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これが現実です [評論]



政府税制調査会(首相の諮問機関)で、消費税や自動車税についての議論が始まったというニュースがありました。
これまで、たばこ税とか酒税等の細々とした増税を積み重ねてきましたが、消費税ほど実入りのいい税目はありません。ですから、税制調査会が、消費税増税の誘惑に駆られるのは自然なことです。
これまで、消費税の導入、増税の度に大騒ぎになりましたが、それでも、増税は実現しています。増税や徴兵は、最強の国家権力ですから、逆らえる人はいません。
クーデターでも起こさない限り、次の消費税増税は実行されます。既存の政党で国力衰退に対処する政策を持っている政党はありませんから、政権交代程度では消費税増税は止められません。何党が政権を取っても、増税は必要なのです。
でも、これは「悪あがき」に過ぎません。
将棋にたとえれば、この国は、既に、詰んでいます。
仮に、税収不足の額が50兆円だとすると、25%の増税(現行10%+増税25%=消費税率35%)が必要となります。しかし、短期間で25%の増税はできません。5%ずつ小刻みに増税するとなると、5年刻みで実行したとしても、25年かかります。
では、25年後に、財政が均衡するのでしょうか。
いいえ、そうはなりません。
毎年、10兆円の歳出増を続ければ、増税分は、その歳出増に充てられるだけで、税収不足額の50兆円は、いつまでも、続きます。ただ、現実を見ると、毎年、補正予算で数十兆円の歳出をしていますので、10兆円程度の歳出増では済まないと思います。つまり、消費税を増税しても、税収不足額は増えることになります。
つまり、増税ごときの手段では、この国は、25%もの大増税であっても、何も変わらないということです。いや、現状維持も難しくなります。
破綻する日が、必ず、やってきます。
増税は、「悪あがき」にすぎないのです。
皆さんは、国家財政なんて「俺には関係ねぇ」と思っているかもしれません。
とんでもありません。
皆さんの生活に直結しています。
多分、そのことを力説したとしても、皆さんは聞く耳を持っていないと思います。
「まさか」の一言で終わりです。
でも、現実は、そうではありません。
朝鮮半島の北と南で、なぜ、これほどの差ができたのでしょう。それは、北朝鮮が国家運営に失敗したからです。日本も、失敗すれば、北朝鮮になれるのです。
「落穂拾い」という言葉があります。かなり、古くからある言葉のようです。
この「落穂拾い」をしていた北朝鮮の住民が、監視員に殴る蹴るの暴行を受けたそうです。
穀物が実り、収穫作業をした時、100粒の穀物が100粒収穫できるわけではありません。刈り入れが終わった農地にスズメがやってくるのは、地面に落ちている穀物が餌になるからです。穀物を運搬する時にも、荷台から落ちる穀物があります。北朝鮮では、それらの「落穂拾い」も、れっきとした農作業の一環だそうです。ですから、監視員にとっては、勝手に「落穂拾い」をしている住民は取り締まります。
でも、北朝鮮の住民は、落穂を拾ってでも、飢えを凌ぎたいのです。
北朝鮮では、今日の食べ物のほうが大事です。
運が悪ければ、餓死します。
数百万人が餓死したという話は出て来ますが、現実に何人の住民が餓死したのかは、誰も知りません。
北朝鮮では、虫でも蛇でも小動物でも、全部、食べ物です。もちろん、木や草もです。
それでも、日々の食糧を確保することに全力を傾けなければなりません。それは、人間に生存本能があるからです。
理論や正義では、生き延びることはできないのです。
必要なのは「食い物」です。
国家運営に失敗するということは、「食い物」がなくなるということです。
でも、北朝鮮の住民の必死の努力も、日本の皆さんにとっては他人事です。
「まさか」です。
しかし、北朝鮮という国が存在するということは、「まさか」は起きるということです。
皆さんは、北朝鮮になろうとしているのです。
「そんな、馬鹿な」と言うでしょう。
では、皆さんは、現実に遭遇した時に、同じことが言えるのでしょうか。
いいえ、四の五の言っている暇はありません。とりあえず、今日の食べ物です。
餓死の恐怖と戦うのです。

