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貯金を守ろう運動 [評論]



中期財政計画の骨子というものが発表されました。
日経新聞の記事から、その内容を転載します。
文中の[ ]は、石田が加工したものです。
PBはプライマリーバランスを略した名称です。


▽2015年度の目標達成に向けて
・国の一般会計のPB赤字について改善を図る必要。歳出・歳入両面で[最大限努力]する
・税収等の動向も踏まえ優先度の高い施策に[重点化]
・新規国債発行額は14年度、15年度に前年度を上回らないよう[最大限努力]
・半年ごとに進捗状況を[確認]
・歳出面は各年度の優先課題に重点化して[メリハリ]をつける
・歳入面は経済社会構造の変化を踏まえて、あるべき税制のあり方を[検討]する

▽2020年度の目標達成に向けて
・PB対象経費の対GDP比を[着実に縮小]、税収等については対GDPで[拡大]する
・15年度予算を踏まえて経済財政を[展望]し、16年度から5年間の具体的[道筋を描く]
・今後の予算編成において歳出増や歳入減を伴う施策を導入する際は、歳出削減や歳入確保により安定的な財源を確保することを[原則]とする
・秋以降、持続可能な財政と社会保障の構築に向けた取り組みについて経済財政諮問会議で[検討]する


財政計画そのものではありませんので、個別の具体的な政策が書かれていないのは当然ですが、それにしても、政府の及び腰が見えるような内容になっていると思います。それは、特に[最大限努力][検討]という文字に表れていると思います。何かをするという意欲はありません。何もしなくても、言い訳が出来る内容にすることが主眼になっているような骨子だと言えます。最近までは、2020年度に、プライマリーバランスの黒字化という目標を安倍政権も守ると言ってきました。でも、政府内部においても「そんなの無理だ」という声が圧倒的に多いと聞いたことがあります。彼等は、財政再建に消極的だという烙印を押されることを回避しているだけで、プライマリーバランスの黒字化でさえ、やる気はありません。いや、やる気がないという言い方は、違うかもしれません。不可能だということがわかっている人が多いと言った方が適切だと思います。残念ながら、彼等の判断は間違っていません。財政再建は、不可能なのです。誰だって、明らかに嘘だということで胸を叩くことはできません。努力はします、という言い方は、苦肉の発言なのです。努力という言葉だけではインパクトが弱いので、最大限という枕詞をつけたのでしょう。努力でも、最大限努力でも、努力を数値化することはできませんので、ただの言い訳の言葉です。
その後、政府はプライマリーバランスの黒字化は無理だと発表しました。いくらなんでも、約束は出来ないと思ったのでしょう。安倍政権の支持率が高い間に、危険球を投げておこうと考えたのかもしれません。更なる増税と、更なる社会保障費の削減が必要だと明言しています。思いきった発言をしましたが、これも、嘘です。いくら増税しても、いくら社会保障費を削減しても、財政破綻は避けることができません。
[ 嘘をつく → ほとぼりが冷める → 次の嘘をつく → また、待つ ]
これが財務省のやり方なのです。時間がかかります。ですから、最後は、間に合わずに壊れるのです。なぜ、そうなるのか。自分達の利権を守ろうという助平根性があるからです。
多分、この骨子の延長線上にある玉虫色の財政計画が出来上がることは、容易に想像することができるのではないでしょうか。一般の評価も、あまりよくないように感じました。
仮に、石田の予測通りに日本が崩壊した時、多くの国で日本崩壊の分析が行われると思います。それは、どこの国も、日本の二の舞になりたくないと考えるからです。その時に、日本崩壊の原因が、官僚の助平根性にあったという分析ができるのでしょうか。ま、他所の国のことですから気にすることはないのでしょうが、少し心配です。
しかし。
財政再建計画の議論の中で、もう一つ、重要な要素が抜けていることに言及する人はいません。
それは、借金の返済が目的ではなく、PBの均衡化や黒字化が、既に最終目標になっていることです。それとも、借金の返済は諦めたということなのでしょうか。
しかし、1,000兆円という巨額の借金をしているのですから、もはや、その利息を計算から除外することは、財政再建という目的に適合しないのです。
PB(プライマリーバランス)は、国債とその関連費を除いた収支のことを言います。権力者がプライマリーバランスを前面に出すのは、借金の返済計画よりも低い目標の方が楽だから。返済や利息の話は、財政危機の深刻さを国民に知られてしまうから、でしょうか。
PBとは何かを単純化してみましょう。
収入面では、借金である国債発行による収入を除外します。
支出面では、国債の返済と利息の支払いに要する支出を除外します。
税金による収入で、国債関連費用を除く支出が賄える状態を均衡と言います。
では、日本の財政収支に当てはめてみましょう。
モデル化をするために、実際の数値とは異なる結果となりますが、ご理解ください。
支出面では、一般会計予算と補正予算の合計を年間100兆円とします。
一般会計の中から、国債関連費用の20兆円を除外すると、80兆円が支出金額です。
収入面では、その年度により差がありますが、税収は40兆円としてみます。
日本のPBは赤字です。
[40兆円]-[80兆円]=[-40兆円]
税収を増やし、支出を削減して均衡させることが、PB均衡化と呼ばれます。
ダブルスコアになっている数値を見ると、財政収支の均衡化だけでも、至難の業だと思います。
しかし、ここには、抜けているものがあります。
プライマリーバランスの計算では、国債関連の収支が含まれていません。
国債は、借金ですから、必ず利息を支払わなければなりません。
その利息支払いの費用は、どこから捻出するのでしょう。その金額は、100万円とか1,000万円という単位ではありません。10兆円単位の金額です。
たとえ、仮に、PB均衡化に成功したとしても、利息支払いの費用を調達するためには多額の借金をしなくてはなりません。借金は増え続けるのです。これでは、問題の解決にはなりません。
では、その利息の金額は、いくらなのでしょう。
それは、長期金利次第で、いくらにでもなるのです。仮に、利息だけで、100兆円になったら、もう、誰も日本国債を買いません。日銀でさえ買えないでしょう。
たしかに、PB均衡化は財政再建の第一歩です。でも、それは、第一歩に過ぎません。巨額な借金を抱えている日本の場合、利息支払いを無視したPB均衡化では財政再建にはならないのです。その第一歩ですら、言い訳を念頭に置いた計画の骨子では、何も前進させることはできません。財政再建は、無理だということです。
20年間、借金だけで食いつないできたこの国が、まだまだ、今までのようなやり方でやっていけると考える方が異常なのです。では、なぜ、今まで借金ができたのか。それは、国民貯蓄があったからです。PB均衡化でも二の足を踏んでいるようでは、どうみても、借金を返す当てなどありません。
この借金が返せないということは、担保にされている国民貯蓄が失われるということなのです。それが、銀行閉鎖という姿なのか、ハイパーインフレという姿なのか、新・資産税という姿なのかはわかりませんが、財政破綻が「お上」の事情だと考えている国民の認識は間違っています。財政破綻とは、国民が、自分達の財産を、それも、なけなしの財産を失うということなのです。
「何もしないよりは、少し、まし」だと言う方がおられます。
それも違います。
もう「少し、まし」程度では、この国は救われないところまで来ているのです。
国家運営者が[最大限努力]という言葉を使い、財政再建を努力目標にしているようでは、財政再建など出来ません。「努力しましたが、駄目でした」と言えば済むことなのです。

