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中国は非対称の戦術が得意 [評論]



昨日は、伝統ある「うやむや」方式について書きましたが、もう一つ、「うやむや」方式と思われる事象を書きます。
それが、「イージスアショア中止」という出来事です。
中止の理由は、迎撃ロケット発射時に排出されるブースターが、民家を、民間人を、損傷する可能性が否定できないというものです。
核弾頭や化学兵器弾頭が搭載されている北朝鮮のミサイルを撃墜する時に、秋田や山口の一般人の家屋や人命に危険があるから、計画そのものを中止します、というものです。
こんな屁理屈で納得する人はいないと思いますが、建前は、ブースター落下による被害を出さないこととなっています。
誰が聞いても、変だと思いますが、多分、他に理由として利用できるものがなかった結果だと思います。
ということは、「イージスアショア中止」の目的は別にあるということです。
河野防衛大臣が、突如発表し、総理大臣も二つ返事で了解し、契約を打ち切られるアメリカ側からも抗議が来ませんし、トランプが激怒したというニュースもありません。
不可解な中止の理由も、何の抵抗もなく中止が決まったことも、何か、変です。
これは、私の妄想に過ぎませんが、アメリカが中距離ミサイルの開発に成功し、アジアに配備すると言っている時期に、起きていることを考えれば、日本にアメリカが開発した中距離ミサイルを配備するためのシナリオなのではないかと思います。もともと、イージスアショアは時代遅れだと言われていましたので、利用したのでしょう。
アメリカの中距離ミサイルは通常弾頭ミサイルだと言われていますが、核弾頭を搭載する能力は持っています。日本の国民は、中国や北朝鮮のミサイルは危険だと認識していますが、一旦、「核」という言葉が関係してくると、正常な判断ができなくなります。
当然、野党や左傾メディアは騒ぐことになります。
これは、政治的にかなり高いハードルが予測されます。
でも、中距離ミサイルの日本配備は避けられません。アメリカに「ミサイル配備に同意しないのであれば、日本を守ることは出来なくなりますよ」と言われたら、実際に日本防衛は困難になりますが、どうするのでしょう。日本政府は、日米安保が日本の安全保障の基軸だと言ってきたのです。とても、ご主人様に「ノー」とは言えません。ご主人様に逆らうということは、国防を放棄することになります。
もちろん、中国は日本の野党や朝日や毎日に圧力をかけてくるでしょう。そこそこのカネを払ってでも日本に配備させたくはありません。日本国内で米中代理戦争が始まります。
自民党は、どのみち高いハードルになるのであれば、「敵基地攻撃能力」も抱き合わせにしようと考えているようです。
自民党では、「イージスアショア中止」を受けて、議論が始まり、議論は「敵基地攻撃能力」へと移っています。
個人的には、中距離ミサイルの配備も、日本独自の「敵基地攻撃能力」も必須のものだと思いますが、簡単なことではありません。「敵基地攻撃能力」実現のための費用も、時間も、必要人員も、イージスアショアの比ではありません。
ですから、これも、途中経過に過ぎないと思います。アリバイ工作というか、シナリオ通りというか、一種の儀式みたいなものです。
アメリカの中距離ミサイルの日本配備は容認するしかないと思います。
そもそも、自国を守るためですから、アメリカのミサイルを配置すること自体が間違っていると思いますが、無い袖が振れないのであれば、仕方がありません。
中国人民軍の中距離ミサイルは2000発あると言われていますので、アジアでの最大の同盟国である日本は、少なくとも、1000発の配備が要求されるのかもしれません。仮に、1000発のミサイル配備をしなければならないとすると、在日米軍基地だけでは難しいと思います。自衛隊の基地にも、それ以外の場所にも、標的にならないためにも、分散して配備する必要があると思います。
アメリカも、日本の総理大臣も、防衛大臣も、承知の上でのシナリオだと思います。
もちろん、安全保障に関することですから、隅から隅まで公表するなんてことはできませんが、それにしても、姑息なやり方にしかみえません。
ま、「うやむや」方式は日本のお家芸ですから、そちらの側面のほうが大きかったのではないかと思います。しかし、この「うやむや」方式は、国民から安全保障という思考を奪い去りました。自分達で守らなくても、「アメリカさんが何とかしてくれる」と信じる国民を育ててしまったのです。自分の国は自分で守らなければならないという世界常識は日本には当てはまらないと思っています。「いい子」にしていれば、戦争なんてしなくて済むと思っています。世の中、そんなに甘いものではありません。お花畑で昼寝をしている人達にとって、ミサイルの話なんて必要ないのです。ですから、左翼が騒げば、国防なんて自分には関係ないと考えている国民は付和雷同することになります。国民の皆さんは、「平和」とか「命」とか「愛」という言葉が好きです。ふわふわとしたものを見て「きゃー、かわいい」という女子中学生と同じです。しかし、現実は、そうではありません。必要であれば、中国も北朝鮮も、日本を叩き潰すことが可能なのです。

