SSブログ

実質実効為替レート [評論]



このブログには、暗い未来の話しかありません。
今日も、的中しないことを祈りつつ、暗い、暗い、未来予測の話を書きます。

為替相場が動いています。
相場は動くものですから、別に珍しいことではありません。
私達が目を向けなければならないのは、トレンドです。
それと、そのトレンドを形成している実態です。
ここ数年、1ドル100円から115円で推移していたドル円相場が、120円を超えて130円も超えました。円安のトレンドは、誰の目にも明らかな事でしたが、こんなに早く実現するとは思ってもいませんでした。いとも簡単に、130円を越えてしまいました。
150円を予想する人もいます。いや、150円も200円も300円も不思議ではないという専門家もいます。
150円になれば、庶民生活はかなり厳しくなると言う方もいます。1ドル110円で輸入していた物が36%高くなるのですから、物価上昇と物不足の両方が国民生活を痛めつけます。
既に、物価上昇は始まっていて、庶民の8割は実感しているという調査もありますが、物価は、まだまだ、上昇します。企業物価指数は40年ぶりの伸びを見せていますが、消費者物価への転換は、まだ不十分だと言われています。近々に、企業物価指数が下げに転じるという予測はされていませんので、今の上昇傾向は続きます。
専門家は、アメリカドルと日本円の為替相場は、両国の金利差から生じていると解説しています。しかし、相場は単一の要因で動くとは限りません。複合要因で動くことのほうがはるかに多いのです。国際情勢が不安定になっている今、問われるのは国力という総合力だと思いますので、金利差だけでは説明はつかないと思います。
古くから、通貨は国力を示すものだと言われています。
もしも、そうだとすると、これは、日本の国力衰退が数字になって示されているのであり、国力衰退による円安は、体力の衰えている庶民の皆さんを直撃することになります。
国民の皆さんも、日本の国力衰退は肌身で感じています。皆さんが、自己防衛を選択することは、ごく自然な行動です。その自己防衛の1つに国内資産を海外資産へ変えるという動きがあります。その代表的な例が、この数年で増えた海外株式に対する投資です。海外株式を購入する時は、円を売って、ドルを買います。円を売るのですから、これも、円安の要因となります。企業の海外投資も増えています。ここでも、円は売られます。円安の潮流は生まれつつあるのです。日本が繁栄し、国内に投資先があるのであれば、海外投資はこれほどの大きさにはならなかったと思います。
私が心配しているのは、1ドル200円や300円ではありません。
今でも、1ドル150円になれば、円安倒産が出始め、200円になれば、更に、倒産が増え、300円になれば、バタバタと倒産する時代が来るかもしれません。それでも、それは、序の口です。
私が心配するのは、1ドル1,000円とか10,000円へ向かうトレンドです。
こんな予測は誰もしていませんが、日本の国力衰退の現状から推測すれば、あり得ない数字ではありません。
「50年ぶりの円安」という言葉があります。
まだ、120円台なのに、どうして「50年ぶり」なのでしょう。
実質実効為替レートという指数で見ると、日本円の価値は50年前と同じなのです。
実質実効為替レートの専門的な解説は、しかるべき記事で読んでください。
50年前の円は、1ドル300円前後でした。300円は視野に入っているということです。
そう考えると、国力の衰退は、今後も継続しますので、1ドル1,000円という相場は、それほど異次元の相場ではありません。
いや、国力衰退の現状を見る限り、充分、手の届く範囲にあります。
では、1ドル1,000円時代の私達の生活を見てみます。
計算しやすいように、1ドル1,200円にしてみます。
日本円の価値が、現在の1/10になるということですから、輸入に大きく依存しているこの国の物価は、資源価格の変動を除いて、単純計算をすれば10倍になります。
現在、電気代が7,000円で、ガス代が3,000円というAさんの家計簿を想像してみます。
1ドル120円の時代の、Aさんの家の光熱費は、月額10,000円です。
1ドル1,200円になると、光熱費は、月に100,000円です。
仮に、Aさんの収入が月額200,000円とし、家賃8万円の賃貸住宅で2人の子供と夫婦の4人で暮らしているとします。
光熱費と家賃を支払った残りの20,000円で、食費、学費、その他諸々の費用を捻出しなければなりません。
どう考えても無理だと思います。
Aさんは、どうするでしょう。
家賃4万円の住宅を探すでしょう。1K又は1DKの住宅で4人暮らしをすることになります。光熱費が、どこまで節約できるのか、私には経験がないのでわかりませんが、頑張って、5万円でやりくりしたとします。学費がどのくらい高くなっているかはわかりませんが、それ以外の食費やもろもろの費用は、やはり、10倍になっていますので、決して、余裕のある生活ができるわけではありません。
こういう家庭を、貧困家庭と呼ぶのだとすると、日本中が貧困家庭になるということです。
さて、この試算では、Aさんの収入がなくなるという想定はしていません。
日本中が貧困家庭になって、物が売れるのでしょうか。
いいえ、企業は存続できません。
倒産企業の山ができます。
と言うことは、この国は失業者で溢れるということです。
失業したAさんは、どうするのでしょう。
生きていくためには、食べなければなりません。
Aさんは、自給自足のできる生活を選択するしかありません。
1DKのアパートでは自給自足はできませんので、田舎へ引っ越すことになります。
ただ、生活に困っているのはAさんだけではありませんので、都会から地方への人口大移動が起きていると思います。簡単に、自給自足ができる環境は手に入りませんし、農業に従事したことのないAさんは、途方に暮れるしかありません。
農家の仕事を手伝い、その収穫を分けてもらうことになると思います。昔は、こういう人達のことを小作人と呼んでいました。
ただ、農業は天候次第です。
当然、凶作の年もあります。
そんな時に、最初に倒れるのが小作人です。
こんな状況で、国家機能が、社会保障制度が、保たれているという保障はありません。
多分、国家機関は、汚職の巣窟になっていると思います。
アフリカの貧困国を想像してもらえば、理解しやすいと思います。
そんな時に、十勝沖を震源とするM8.5の地震が発生。
2カ月後に、千葉県北部を震源とするM8.8の首都直下地震が発生。
その1カ月後に、M9.2の東南海地震が発生。
同時に、富士山と桜島が大噴火を起こします。
いわゆる「踏んだり、蹴ったり」という不幸に襲われることもあるということです。
さて、Aさんの家族は生き残れたのでしょうか。

