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F16戦闘機の供与 [評論]



ロシアの大統領であるウラジミール・プーチンというたった一人の人物の決断が、世界中をかき乱しています。ロシアとウクライナを壊しているだけではなく、世界のあらゆる国々を、この戦争のコストを負担せざるを得ない状況に追い込みました。地球上に生存する数十億人の人間の中の、たった一人の人間の決断が、全ての人に負担を強いているのです。たとえ、この戦争が終わっても、人々の負担は続きます。
今日は、今も続いている戦争の、少し先を想像してみます。

G7の直前、イギリスとオランダが、ウクライナへの戦闘機供与の枠組みを作りました。
そして、G7では、アメリカが欧州の保有しているF16戦闘機の供与を承認する方向へと舵を切りました。
このことは、ウクライナ戦争に大きな影響を与えます。
F16戦闘機の訓練が、3カ月かかるのか半年かかるのかはわかりませんが、もしも、F16戦闘機が投入されたら、戦況は大きく動くとされています。
ウクライナが、今、準備している春の大反撃を延期して、F16戦闘機を待ち、秋の大反撃を実行すれば、ロシアは危機的な状況を迎える可能性があります。
もちろん、F16戦闘機ではゲームチェンジャーになれない、と言う人もいますので、あくまでも、個人的な想像です。しかも、私は素人ですから、信用していただかなくてもいいです。
それでも、F16戦闘機は、多目的戦闘機で、いろいろなことが出来ます。一世代前の戦闘機ですが、空対地の能力が優れています。ウクライナにあるロシア軍のレーダー施設や地対空ミサイルの施設を攻撃する能力があります。これは、ウクライナが航空優勢を獲得する可能性があるということです。
ウクライナ戦争の当初、飛行場への攻撃もありましたし、ロシアの空挺部隊も投入されましたが、その後、ロシア空軍は活躍していません。ウクライナ領から離れた場所でのミサイル攻撃はしますが、ウクライナの上空を我が物顔に飛び回るような活躍をしていません。近代戦では航空優勢が基本だと言われていますが、この戦争では、ロシアもウクライナも航空優勢を持てていません。
もしも、F16戦闘機が投入されることで、ウクライナが航空優勢を獲得すれば、ロシア地上軍は、かなり、苦しい戦いをしなければなりません。ロシアが構築した防衛線は、対戦車戦を想定した防衛線です。防衛線の後方にあるレーダー、ミサイル、長距離砲。補給基地を攻撃されたら、前線は戦闘力を失います。
F16戦闘機の供与は、この戦争の様子を一変させる可能性があるのです。
もしかすると、ロシア軍は、東部からも、南部からも、クリミアからも撤退を余儀なくされるかもしれません。
ウクライナがロシア領に攻め入ることは、NATOの反対があって出来ないと思いますが、明らかに、ロシアの負けになります。
そうなった時に、プーチンは権力を維持できるのでしょうか。
それが、大問題になります。
もしかすると、失脚するかもしれませんし、国外逃亡を余儀なくされるかもしれませんし、暗殺されるかもしれません。
プーチンにとっては、大変、ヤバイことになります。
では、プーチンは、そんな状況を座して見ているのでしょうか。
そんなことはしないと思います。
専制君主にとっては、地球よりも、人類よりも、国よりも、自分の命が一番重いのです。
プーチンは、持てる力を全て使うと思います。
プーチンの最後の切り札は核兵器です。
もう、これまでのように、恫喝のための核兵器ではなく、戦況を変えるための兵器として使うことになります。

ロシアの戦争分析は、第二次世界大戦当時のままなのかもしれません。
近代戦では、航空優勢が戦争の帰趨を決めることは常識とされていますが、ロシアでは、そうなっていないのかもしれません。大祖国戦争の記憶が強すぎることと、最後には核兵器があるという神話があり、戦争分析が近代化しなかったのかもしれません。
戦争開始当初、ロシア軍は航空優勢を取るチャンスはありました。一時的に、ロシアが航空優勢を獲得したように見えた時期はありましたが、結果的に失敗しました。
もしも、ロシアが航空優勢を持っていれば、NATOから搬入される武器弾薬を、その搬送路上で叩くことができたはずです。未だに、ウクライナの鉄道は機能しています。
では、ロシアの基本的な戦略はどこにあるのでしょう。
ロシアは、部分動員で30万人の兵士を投入しましたが、今も、40万人の職業軍人を募集していますが、総動員令という噂もありますが、これらは、どれも人海戦術です。ロシアには、第二次世界大戦でドイツと戦い、2000万人の犠牲を出しながらも、ドイツに勝ったという過去があります。ロシアでの、あの大祖国戦争と言われる戦いは、その後のロシアに大きな影響力を残したようです。今やっている人海戦術は、同じことをやろうとしているのかもしれません。
ロシア軍の参謀の能力がどれほどのものかはわかりません。でも、航空優勢が戦争の最大の要素であることに気付かないとは思えません。ただ、F16戦闘機の供与が実現し、ロシア軍の後方部隊が叩かれてから気付いたのでは遅いと思います。
今は、まだ、「戦争をエスカレートさせるような支援はやめろ」と非難するだけです。
今のロシア軍に危機感があるようには見えません。
F16戦闘機が実戦に参加するまでには、まだ、数カ月あります。
ロシアの味方をしたいとは思いませんが、ロシアは可能な限り速やかに、F16戦闘機の供与に対して対抗策を発表すべきだと思います。
ロシアができる有効な対応策は、核兵器しかありません。
もう、恫喝の時間は終わっています。
そうです、実際に核爆発を起こすしかないと思います。
では、どんな方法が考えられるのでしょう。
正しい分析かどうかはわかりませんが、プーチンの対応を妄想してみます。
ロシアが声明を出します。
「警告として、黒海に核ミサイル着弾させる。通行する船舶は注意するように」
「それだけではない」
「1機目のF16が、ウクライナ領に入った時点で、ウクライナ領内に核ミサイル1発を着弾させる」
「2機目、3機目でも、同じ」
「F16を20機供与するとすれば、20回、ウクライナに核ミサイルが着弾することになる」
「20機を超えた場合は、周辺国だけではなく、NATO主要国も標的にする。その時は、戦略核弾頭になる可能性を否定しない」
「これは、脅しではない。決して、誤解しないように」

