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埋没した大原則 [評論]



欧州危機に対する日本の危機感は、対岸の火事的な印象があります。しかし、欧州危機は確実に日本に大きな影響を与えます。それは、中国とアメリカの経済状況の変化によるものですが、確実に影響を受けます。
私達は忘れがちになりますが、国家にとっての最優先事項は経済発展なのです。政治や軍事や教育や福祉等々よりも、飛び抜けて大きな優先事項です。経済発展のために、存在するのが、政治や軍事や教育や福祉等々の活動であり、その全ては経済発展のためにあるのであって、少なくとも資本主義を標榜している民主主義国家では経済発展を犠牲にしてまでもやるようなものは存在しません。この大原則を忘れていては、国家運営などできません。今の日本は、この大原則を守っているのでしょうか。
日本の現状は。
・円高もデフレも、放置されています。
(つい最近になって、FRBの後追いをして、日銀がインフレターゲットに言及し、金融緩和の方向性を見せたため、為替は円安になっていますが、この動きが本物なのかどうか見極めるには、まだ時間が必要です。日銀がなぜ方向転換したのか。FRBの真似をしただけとは思えません。直近の長期金利上昇を遅らせる意図の方がよほど強かったのかもしれません。つまり、財務省の脅しに日銀が屈したという風に見えます。もっとも、従来の日銀のやり方は多くの人に批判されています。円高の元凶は日銀の優柔不断な政策によるものだと断ずる人もいます。FRBは先頭を走れますが、日銀が先頭を走れば世界から叩かれるという現実もありますので、勇気は出せないのかもしれません。ただ、これは日銀に限らず日本の生き様ですから、批判しても意味がありません。国債購入枠を10兆円増やしたのですが、ここにも財務省の意向が感じられます。なしくずしで、国債の日銀引き受けを実現する意図があるのかもしれません。確かに、日銀引き受けで時間稼ぎはできると思いますが、その先の展望がなければ、日本はさらに重傷になります)
・国内の産業空洞化は、着実に、しかも予想以上に進行しています。
(産業の空洞化に関しては、一般メディアでも取り上げられています。経済発展が最優先される国としては、連日、一面のトップ記事になってもいいと思いますが、まだまだ、その扱いは小さいと感じます。空洞化は、国民の雇用にボディーブローのように効いてきます。一度、外へ出ていった雇用は帰ってきません)
・成長戦略はありませんし、規制緩和もしません。
(経済発展のための政策がないだけではなく、現状維持のための政策もありません)
・被災地復興は遅々として進みません。
・加害者の東電は、平気で電気料金を上げます。
(経団連の会長は、東電の国有化について、言語道断だと発言しています。政府の責任を肩代わりしているのは東京電力であり、国は全面的に東京電力を支える責任がある。国有化等ということがあってはならないと言っています。これは、東電の社長が経団連の会長に根回しをして言わせたという話もあります。東電にすれば、自分は悪くないと思っているのですから、言いたくもなるでしょう。国民不在の論理で何かが動いていく。責任を取ろうとしない経産省に責任があることを放置した結果です。私は、個人的には経産省も東京電力も解体して出直す必要があると思っています。でも、最終的に電気料金や税金という形で、また健康被害という形で責任を取るのは国民なのです。このような理不尽が、平然と行われることを、国民は座視していていいのでしょうか)
・日本の政治は、機能不全になっています。
・日本は国益を損ね続けているのです。
そんな中で、政府は増税だけに集中しています。狂気の沙汰です。
経済優先の大原則は、どこに行ったのでしょう。
これらの機能不全は、第二次大戦における軍事政権以来の出来事だと思われますが、これでは国家運営が出来ないことを、我々はあの時で経験済みだと思います。こんな馬鹿げたことを繰り返すことに何の意味があるのでしょう。100年間で2度も同じ過ちを繰り返す日本人は、本当に優秀な民族なのでしょうか。以前にも書きましたが、戦争さえしなければ過ちを繰り返さないのだと思い込んでいることが、過ちなのです。戦争も戦後も総括せずに、ずるずると先延ばしをしてきたために、我々は本質を見失っているのです。間違っていたのは国家運営だということに気付かねばなりません。戦争も財政破綻も、一つの現象に過ぎないのです。
機能不全の症状がこれほど多く出現しているのに、日本国内は金縛りにあったように身動き一つ出来ません。それは、政府だけではなく社会全体が機能不全に陥っているからではないでしょうか。これも、あの時と同じです。
数年以内に、日本はこのツケを不況という形で払わされることになります。ツケを払うのは、政治家でも官僚でもありません。ツケを払うのは国民なのです。
それは、あなたであり、私です。
構造的な経済劣化に加えて、不況による経済縮小、購買力の低下、その結果としての社会保障費の削減と増税。そして、貧困。
これらは、全て国民が負担するものなのです。小学校の教科書に載っていなくても、中学か高校の教科書には載っているのではありませんか。
そもそも、国家は国民のために存在しているという大前提があります。従って、国家運営の失敗は、国民が責任を取るのが当然なのです。国民から負託を受けた政治家や、使命を帯びた公務員が、国家を私物化したとしても、たとえそうであったとしても、責任を取るのは国民しかいないのです。ですから、国民は政治家や官僚の強欲を認めてはいけないのです。それは、自分の首を絞めることになるのです。
権力者達だけではありません。国民の中にも既得権を守ることに全力投球している人達が大勢います。公務員と労働組合に代表されるこれら既得権死守国民を正常な姿に戻さなければ、日本は壊れます。元も子も失くすのは、国民なのです。
ギリシャのように、窮地に追いつめられてからデモをしたり暴動を起こしたりしても後の祭りなのです。落ちるところまで落ちなければ、止まりません。
どこを見ても、「自分さえよければ」ばかりです。それでも社会が維持できると考えるのは、傲慢な考えだと言わざるえません。

格付け会社のムーディーズが2/24に日本国債について記者懇談会を開くと発表しました。
いよいよ、日本格下げの動きが具体化してくるようです。最近、一般メディアでも長期金利という文字が出てくるようになりました。知名度が上がると、現実になると言われることがあります。カウントダウンが始まったのかもしれません。

橋下市長が、中京都構想に対して「何をしたいのか、わからない」と苦言を呈したそうです。私も、橋下氏の維新八策に対して同じ事を書きました。つまり、他人のことは見えるものなのです。ブレーンに恵まれなければ、何事もできません。維新八策の有効な広報も、大阪維新の会の戦略構築も、政策の理論武装もしなくてはなりません。橋下氏の周囲には、そのような人材がいないのだと感じました。過激な言葉だけでは野田どじょうと同じ轍を踏むことになります。余りにも簡単に考え過ぎているようで、時間の問題で先細りになる確率が非常に高いと思います。早急に優秀な参謀を迎える事です。
橋下氏が国民に支持されているのは、漠然とした雰囲気によるものです。彼が他の政治家と違い国民の気持ちにさざ波をたてているのは、彼の若さと直感と弁舌によるものですが、それだけでは国を動かすことはできません。でも、その若さと直感は、今の日本にとって捨てがたい魅力があることも確かです。ここで、一皮むけるのか、それとも、このままジリ貧になるのか。傍観者には見えることも、当事者にはなかなか見えないものです。革命家にとっては、これも越えなければならない壁なのだと思います。
では、石田にそれが出来るのかと問われると困ります。とても無理ですから。


2012-02-19



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