アジア情勢を俯瞰してみると、中国は、軍事面でも遠慮せずにアメリカに対抗しようとしています。口先反論だけではありません。
南シナ海、東シナ海、黄海で、同時に軍事演習をやりました。3つの海で同時に作戦を展開する能力を誇示し、第一列島線の中は守り抜く覚悟を示したのです。中国が勝手に作った第一列島線の中には、台湾も尖閣もあります。たまたま、実効支配できていないだけで、台湾も尖閣も中国の領土だと主張しています。この第一列島線は、中国にとって、最初の一歩に過ぎません。第二列島線もあれば、太平洋中間線もありますし、最終的には地球上の海は、全て中国領だと考えています。
同時期に、アメリカは、空母打撃軍を二つ、南シナ海に派遣し、軍事演習をやりました。定期的にやっている駆逐艦による「自由航行作戦」ではありません。2つの空母打撃軍が一緒に演習することも多くはありません。
トランプの選挙戦略の一環と言う説も頷けます。
今は、中国に強い態度で臨む必要があります。バイデンも対中国強行路線を主張し始めましたが、ウクライナの例を出して、バイデンの息子と中国の関係を切り札にしてくる可能性があります。
トランプは、バイデンとの直接対決で「少なくとも、俺は、中国の召使にはならない」と言うでしょう。それは、バイデンが大統領になれば、アメリカは中国の召使になるという、アメリカ国民に対する脅しです。
アメリカには、大統領選挙という目に見えた国内要因がありますが、中国には私達には見えていない国内要因がありそうです。推測するしかありませんが、経済と災害が習近平政権を外向きにさせているのかもしれません。習近平政権の危機感が、いろんな場面で表面化し始めています。
新疆ウイグル自治区で実施された「焚書坑儒」のことは、先月書きましたが、同じことが中国全土で始まりました。これは、人民を更に統制しなければ、危険だと感じていることを示しています。戦時体制への移行が視野に入ったものと思います。中国共産党にとり、最大の懸念は、人民暴動です。中国4000年の歴史は、政権の圧政と人民の暴動の繰り返しです。過去の王朝がやってきた圧政は、中国共産党が完成させようとしています。だとすると、人民の暴動が出現するのは時間の問題だと思います。
いくら情報統制がされているとはいえ、香港のデモは暴動に発展する可能性があり、香港の暴動が中国内部に波及しないという保障はありません。当初、「国家安全維持法」は限定的に施行すると言われていましたが、その取り締まりは多岐にわたり、厳しさを増す空気が充満しています。あらゆる階層で、民主化運動ができる環境にはありません。
香港立法会選挙に向けた民主派の予備選に対し、香港行政府は「香港国家安全維持法」違反の疑いがあると指摘しました。コロナを理由として集会も禁止されています。いろいろな場所で公安警察の捜査が行われています。コロナを理由にして、選挙の延期を決めたようですが、このままだと、選挙制度でさえ廃止することになるのかもしれません。
中国国籍を持っていない外国人も「国家安全維持法」の対象になります。香港には、数千社の海外企業がありますが、日本が一番多くて約1400社が香港で活動しています。社員が何人いるのか知りませんが、誰でも終身刑を言い渡される危険があります。日本で不用意な発言をした社員は、香港へは行けないと言われています。いや、日本本社の動きが反中国だと決めつけられたら、香港支店は風前の灯火になります。現地の社員が逮捕される可能性もあるのです。
もしも、仮に、そのような事態が起きた時には、日本はどうするのでしょう。
政府は遺憾の意を表明するだけでしょう。
中国に優しい自民党の一部、野党、朝日新聞、毎日新聞は、企業の自己責任だとして非難することになります。法律であれば、どんな法律でも遵守しなければならないというのが、日本人の意識です。確かに、自己責任であることは間違いありません。香港在住の海外法人の3割が香港脱出を決めているそうですが、そこに日本企業が何社あるのでしょう。仮に、日本企業の3割が対応しているとしても、まだ1000社も残ることになります。その時点で、自己責任になることは仕方がありません。日本企業を経営しているのは日本人ですから、安全保障に関する意識は低いと思います。犠牲者が出るまでは、ずるずると続けることになるものと思います。
世界は、アジアは、どこへ向かっているのでしょう。
アメリカも中国も、外向きに力を誇示しなければならない国内事情を抱えているとすると、何が起きても不思議ではありません。
東シナ海での軍事演習は、船舶の拿捕訓練だったそうです。日本の漁船、海上保安庁の巡視船、自衛隊の護衛艦を拿捕する訓練です。尖閣諸島を実効支配するためであり、第一列島線の内側を、南シナ海と同じように中国領として管理するための作戦です。
中国人民軍にとって、台湾攻撃と尖閣支配のどちらが、難易度が高いのかは知りません。どちらも、アメリカ軍が出てくる可能性はあります。常識的には、無人島の尖閣を占領するほうが容易いと思います。最終的には、中国海軍が出てくるでしょうし、海上自衛隊も東シナ海に展開する必要が出てきます。これは、もう、戦争です。
しかし、中国は非対称の戦術が得意です。レアアースの輸出禁止だけが武器ではありません。中国には、約12万人の日本人がいるそうですが、日本人の大量逮捕も考えられます。尖閣を占領している中国軍に攻撃を仕掛けてきたら、日本人を死刑にすると脅してくる可能性だって排除できません。
日本が自国の領土を守るための行動を起こさなければ、アメリカ軍は参戦しません。
膠着状態のまま、実効支配は中国側に移ることになります。
北朝鮮に拉致された日本人でさえ救出できないのですから、中国で逮捕され、拘留中の日本人を救う手段は日本にはありません。
それでも、アメリカ軍の参戦を期待して占領された尖閣を奪還に行けば、東京に山のようなミサイルが飛んできます。中国が、在日アメリカ軍基地を外してミサイル攻撃をしてくれば、アメリカは参戦を躊躇するかもしれません。
もちろん、これは私の妄想に過ぎませんが、こんなシナリオが無いとは言えません。