円相場、実質実効為替レートに関連する話題として、商社マンの間で「買い負け」という言葉が出てくる頻度が増えているという話があります。
1個100円という商品が、A国にあったとします。
日本は、長年、その商品を買ってきました。A国との関係も良好です。
B国と日本が、その商品を買いたいと申し入れたとします。
B国は、110円で100万個購入するというオファーをします。
日本は、100円で10万個購入したいと申し入れます。
さて、A国は、どちらに売るのでしょう。
明らかに、B国に売ると思います。
日本は、過去の友好関係を強調し、115円で買うから売ってくれと頼みますが、B国は120円の値段をつけてきます。
日本は、115円以上の価格は提示できません。それは、日本国内の価格が130円で、仮に値上げが出来たとしても140円だとすると、120円の価格は提示できません。一方、B国の国内の価格は200円ですから、充分な利益が確保できます。
このような状況を「買い負け」と呼ぶそうです。
そこに、更なる円安が追い打ちをかけますので、「買い負け」する商品は増える一方です。
物価高だけではなく、物不足の状態も起きるのです。

円安の要因は1つではありません。
中でも、最も大きな要因は日本の「国力衰退」だと思います。「通貨は国の実力」という視点が一番問題なのだと思います。「日本売り」という言葉が散見されることは、私達が危険な場所に立っていることを示しています。
ですから、日銀が金融緩和政策をやめて、金融引き締め政策に切り替えたとしても、円安のトレンドは変わらないと思います。ただ、日銀が金融政策を変更すれば、少なくとも、短期的には、円安を穏やかにする効果はあると思います。
ところが、日銀は、金融緩和政策をやめることができません。
未だに、黒田総裁は「物価上昇は一時的なものである」と言っていますし、「円安は、まだ、日本経済へのメリットの方が大きい」と言っています。日銀総裁は、金融と経済のプロのはずですが、プロとしての誇りはないのでしょうか。国民という視点が欠けているプロは、本物のプロとは言えないのではないでしょうか。
中小企業対象のアンケートで、「円安はメリット」と答えたのは僅か1.2%だったそうです。経済界も、経済学者も、「円安はメリット」だという見解は出していません。
言っているのは黒田さんだけです。いやいや、安倍総理も円安を歓迎しています。二人ともアベノミクスという失敗を認めるわけにはいかないのは仕方ありません。でも、現実は、違います。私達国民は、高騰する電気料金に苦しんでいます。黒田さんも安倍さんも、「自分さえよければ」をやっているとしか思えません。安倍元総理は、この国の衰退を、結果として推進した張本人ですが、多くの方が勘違いしています。
相場には、円安、株安、債券安というトリプル安もあります。まだ、明確なトリプル安にはなっていませんが、多分、それは、カウントダウンが始まるということです。それは国家崩壊の初期現象なのだと思います。
ここまで重症になると、小手先で、何とかなるようなものではありません。
相場は、一部の富裕層の遊びだと思っている人もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。
相場は、その結果は、私達の生活に直結しているのです。
私達は、そのことを円安で実感することになります。

暗い予測を書きましたが、私達には、どうすることもできないのでしょうか。
そうではありません。
元凶は国力衰退なのですから、国力衰退を止めれば、国力を発展させれば、この窮地から脱出することは可能です。
そのためには、国力衰退の原因を見つけなければなりません。
絶対に正しいと強弁するつもりはありませんが、私は、国力衰退の原因は、国民の皆さんの意識にあると思っています。
平たく言えば、国民の皆さんが、この国を発展させようと思っていないから、衰退しているのだと思います。
国民の皆さんは、どう思っているのでしょう。
「俺には関係ねぇ」と思っています。
「俺一人くらい、別に、いいじゃん」と思っています。
皆さんが、そう思っている限り、この国は、落ちる所まで落ちます。
国民の皆さんは、国を発展させるのも、国を衰退させるのも、「お上」次第だと思っているかもしれません。でも、それは、勘違いです。
日本は独裁国家ではありません。プーチンや習近平なら、国民をドツボに落とす力を持っていますが、民主国家では、たとえ「お上」と呼ばれていても、「お上」にそんな力はありません。皆さんが、勝手に、自分で、ドツボに落ちるのです。それが、民主主義です。
何となく、漠然と、「不安だ」と思っていても、何も変わりません。
どうか、「国とは、国民とは、民主主義とは」という言葉の定義をしてみてください。
そうすれば、皆さんが進むべき道は、必ず、見つかります。


2022-05-05



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。