もしも、プーチンが、こんな具体的なメッセージを出したら、ウクライナ、NATO、アメリカは、どう対応するのでしょう。
実際に、黒海で核ミサイルが爆発したら、F16戦闘機供与は出来ないと思います。
ウクライナ軍が、春か、夏か、秋の大反撃をしたとしても、F16戦闘機なしに、ロシア軍をウクライ領から撤退させることは難しいと思います。
戦線は膠着します。
ロシアにとっても、ウクライナにとっても、その時点で、停戦交渉に入るという選択肢しか残されていないと思います。
プーチンの大勝利とはなりませんが、占領地を確定できるのですから、プーチンの勝利にはなります。
つまり、核兵器を持っている国は、何をやってもいい、という実績が作れます。
プーチンは、時間をかけて力を蓄え、再び、キーウを攻略すれば、ウクライナ全土を掌握することも可能です。

こんな話、日本には関係ないと思っているかもしれません。
「ウクライナ人は可哀そうだが、ウクライナ戦争なんて、俺には関係ねぇ」と思っている日本国民の皆さん、それは、誤解です。
ウクライナ戦争は、日本の皆さんの生活に直接影響を与えます。
停戦であれ、和平であれ、どんな形であれ、戦争はいつか終わります。
戦争が終わって必要になるのは、ウクライナの復興です。
ウクライナの戦後復興は「日本が主力」として実行することが、国際世論になっていて、岸田総理も「任せておけ」と言っています。
ウクライナの戦後復興には、数百兆円の資金が必要だと言われています。
日本に求められる資金は、100兆円かもしれません。
しかし、日本の現状を見ると、国力衰退で四苦八苦しています。国防費も少子化対策費も、それ以外の国家運営費用も、底をついていて目途が立っていません。
どうするのですか。
想像してみましょう。
乱暴な試算ですが、ウクライナの戦後復興に年間10兆円、国防費に5兆円、少子化対策費に5兆円、その他の国家運営費(これは、利権のために便乗するだけですが)に10兆円必要だとしてみましょう。合計で、年間30兆円の税収増が必要になります。仮に、消費税1%で2.5兆円の増収になるとすると、消費税換算で12%の増税が必要になります。そうです、消費税は10%ではなく、22%になります。
遥か彼方のウクライナで停戦が実現すると、日本の消費税が増税になる。「そんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、そうなるのです。無い袖は振れませんから。
残念なことに、30兆円もの増税をしても、日本は借金をし続けなければ国家運営ができません。国力衰退も、着々と進行します。
どうするんですか。
先送りを続けながら、じわじわ、ずるずる、と衰退をするのですか。
それほど遠くない未来に、限界は来ます。
国家崩壊です。
本気で考えることを、強く推奨します。

プーチンがプーチンの理屈で始めた戦争で、多くの命、多くの生活、多くの街、戦費を含めて多くの富、が失われただけではなく、日本人を含め、多くの国の国民が、ウクライナの復興資金に苦しむことになります。
それでも、プーチンを罰する術を持たない私達は、どうすればいいのでしょう。
いや、プーチンを罰したところで、失われたものが蘇るわけではありません。
どうすることも出来ません。
元々、地球上に、万人共通の正義など存在していませんでした。
私達は、今も、その現実の前で、立ちすくむことしかできません。
いや、地球上には、地球が誕生して以来、弱肉強食というルールが揺るぎないルールとして存在しているだけで、それは、今も、変わりません。
これこそが、現実なのです。
争いは、人間の欲から生まれます。
だとすると、人間が人間である限り、争いは無くなりません。
多分、平和や正義を実現する処方箋は、この世に存在しないのだと思います。
もちろん、私にも何一つ提案するものがありません。
人類の絶滅は、天変地異がなくても実現するのです。

では、どうすればいのでしょう。
原因は、プーチンですか。
確かに、こんな戦争を始めたプーチンが悪いことは誰の目にも明らかです。
でも、「プーチンが悪い」と言ってみたところで、プーチンに逮捕状を出してみたって、仮に「ごめんなさい」とプーチンが言っても、何も解決しません。
この先、プーチンのような人間は、二度と出てこないのでしょうか。
いいえ、プーチンよりも更に悪逆非道な人間は、必ず出て来ます。
地球は、人間がいる限り、危険が一杯なのです。
悲しいことですが、これが現実です。
危険が一杯の惑星に住んでいる以上、対応するのが人間の責務です。
どこの国も、自分の国がウクライナにならないように、自分で自分を守る必要があります。
ただ、自分で自分を守るためには、経済力が欠かせません。
日本の場合、国力衰退を止め、国民が豊かになり、国防費でも少子化対策費でも、その増額に耐えられるようにならなければなりません。
それが、自分で自分を守るという言葉の意味です。


2023-06-04



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