この骨子が発表された後の麻生大臣の発言を聞いて、さらに驚きました。「財政再建は経済成長による税収増加で行う」という発言です。これは、官僚の指示による発言だと思います。官僚利権を危険に晒す規制緩和はしませんよ、というメッセージです。増税をします。社会保障費の削減もします。ほんのちょっとですが経済成長もします。でも、官僚利権に手をつけてはいけません。なぜ、こんなことが許されるのでしょうか。
経済成長による税収増加という話は、20年前から同じ事を言ってきて、一度も実現していません。それに、政府の経済成長目標は3%です。金額で約15兆円です。GDPと税収の関係をみると、GDPの約8%~10%が税収です。経済成長が目標通りに3%上昇したとしても、税収の増加は最大で1.5兆円にすぎません。10年間累積したとしても15兆円です。これで、どうやって財政再建をするのでしょう。しかも、経済成長が毎年3%上昇する見込みがあるとは言えません。楽観的な成長率を試算に使う国ほど財政赤字が大きいという統計があるそうです。税収増加の1.5兆円は最大値ですから、実際には低くなる方が自然です。また、長期金利が1%上昇しただけで、税収増加は吹き飛んでしまいます。
参考までに、ニッセイ基礎研究所の発表によれば、2014年以降は再び成長が0%になるそうです。カナダの銀行も、アベノミクスは失敗すると公言しているそうです。少し冷静な目で見れば、誰にでもわかることです。アベノミクスって、日銀が市中から国債を買いまくるという政策です。本来、その金融政策は成長戦略が軌道に乗るための時間を稼ぐことを目的とするものです。あくまでも、経済再生の本命は成長戦略なのです。ところが、二番煎じの、物置の奥でほこりを被っていた自称・成長戦略では、何の力にもなりません。いいかげん、成長戦略という言葉を利用するのはやめるべきだと思います。この世に、もう、成長戦略なんてありませんから。それは、この20年間で、日本という国が証明しました。
相変わらず寝惚けたことしか言えない自民党の古い体質は健在です。
彼等に財政再建はできません。


