、「火のない所に煙は立たない」という例えもありますので、根も葉もない話ではないのでしょう。
自民党の泉田裕彦衆院議員(比例北陸信越ブロック)が同党の星野伊佐夫新潟県議から「裏金を要求された」と主張する疑惑です。
ドブ板選挙の仲間が、カネのことで、喧嘩し始めたのです。
関係者は「表に出すようなことだったのか」と言っています。こういう話は、裏で決着をつけるものです。
泉田は星野との会話を録音したデータを、県の自民党支部へ提出したそうです。
朝日の取材によれば、その会話は次のような生々しい会話だったそうです。
「このままなら、比例引っかからんから」
「とにかく必要経費を早くまこう、もう余裕がない。選挙がはじまってからなんて、バカはいない。今でも遅いくらいだ」
「2千万や3千万なんかね、もったいないなら人生終わるよ」
「悔いが残る、1億や2億の話ではなくなるから。2千万や3千万の金をね、惜しんで一生投げちゃいけない」
こういう会話が、実際に交わされているであろうことは、容易に想像できます。
ただ、仲間である人達が、裏事情を表に出して、なぜ、争うのか。
多分、泉田も鵺、星野も鵺だとしたら、鵺同士の闘いが場外乱闘になってしまったということなのかもしれません。新潟県民の皆さん、ご愁傷様です。いや、新潟に特有の問題ではありませんので、全国の国民の皆さん、ご愁傷様です。政治家は、誰も、国民生活を守ろうとはしていません。
多分、皆さんは、「ふむ、ふむ」で済ましてしまうのだと思います。
「ふむ、ふむ」が自分の首を絞めていることに、そろそろ気付いたほうがいいです。
今回の騒動の根底にあるのは、「一票の格差」問題だと言われています。
新潟でも選挙区調整が始まると言われています。
国会議員にとっての最重要課題は、「国会議員であり続けること」です。決して、「国民生活を守る」ことではありません。
泉田議員は、次の選挙を考えて、星野県議の追い落としに着手したということのようです。
星野県議は、新潟地方政界では「ドン」と呼ばれるような人だそうですから、党の公認を取るためには、地方政界を自分に有利な人に任せたいと思うのは自然です。
何もなければ、次の衆議院選挙は4年後ですが、衆議院の場合は、途中で、いつ選挙が行われても不思議ではありません。泉田議員の焦りも理解できます。
さて、鵺同士の闘いは、どうなるのでしょう。
お二人は、全力投球で頑張っているものと思いますが、その熱意を、国民生活や住民生活に振り向けてくれれば、少しは国が変わるのかもしれません。

氷山の一角が、時々顔を出しますが、これは、たまたま、の出来事です。
この国は、硬直化した利権構造で運営されているのです。
テーブルの上に税金を乗せて、利権集団がバイキング(喰い放題)をやっているのが日本です。日本って、そんな裕福な国なのでしょうか。
しかし、誰一人、利権を失いたいと思っている人はいません。
いや、利権を守るためであれば、何でもします。1円でも逃しません。
そんな国が、改善や改革で、何とかなるものなのでしょうか。
人間の情念は、「欲」は、半端なものではありません。最強の存在です。
自浄能力や正義や常識に頼っていて、何とかなるのでしょうか。
そうではないと思います。
病も、ここまで重症になれば、手術しか選択肢はないと思います。
国家運営の場合の手術とは、革命のことです。
もちろん、百姓一揆でも武力革命でもありません。
必要なのは、文化の革命です。
「言葉の定義」をするという文化の創造です。
文化の革命には、「お上」に所属する人達の猛反対が起きます。それは、利権を失うことを意味しているからです。「お上」は、「子供達の未来を守る」ためにあるのではありません。「山口組」ではありませんが、「お上組」に所属する組員は、全精力を「自分の利権を守る」ことに注ぎ込んでいるのです。これは、暴力団の構図と同じです。違うのは、その縄張りを国が決めているということだけです。
彼等は権力を持っているのですから、その力は強大です。
そんな国で、革命を成功させようとすれば、方法は一つしかありません。
それは、国民が束になって権力と向き合うことです。
もちろん、こんなことは夢物語です。
しかし、その夢を実現することでしか、この国は救われません。
さあ、国民の皆さん、どうしますか。
このまま、ドツボにはまりますか。
答えてくれなくても大丈夫です。国民の皆さんの答は知っています。
「俺には関係ねぇ」ですよね。
今日取り上げた出来事は、どれをとっても、些細な出来事です。
でも、一事が万事だとすると、この些細な出来事が国を壊す力になり得るのです。


2022-01-05



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