そんな状態になった時、敵基地攻撃力や中距離ミサイルが無い状態で、日本は、どうやって国を、国民を守るのでしょう。実際に甚大な被害が出れば、安全保障政策に反対をしていた左翼の方は口を噤みます。「俺には関係ねぇ」と言います。
国民にも、大きな犠牲を強いることになります。
国民は「あちゃー」と言うしかありません。
国民の「命」も「生活」もボロボロにされます。
でも、私達は、そういう日本を、今、選択しているのです。
曖昧統治が、「うやむや」手法が、国民から国防意識を奪いました。これほど国防意識のない国は、日本くらいのものだと思います。
確かに、曖昧統治や、「うやむや」手法は国家運営者に目先の利益は与えてくれますが、国家百年の計にはなり得ません。
そのことに気付き、修正する必要がありますが、気付くこともなく、気付かないのですから、修正することもできません。
この国は、惰性で動いているだけで、運営不能状態になっているのです。
コロナやイージスアショアだけではありません。国家運営が機能している部分を見つけることが至難の業になっているのです。
その結果起きているのが、国力衰退です。
この国の国力衰退は、国家運営者の目先の利益を優先した曖昧統治や、「うやむや」手法を「ふむ。ふむ」と頷いて容認している国民の皆さんの責任ですが、明らかに、いたる場面で国力衰退が表面化しています。このトレンドは、この先も、続きます。
中距離ミサイル配備問題で、日本国内において米中代理戦争が始まることになると思いますが、国民の皆さんは、どんな判断をするのでしょう。
ま、最終責任は国民が取るのですから、国民の皆さんがどんな判断したとしても国民の自由であると言われれば反論はできません。ただ、その現実を国民の皆さんは知っているのでしょうか。私には、そうは思えません。


2020-08-05



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