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戦う覚悟



「また、麻生さん、やってしまったのか」と思いましたが、いつもの失言とは少し違うようです。失言王の麻生さんですから仕方ないのかもしれませんが、外交での失言は失言では済みません。
立憲民主党や共産党の批判も、的を外しています。
与党、野党、中国外交部の3者の発言を見た時、的を外していないのは中国外交部だけというのは、とても深刻だと思います。あの威圧的で、暴力的で、品位に欠ける中国外交部の発言が、真っ当な主張に聞こえてしまうのは、ヤバイと思います。
こういう状況を「救いようのない状況」と呼ぶのだと思います。

台湾を訪問している麻生さんは、講演で、台湾情勢について語りました。
「今ほど日本、台湾、米国を始めとした有志国に強い抑止力を機能させる覚悟が求められる時代はない。戦う覚悟です」
「台湾の人たちの生活、幸せ、繁栄を維持するため、現状を守り抜く覚悟を蔡英文総統の後に総統になられる方にも持っていただき、同じ価値観を持つわれわれと一緒に戦っていただけることを心から期待する」

立憲民主党の岡田幹事長の批判。
「台湾有事にならないためにどうするかが求められているなかで、非常に軽率だ」
「政治家は国民の命と暮らしを預かっている。軽々にいう話ではありません」
共産党の小池書記局長の批判。
「明らかに専守防衛に反する。極めて挑発的な発言だ」
「相手に恐怖を与えることであって、まさに軍事対軍事の悪循環を引き起こすことものだと批判してきました。麻生氏の発言は、まさに抑止という考え方の危険性を赤裸々に語っている」
お二人とも、「戦う覚悟」という言葉に反応したようですが、「どうやって、この国を守るのか」という提案をすることなく、言葉尻を捉えて批判する姿勢に、違和感は感じないのでしょうか。「外交で」とか「話し合いで」とは言っていませんが、多分、そういうことなのでしょう。でも、「外交や話し合い」で解決しなかった時、彼等はどう責任を取るつもりなのでしょう。政権政党にならなければ、問題ないのかもしれません。いや、そもそも、政治は責任をとる能力を持っていません。責任が取れるのは国民だけです。だから、国民は主権者と呼ばれているのです。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻という現実を見てしまった今、立憲や共産の批判には国民を説得する力がなくなりました。そのことを、どう考えているのでしょう。国民の皆さんは、自民党にも優しいですが、立憲や共産に対しても、ほんとに優しい「いい人」ばかりです。どっちもどっち、これが、まさに、「なあ、なあ」「まあ、まあ」です。
でも、真の日本の課題は「覚悟」でも「軽率」でも「挑発」でもありません。
言葉遊びに終始していること自体が、問題なのです。
「なあ、なあ」「まあ、まあ」の中では、何も見えてきません。
そもそも、麻生発言は、「戦う覚悟」がない日本の政治家が、口先だけで「戦う覚悟」が必要だと言っている茶番に過ぎません。台湾もアメリカも、ジョークとしか受け取ってくれないと思います。もしも、麻生さんが、本気で「戦う覚悟」が必要だと思っているのであれば、台湾で講演するのではなく、日本国内で、何度も何度も、国民に訴えなくてはなりません。他人様に「戦う覚悟」を求めるのは、間違いです。

ついでに、中国の反応も書いておきます。
「身の程知らず」
中国の批判は、的を射ています。まさに、「身の程持知らず」です。
中国人民解放軍は、兵員数で日本の10倍、兵器でも圧倒的な優位を持っている軍です。
これは、「覚悟」でどうにかなるような差ではありません。
中国人民解放軍に対応できる軍は、アメリカ軍しかありません。
しかし、台湾有事の際に、アメリカ軍が介入するかどうかは、わかりません。
アメリカも、政府と国防省は一枚岩ではありません。政府と議会もそうです。最終的には世論が決めることになると思いますが、その行方はわかりません。
麻生さんは、政府と調整したと言っているそうですが、アメリカ政府との調整は、アメリカ国防省との調整は、アメリカ世論との調整は、出来ているのでしょうか。もしも、アメリカとの調整が出来ていないのであれば、失言になると思います。
台湾とアメリカに火中の栗を拾わせて、日本は逃げようとしているという批判もあります。もし、そうなのであれば、麻生さんは国益を毀損させています。
国内問題での失言は、相手が「いい人」ばかりの日本国民ですが、外交での失言の場合、相手は海千山千の猛者ばかりです。失言王の麻生さんでは、心配です。

