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電車の行き先表示は [評論]



今日は50代のサラリーマンを対象にしたアンケート結果を見てみます。
全国の3000人の方の現状です。

1. 50代になって迎えた最大の人生の危機はなんですか?

職場での地位、収入、やりがいの低下 1256人
健康面で大病(メンタル含む)を抱えた 580人
両親・義理の両親に介護が必要になり、仕事と生活が激変 421人
転職に踏み切ったが、収入が低下してしまった 398人
妻との関係性が冷え込み、熟年離婚の危機、もしくは離婚した 251人
職場で退職勧奨に近いプレッシャーを受けるようになった 238人
役職定年によって収入が低下してしまった 225人
子供の養育費・学費で家計が崩壊、破綻しかけた 191人
勤め先の業績が悪化し、リストラもしくは倒産によって失職 140人
老後資金づくりに手を出し、投資に失敗した 113人
独立・起業に失敗してしまった 80人
子供が引きこもりになってしまった 74人
特に危機はない 611人

2. 今、何にもっとも不安を抱えていますか?

3000万円必要ともいわれる老後資金 1407人
気力・体力の低下、大病など健康面 1388人
両親・義理の両親や親族の介護 791人
今の職場での左遷やリストラ、収入の低下 705人
年下上司など、職場での人間関係 612人
今の職場や仕事がいつなくなってもおかしくないこと 550人
子供の養育費や学費 391人
転職先を探しているが、納得できる案件がまったくないこと 376人
子供が自立できるかどうか? 312人
妻とうまくいかず、熟年離婚を切り出されること 127人
独立・起業を目指しているが、将来に自信がないこと 103人
特に不安はない 298人


どのようなアンケートだったのかはわかりませんが、危機と感じている人や心配を抱えている人が多いことはわかります。
でも、いつの時代でも、どの世代でも、危機や心配が無いなんて人はいないと思います。いや、危機とも感じず、心配もしない人のほうが心配です。
アンケートでは、危機を感じていない人が611人もいました。不安はないと答えた人が298人もいました。信じがたいことです。
このようなアンケートが100年間継続して行われていれば、もう少し見方は違ったのかもしれません。30年前に、20年前に、10年前にはなかった危機や不安が顕著になれば、今の社会の問題点が明確になっていたのかもしれません。
そういう意味では、このアンケートは「ふむ、ふむ」と相槌を打つだけの話なのかもしれません。
だからと言って、このようなアンケートが無意味だとは思いません。
今の社会環境は見えてきますし、方向性も見えます。それは、将来予測の助けになるという点で意味のあるものだと思います。いや、それ以外に価値はありません。
社会が、中高年者を邪魔者扱いにし始めていることは、危機や心配事の内容からも見えてきます。そこには、今の高齢者と、将来の高齢者が日本社会の重荷になっていることを、少子高齢化の負の一面を表している証だと思います。と言うことは、高齢者を強制的に排除しない限り、今後も、解決の方法はないことを意味します。
何の対策もなく、漫然と、少子高齢化社会を迎えてしまった私達に責任があります。
国が何もしなかったことは明白ですが、国民だって声を出しませんでした。
積極的に少子高齢化社会を望んだという意味ではなく、皆で、「何もしない」という消極的な道を選んだということだと思います。
今、私達の目の前にあるのは、このまま「何もしない」という選択を続けるつもりですか、という問いかけだと思います。ずるずると行き着くとこまで行きますか、という問いかけだと思います。
ただ、そのような選択肢を突き付けられていることに、私達は気付いていません。30年前にも、20年前にも、10年前にも、その時々の選択肢は提示されていたと思います。私達はそれらの選択肢も無視してきました。そこにあるのは「まあ、まあ、そんな固いこと言わずに」とか「何とかなるさ」という文化があったからだと思います。
しかし、もう、曖昧文化では、この苦境は乗り越えられないと思います。文化に警鐘を鳴らす人はいません。将来に警鐘を鳴らす人も、「何となく、ヤバイですよ」という警鐘を鳴らすだけで、具体的な内容には踏み込みません。
現状認識については、このようなアンケートをやってみようかというモチベーションは生まれているのですから、少しずつ前に進んでいるようですが、その原因に関しては手付かずですし、想像力に至っては無いに等しい状態です。ですから、対策なんてものは皆無だと言っても過言ではありません。