では、誰が、餓死の恐怖と戦うのですか。
岸田さんですか。
いいえ、餓死の恐怖と戦うのは、皆さんです。
消費税の増税や各種保険制度の変更に対するSNSの反応を見てみましょう。
庶民の声。
「今月から雇用保険料率UP。基礎年金65歳迄払えとか、むしり取られる話しか出て来ない。政治成果として国民全体の所得を爆増させてから言えっての…」
「消費税増税議論 年金納付5年延長案 脇目もふらず働けって?庶民は馬車馬かよ」
「消費税あげるとか年金65まで納めるようにするとかもう無茶苦茶やな 国民のどこにそんな金があるねん」
いつも、国民の皆さんの意見には、ほんとに驚きます。
「俺達、下々には、責任はない。お上が悪い」と信じ込んでいます。
これ、勘違いです。甚だしい勘違いです。
皆さんが「お上」の好き放題を認めていたから、こうなるのです。今更、文句を言ったところで、何も変わりません。皆さんが「お上」だと思い込んでいる自民党は、国民の外注先にすぎません。ですから、責任を取るのは、国の主権者である皆さんなのです。何の不思議もありません。主権者という言葉は飾り物ではないのです。
いつまで、「お上と下々」という歴史と伝統に縛られているつもりですか。いくら「お上と下々」という伝統を大事にしたって、国力は、どんどん、衰退しているのです。これが、現実です。
「あいつが悪い」「俺には関係ねぇ」と言っても、衰退は止まりません。
いい加減、気付かねばなりません。
だって、最終責任は、国民の皆さんが取るのです。このルールは絶対不変のルールです。この国の責任者は、国民の皆さんなのです。国民の皆さんが責務を果たしていないから、国力が衰退し、増税や保険料の徴収が生活を圧迫するのです。「俺は何もしないけど、誰か、うまいことやってくれ」なんて言って、何とかなるものではありません。「お前は、ガキか」と言われても不思議ではありません。
先程のSNSの声にも出ていましたが、年金の制度改革が進められています。年金制度改悪と呼んでいる方もいます。これは、年金保険料の収入よりも、高齢者の増加に伴い、年金支給額が増えているからです。保険料は何度も値上げしましたが、その程度では、高齢者の増加に対応できなったのです。
強制的に加入者を増やし、保険料負担期間を延長し、支給額を減らし、支給開始年齢を引き上げるという制度改革は、何を意味するのでしょう。
明らかに、「振る袖が無くなりつつある」ということだと思います。
では、年金制度を廃止し、年金支給を止めてしまえば、どうなるのでしょう。
老人は、生活保護制度に頼るしかありませんが、この国にそんな財源はありません。生活保護制度も廃止されます。そのことを見越した方が、ベーシックインカム制度の採用を提唱していました。実現可能かどうかは未知数です。
社会保障制度の崩壊は、何を意味するのでしょう。
想像は難しいですが、かなりの数の餓死者が出ると思います。数百万人になるかもしれませんし、一千万人を越える可能性も否定できません。
では、なぜ、こんな事態を迎えているのでしょう。
少子高齢化社会が来ることがわかっていたのに、「先送り」を続けたからです。
それでも、経済成長さえしていれば、ここまで追い詰められることはなかったと思います。
社会保障制度が危機に瀕しているのは、国力が衰退しているからです。
国民の皆さんの生活が苦しいのも、将来が真っ暗なのも、不安ばかりが大きくなるのも、その原因は、国力の衰退なのです。