そもそも、麻生発言は、現実から遊離している「お伽話」に過ぎません。
日本人に「戦う覚悟」なんて全くないのに、なぜ、その現実を無視するのか、そこが理解できません。
麻生さんは、自分が銃を持つつもりはないでしょうから、簡単に「戦う覚悟」なんて言葉を使いますが、国民は、戦うつもり、さらさら、ありませんから。
誰が戦うのでしょう。自衛隊員だけが戦うのでしょうか。
約20万人の自衛隊の皆さんには、覚悟があると言われますが、私は、半信半疑です。
戦争では、敵の軍隊を全滅させる必要などありません。
軍は、1/3が犠牲になると機能しなくなると言われていますが、5万人が犠牲になったとして、残った15万人の自衛隊員は玉砕するまで戦う覚悟なんて持てるのでしょうか。総崩れになるような気がします。国民のバックアップなしに、自衛隊員が最後まで命を懸けるとは思えません。日本では、他国の侵略に対して銃を取ると答えた人は1割しかいません。その1割の中に兵士になれる年齢の人が何人いるのか疑問です。そんな国で、自衛隊員だけが孤軍奮闘出来るとは思えないのです。中国人民解放軍は、日本軍を相手にするのではなく、国民と分断されている自衛隊を相手にすればいいのです。日本の自衛隊は、ロシアの傭兵部隊ワグネルと同じです。ロシアにはロシア軍がありますが、日本には日本軍がありません。傭兵部隊と変わらない自衛隊員の戦闘意欲を叩き潰せば、200万人で20万人を叩けば、中国の勝利です。だから、中国は「身の程知らず」と言ったのです。
政府が安保法制を改定したところで、敵基地攻撃能力を持ったところで、自民党副総裁が「戦う覚悟」と言ったところで、国民意識が変わらなければ、戦えません。
先ず、国民意識を変えることから始めなければ、まさに、中国が指摘したように「身の程知らず」になります。
ほとんどの国民が「戦うのは自衛隊の仕事で、俺には関係ねぇ」と思っています、
もしも、仮に、戦争になってしまったら、国民の皆さんはどうするのでしょう。
日本政府は、焦って、徴兵制度を作るでしょう。
ただ、100万人徴兵したって、中国には敵いません。勝つためには3倍の兵力が必要だと言われますが、600万人の徴兵なんて可能なのでしょうか。
そもそも、徴兵制度が機能すると考えるのは、考えが甘いと思います。
大量の国外脱出が始まると思います。
ロシアでさえ、30万人徴兵の時、100万人のロシア人が国外脱出したと言われています。日本では、2000万人が国外脱出するかもしれません。陸路での脱出ルートはありませんので、困難を極めますが、知恵を絞ってでも脱出することになります。そんな国で、自衛隊員だけが戦うのですか。自衛隊員は人柱なんですか。違うと思います。