それでも、アンケートと回答の中身を見てみましょう。
このアンケートにあるように、老人予備軍である50代の皆さんは、30年前とは違う多くの問題に直面しています。ここでは、「問題ない」としている2割の方は、異常値として無視します。
このアンケートでは50代の方が対象になっていますが、60代の方も同じような問題に直面しているものと思います。
仮に、職についている50代、60代の方が1000万人いたとすると、800万人は問題を抱えています。何とか問題解決をした方が300万人いたとしても、500万人の方は、問題を抱えたまま60代70代に突入することになります。
老後資金が3000万円では足りないことは何回も書きました。それなのに、300万人は貯蓄ゼロです。少ない年金で、生き延びるしかありません。中には、満足に食べることもできない人も大勢いると思います。
政府は定年延長を強引に進めています。社会保障費の抑制のためには、何としても実現したいと考えているようです。では、社員ではなく、会社はどのような対応を取るのでしょう。当然のことですが、老人をいつまでも抱えていれば、企業が成り立ちません。もう、60歳の社員をどうするかという対策では間に合いません。老人予備軍を含めて、可能な限り中高年の人員の削減を日常的に行う必要があります。ですから、40歳以上の社員に対して希望退職者を募集することが当たり前になりました。昔、私達が働いていた頃は、製造ラインの省力化が大きなテーマでしたが、今は、あらゆる業務の省力化が求められています。そして、着実に省力化は進められていきます。企業にとっては、老人正社員をどこまで削減できるかが会社存続の条件になりつつあります。
50代の次の世代は、就職氷河期の皆さんの時代です。急激に非正規労働者が増えている世代です。もっと、悲惨な将来が待っています。
しかも、国力は、どんどん、衰えていっているのです。
これで、ほんとに、「何とかなる」のでしょうか。
「何ともならない」と思います。
今必要なのは、AI技術を駆使した将来の餓死者の推定値なのかもしれません。
しかし、国民全体としては、平穏を満喫しています。もちろん、不安感は持っていますが、なんとか、押し殺しています。
「じっと、我慢をすること」が大人の対応だと言われ、その常識に従っています。
でも、アンケートの回答を見る限り、皆さん、危ない場所に立っています。
問題は、その危ない場所にいる人が、10年後、20年後に、どうなるのかという将来予測です。それも、具体的な予測です。
「何とかなる」と思うのでしょうか。
いいえ、もっと危ない場所に立つことになると思います。
今日食べる物は。
明日は、どうしょう。
10年前に悩んでいたことや心配事が、いかに些細なものだったのかに気付かされます。
取り敢えず、今、食べる物が欲しいという日々になります。
今日の食べ物が確保出来たら、明日の食べ物を心配する日々です。
政治とか経済とか世間とか、どうでもよくなります。
そして、何日も食べ物を手に入れられなくなり、体力を失います。
「なんで、どうして、俺がこんな目に遭うんだ」
空腹を抱えたままでも、人間は、すぐには死ねません。
出てくるのは、溜息だけになります。
このアンケートに答えた3000人の皆さんは、こんな未来は想像しないと思います。いや、他人事だと思っているのではないでしょうか。
違います、あなたの未来です。
「まさか、いくら何でも、そんなことには・・・」
ほんとに、そうなのでしょうか。
選択肢が全く無いわけではありません。
皆さんの前には3枚のカードがあります。
「自死を選ぶ」「餓死を待つ」「犯罪者になる」のカードです。
どのカードを手にしますか。
このような状況は変える必要があるのではないでしょうか。
漠然と、ではありますが、多くの方がそのことをわかっています。
「こんな状況は、いつかは、変えなくてはならない」と思っているでしょう。
しかし、「いつか」ではなく「今」変えなければならないのです。
なぜなら、国が変わらなければ社会は変わらないからです。国が変わろうとすれば、最短でも10年や20年はかかります。皆さんの未来を変えるためには、今、変わる必要があるのです。
国民の皆さんは、電車の中で、スマホを触ったり、うたた寝をしながら、「ふむ、ふむ」と頷いていると想像してみてください。皆さんに、その電車の先頭車両にある行き先表示版は見えません。実は、そこには「地獄」という二文字が書かれているのです。
私達が乗っている電車は、そういうレールの上を走っているのです。
もしも、「何か、変だな」と思った方が、次の停車駅で降りて、行き先表示版を見て、降車したとします。駅には、食糧も水もありません。駅の周囲には人家もありません。電車内には、終着駅に着くまでの食糧と水はあります。
どうしますか。
解決策があるとすれば、乗客全員が電車を降りて、新しいレールを敷設し、行き先表示版を変えることなのではないでしょうか。その工事期間中に食糧と水が尽きれば、同じ結果になりますが、やってみる価値はあるのではないでしょうか。
こんな提案をしても、多分、「馬鹿げた妄想だ」と切り捨てられると思いますが、結果が出てからでは取り返しがつきません。
ほんとに、大丈夫なのですか。
自信を持って、根拠を持って、胸を叩ける人はいるのでしょうか。
いないと思います。

国民の皆さん。
大人の対応をしていても、皆さんには何の利益もありません。甘い汁を吸えるのは、いつでも、一部の人達だけだと相場は決まっています。そういう人達が「大人の対応」を推奨しているのです。
そろそろ、声を、本音を、出す時なのではないでしょうか。
そのためにも、是非、言葉の定義をしてください。
常識という呪縛から自分を解き放してください。


2020-04-06



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