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続々TPP問題 [評論]



野田君の国会答弁を「言葉」という視点で見てみます。
「国益に沿って判断する。国益を損ねてまで参加することはない」
これって、正論に聞こえますよね。
でも、これは、言葉が持つ重みを利用した騙しの手口なのです。
国益とは何か。そこに言及しないところが、野田発言の真髄です。
国益とは何かを明言していませんので、最終的には、これは国益ですと言い切ってしまえばいいのです。後出しじゃんけんをする卑怯者の手口なのです。
野田君の発言には、こういう白々しさが、いつも、つきまといます。
中身の伴わない人間が言葉だけを利用する。その軽さが随所に現れるので、時間とともに信頼感が薄れていきます。
アメリカは、本気ですよ。
中途半端な逃げ口上は通用しません。
それは、アメリカがじわじわと追い詰められているからです。政治的な背景もなく、「ウォール街を占拠せよ」というデモが発生したことでもわかります。国内の不満が充満してきているのです。
また、アメリカも財政危機と無縁ではありません。歳出の削減は急務であり、巨額でもあります。先日、アラバマ州のジェファーソン郡が破産法の申請をしました。地方自治体が破産するのは、今年、4件目だそうです。1980年以降では49件目になるそうです。日本と直接比較はできないと思いますが、日本の地方自治体破産は夕張市だけだと思います。アメリカの場合、まだ破産自治体の予備軍は数多くあります。連邦政府の歳出削減は、地方と無縁ではありませんから、これからも破産自治体は増加すると思わねばなりません。地方自治体の破産は住民に直接影響します。アメリカ政府としては、国民の不満を無視できなくなってきているのです。
更に、軍事費の削減も待ったなしです。アメリカにとって、普天間問題は騒音問題ではありません。軍事力再編の問題であり、予算の問題なのです。遅々として進まない普天間問題は、アメリカ政府を苛立たせるだけです。それらの苛立ちがTPP「全品目」発言になったのです。もう、これ以上約束違反は認めないぞという意思表示です。
アメリカは、野田君がどんな言葉で逃げようと、日本はTPPに参加したという既成事実を前提に対応してきます。それは、アメリカ政府の発表にも出ています。野田君は、協議に参加すると言っただけだと逃げていますが、もし、不参加なら日本は約束を破った国になるしかないのです。そんなこと百も承知しているのに、「国益を損ねてまで参加することはない」と国会で答弁する。これは、騙しにすぎません。言葉遊びに翻弄されている野党の力不足も酷いものです。「二枚舌」などという言葉で、成果を得ようとしている野党議員の質が問われなければなりません。的が外れているのです。少なくとも、自民党は政権党だったのですから、政府部内で何が起きているのか。その程度はわからなくてはなりません。それとも自民党政権では官僚丸投げだったので、推測の材料もないのでしょうか。
日本政府(今では財務省政府と言い換えてもいいですが)の当面の課題は国際収支です。輸出でドルを稼いでいるのは大手企業であって、農家ではありません。もし、国際収支が赤字転落すれば、日本の財政はクラッシュします。財務省にとって大切なのは大手企業です。
彼等は、とりあえず、財政破綻を阻止することしか考えていません。農家を補助金で黙らせ、その補助金は増税で賄う。これは、既定路線になってしまったのです。そこに抜け落ちているのは安全保障の問題です。軍隊だけが安全保障ではありません。サイバーテロも安全保障問題であり、食料はもっと重要な安全保障問題です。
国際収支の赤字を阻止するために、それを経済成長で実現するならば国益ですが、増税で実現することは国益にはなりません。なぜなら、国民が疲弊した国に未来があるとは言えないからです。どんなに先延ばしをしても、日本の財政破綻は不可避です。増税で弱り切った国民に最後の打撃を与えることは、国の再生能力を奪うことになります。
国益の原点は民を守る事なのです。国益を守るために民に重税を課すという発想は本末転倒なのではありませんか。
野田君に、国益という言葉の持つ展望と覚悟を理解している様子は、私には見えません。
震災復興費、原発事故対応費、社会保障費、農家補助金、財政再建。税金をいくら増税しても足りることはありません。財務官僚の犬になった野田君を「使い勝手、よし、ひこ君」と官僚達が呼んでいるという噂話もあります。
言葉だけでは、何も解決しないのです。


2011-11-16



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