ここまでは、税や社会保険料という公的な負担が国民生活を圧迫していることについて書きましたが、国民生活を圧迫するのは、税や社会保険料だけではありません。
私達の生活の基盤となっている電気・ガス・ガソリン・水道の中の電気料金とガス料金とガソリン料金の値上げが止まりません。
その上、生命を維持するための食料品の値上げも止まりません。
国民所得が増えない状態で、公的負担、インフラ負担、食料費負担が増え続けています。
この国の国民は、日々、貧しくなっているのです。
先日、大阪ガスから、上限価格の改定に関する書類が送られてきました。
原因は原材料費の高騰です。
これまでの上限価格は、102,540円/トンだったそうですが、12月以降、段階的に値上げされ、来年5月には、177,860円/トンに改定されます。上昇率は、73.5%になります。
3人世帯の平均的なガス代が、月額5,000円だとすると、8,600円になります。
関西電力からは書類は来ていませんが、もしも、同じ上昇率だとすると、3人世帯の平均が10,600円ですから、18,400円になります。
電気代とガス代の合計は、10,000円の値上げになり、光熱費は、月額で27,000円、年間では324,000円になります。
政府は、「海外と比較してくれ」と言います。確かに、イギリスでは6倍、ドイツでは3倍になっていると言われていますので、1.7倍くらいで騒ぐなと言うことなのでしょうが、庶民にとって、10,000円の値上げは厳しいと思います。
値上げは、光熱費だけではなく食料品も値上げされています。
「不幸は不幸を呼ぶ」という現象が起きないことを祈りたいです。
来年には、黒田日銀総裁が交代し、金融政策が変わると言われています。
長期金利が上昇します。
長期金利の上昇は、住宅ローンに直接影響します。
住宅ローンが出費の一部になっている方は、生活費が圧迫されることになります。特に、住宅ローンの場合は、試算はしていませんが、元金が大きいですから、その影響も大きくなります。ローン返済が難しくなる人もいると思います。
では、値上げの嵐が来ている今、賃貸住宅の賃借料は値上げされないのでしょうか。
値上げして欲しくないと思いますが、わかりません。
仮に、光熱費1万円、食料費1万円、家賃(ローン返済)1万円の値上げになると、月に3万円の出費が増えることになります。年間では36万円です。
皆さん、耐えられますか。私は、「ヤバイ」です。
今、見えているのは、来年の春までです。
来年の春以降が、どんな流れになるのかは、わかっていません。
不安ですよね。
でも、これが現実です。

増税や社会保険料の増額は、なぜ、起きているのでしょう。
国民所得は、なぜ、増えないのでしょう。
国民生活は、なぜ、苦しくなっているのでしょう。
原因は、全て、国力の衰退から来ています。
ですから、国民の皆さんが、自分の生活を守りたいのであれば、皆さんの手で、この国力衰退を止めるしかないのです。もう、「お上」にできることはありません。国家運営を自民党に任せておいて大丈夫ですか。立憲や共産党に任せて、何とかなると思いますか。誰も、安心していないと思います。では、誰が、この国力衰退を止めるのですか。国民の皆さん以外に、いないと思います。これを「自明の理」と呼ぶのだと思います。
最近、増えてきたのが、出稼ぎ体験談です。
なぜ、「海外で働いたほうが、収入が多い」という体験談がニュースになるのでしょう。
これも、国力が衰退し、日本が後進国の仲間に入ろうとしている証です。
この先、日本人は、海外に出稼ぎに行き、家族に送金するという生活が当たり前になる時代がやってくるのです。もちろん、海外から、日本に出稼ぎに来てくれる人はいなくなり、日本の国力は、人口減少による衰退以上に衰退するということです。
皆さん、これで、いいのですか。
皆さんは、いつまで、「いい人」を、「下々」を、演じ続けるのですか。
皆さんは、なぜ、不安なのですか。
皆さんは、なぜ、自分を、家族を、守ろうとしないのですか。
皆さんには、子供達の未来を守る責務はないのですか。
ほんとに、不思議な国民です。
今は、国民の皆さんの行動が求められている時代です。
この国では、クーデターや武力革命は無理です。
デモでは何も変わりません。日本最大のデモは、安保反対デモだったと思いますが、あのデモで日米安保は失効しましたか。いいえ、デモでは何も実現しません。
体を動かすことだけが行動ではありません。
国民の皆さんが、言葉の定義に挑戦し、目的と責務を明確にすることも行動なのです。


2022-12-02



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