私は、「戦う覚悟」なんて必要ないと言っているのではありません。
国にも、国民にも、「戦う覚悟」は不可欠のものです。
それは、現実として、「ならず者国家」は存在するという事実があるからです。
ただ、「覚悟」は、自分が決めることであり、他人に求めるものではありません。
「覚悟、覚悟」と騒ぐことは、「平和、平和」と騒ぐことと同じで何の価値もありません。
先ず、国民が自分の責務を知る必要があることを、知ることです。
その上で、私達は、この国を中国領日本自治区にしない方法を見つける必要があります。
何故なら、人間には「誇り」が必要だからです。
チベットを、新疆ウイグルを、香港を見てください。
中国に占領されたら、同じ境遇に立たねばならないのです。
では、「戦う覚悟」って、何なんでしょう。
その答は、今のウクライナにあります。
中国と日本の差ほどではありませんが、ロシアとウクライナの国力・軍事力には大きな差があります。
そんなウクライナが、なぜ、まだ、ロシアと戦えているのでしょう。
欧米からの武器支援があるからだ、と言う人がいるかもしれません。
もちろん、武器支援がなければウクライナは戦えません。
でも、武器があっても、それを使う人がいなければ、武器は何の役にも立ちません。
ウクライナは、国民が戦っているから、戦争に負けていないのです。
では、ウクライナ人は、なぜ、戦っているのでしょう。
国を守り、「子供達の未来を守る」ために戦っているのです。
あれが、「戦う覚悟」です。
もちろん、ウクライナにも徴兵逃れはありますし、多くの戦死者を出していますので恐怖心もあります。それでも、戦う人は戦っています。少なくとも、今の日本人には、ウクライナ人の真似はできません。
日本の皆さんは、「俺には関係ねぇ」とマジで思っています。
自国の国民に「戦う覚悟」がないのに、台湾で「戦う覚悟」が必要だと主張する麻生さんは、言葉遊びをしているだけです。
現実を直視し、将来を想像し、言葉の定義をし、自分達の責務と目的を明確にし、地に足をつけた行動が必要なのだと思います。

麻生さんの台湾訪問の目的は、来年の台湾総統選挙に注文を付けに行ったという説もあります。
総統選挙で親中派、もしくは、中国優和派の候補が勝利すれば、中国領台湾自治区にならないとしても、中国との新しい契約を結ぶ可能性があります。短期的に見て、そのほうが台湾の利益になりますので、可能性は低くはありません。
しかし、台湾の将来を決めるのは、日本でもアメリカでも中国でもなく、台湾人です。
台湾の将来は台湾人が決め、その結果も台湾人が背負うのです。
もしも、来年の総統選に影響を与えることが麻生さんの目的だとすると、それは「余計なお世話」というものだと思います。中国は「内政干渉だ」と言っていますが、これも、中国が言うことのほうが正しいと思います。
もちろん、水面下で働きかけることは必要です。
でも、講演で言うべきこととは思えません。
麻生さんは、元々、思慮に欠ける無責任男ですから、本人は正しいことをしていると思っているのでしょうが、いつもいつも、ピントがずれます。少なくとも、麻生さんを外交に利用するのはやめなければなりません。それが岸田さんに求められる最低限の見識だと思います。そもそも、駄目政治家の見本のような麻生さんに一票を投じている選挙区の皆さんに、大きな責任があります。
「じゃあ、誰に投票すればいいのだ」
その通りです。だから、国民の手で新しい政治集団を創ることをお勧めしています。

どの側面から見ても、麻生さんの台湾訪問、講演、「戦う覚悟」は正しくありません。
これは、いつもの「失言」ではなく、国益を毀損する「失態」だと思います。
これは、「なあ、なあ」「まあ、まあ」が国内専用だと言うことを知らない「愚か者」がやることです。
「主権とは、国とは」という言葉の定義をしていれば、こんなことは起きません。
「言葉の定義」をしないことによる弊害が至る所で日本の将来を危うくしています。

日本という国にも、日本人という民族にも、素晴らしいものが数多くあります。
しかし、私達は、今、その素晴らしい国を破壊し、最悪の場合、民族の絶滅だってあり得るドツボへと向かっています。
残念ながら、「誇り」は、それなりの基盤が必要です。その基盤がなければ、「誇り」なんて、簡単に瓦解します。「貧すれば鈍する」という言葉があるように、私達は、その「誇り」も失う可能性があるのです。「誇り」は、失って、初めて知ることになるのかもしれません。
私達がいるのは土俵際です。両脚は俵の上にあります。
これまでのやり方では、このまま、土俵下に転落します。
どうか、そのことに気付いて欲しいと思います。


2023-09-03



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