確かに、世間では、財政問題など、今、騒ぐ問題ではないという意見が主流です。
騒いでいるのは、石田のブログくらいでしょう。
どうも、変です。
マスコミや評論家や政治家の発言が一枚岩になっていることが、どこか変です。
以前に、ロイターの企業調査の記事を載せましたが、約70%の企業が10年以内に財政危機が来ると回答していました。
とても、一枚岩になれるような環境ではないと思います。
少しだけ深読みしてみましょう。これが財務省の陰謀だとすれば辻褄が合ってしまうのはなぜなのでしょう。マスコミも評論家も、財務省の意のままになっていることに気付いている人は少ないのでしょう。私達が知らないだけで、財務省に逆らい、仕事を失った人はいるものと思います。財政問題だけではなく、報道は官制報道が主流の時代です。
しかし、財政問題は対策に時間がかかるという意味でも、他の懸案事項と少し違いますので、同じ目で見るべきではないと思います。同じ目線で見ていると、切迫感など生まれません。財政問題の場合は、10年後の日本を想像することから始めなければならないのです。タイムスリップして、10年後の世界に立って、その条件で財政問題を見る必要があるのです。これは、通常の視点とは相容れません。10年後でも、今と同じような議論が出来るのであれば、今の日本は財政問題に固執する必要などないと思います。しかし、以前に、10年後の日本の環境を予測した記事でも書きましたが、日本の環境はガラリと変わっていることが予測できます。そんな予測は、マスコミでも評論家でもわかっています。でも、財務省に反旗を翻すような記事が出ることはありません。見事に、どこからも出てきません。マスコミや職業評論家や政府の発言と石田の発言を天秤にかければ、100人中100人が、石田が嘘つきだと判定するでしょう。ほんとに、そうなのでしょうか。直接、財政問題に言及しない時は、石田の予測と同じ予測をしているのに、財政問題に言及する時は、その予測を意図的に外すのはなぜなのでしょう。言論統制があると考えれば理解できます。もちろん、誰も嘘を言っている訳ではありません。時間軸という要素を隠しているだけです。しかし、それが大問題だと思います。
私が心配するのは、今でも手遅れだと思うし、5年後ではもっと手遅れだし、10年後であれば、手の出しようもないという時間軸のことです。


今、私達にできること。
それは、自分の貯金を守るために、声を出すことです。
声を出せば貯金を守れるとは、限りませんが、せめて、そのくらいの抵抗はすべきなのだと思います。
私には、スキルがありませんので、お願いするしか能がないのですが。
どなたか、「貯金を守ろう」というバナーを作って、個人ブログに貼ってもらう運動をしてくれる人はいないでしょうか。個人ブロガーのトップ画面に、変なバナーが貼ってあったら、何だろうと思う人もいるかもしれません。「えっ、私の貯金がなくなるの」と思う人は、自分のブログにも、そのバナーを貼ってくれるかもしれません。個人ブログの何割かのブログに、「貯金を守ろう」バナーがあれば、国民の声になる可能性だってないとは言えません。これは、市民のささやかな抵抗運動です。
少し心配なことは、炎上する可能性があります。その辺のスキルもお持ちの方でないと、迷惑をかけてしまうかもしれません。
でも、本気にしないでくださいね。
たとえば、こんなことをしたとしても、仮に、この行動が何かの力になるとしても、10年くらいは時間がかかるのではないかと思います。ですから、13年後の崩壊を回避する力になることはありません。ささやかな抵抗というのは、崩壊を回避するためではなく、抵抗そのものに価値を見出さなくてはできないことなのです。
残念ですが「貯金を守ろう」運動をやっても、手遅れですから役に立つことはありません。
それでも、抵抗はしてみたいと思う方が、いないとは限りません。
いや、いや。
そんな方は、いません。
「お前達は包囲されている。無駄な抵抗はやめなさい」と言われているのに、こんな馬鹿なことをやる人がいるとは思えません。
個人ブログで、役にも立たない抵抗をするのは、馬鹿な石田だけで充分なのです。


2013-08-19



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