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国家運営の要 2 [評論]



参考までに、二人以上世帯の数字も書いておきます。
貯蓄額の平均値は、1791万円。中央値は1061万円です。
単身世帯よりも多い数字になっています。
ただ、二人以上世帯の場合は、負債額が大きいので、それを加味する必要があります。
負債のほとんどは、住宅ローンです。(単位は、万円です)
     貯蓄    負債    差し引き
70~99  2259     86    2178
60~69  2384     242    2142
50~59  1703     696    1044
40~49  1081    1281    -150
30~39   708    1244    -536

負債を持っている世帯に限定した時の数字は下記のとおりです。
     貯蓄    負債    差し引き
60~99  1725     802     923
50~59  1380    1235     145
40~49   952    1850     -898
30~39   678    2142    -1464

この数字を見ても、30代40代50代の皆さんの将来は厳しいと思います。
30代40代50代の皆さんが老後に突入した時の日本社会を想像してください。
そこは、別世界だと思います。
退職金は、年々、減少しています。
中小企業の場合は、退職金制度もない企業があります。
もちろん、非正規社員に退職金はありません。
この先、大金が入って来る期待は持てません。いつまで雇ってもらえるのかも定かではありません。単身世帯でも二人以上世帯でも、30代40代50代の皆さんの将来は、老後資金という点で、とても、暗い未来しかありません。
皆さん、どうするのでしょう。
どうすることも、出来ませんが、心配です。

国民の何パーセントの方が、これらの数字を見ているのかは知りませんが、その比率は、とても低いと思います。私の勝手な推測ですが、1%以下ではないかと思います。他人様の貯金の額を知っても腹はふくれません。でも、もしも、この国の目的が「子供達の未来を守る」ことだとすると、少し、意味が違います。大人は、国と国民は、協力して、今、将来の社会不安を製造している最中なのです。将来の社会不安を生み出す大人のこの行為は、子供と無関係ではありません。それは、子供達の未来を暗くする要因だからです。
でも、官僚の皆さんは、多くの方が承知していると思います。自分の省の所管事項ではないとしても、官僚の一般常識として認識していると思います。8割の官僚の皆さんが認識していたとしても驚きません。
では、官僚の皆さんは、この数字を、どう分析するのでしょう。
薔薇色の未来が待っていると分析する方はいないと思います。
将来、社会不安の元になると考えたのではないでしょうか。
私は、過去に遡って調べたわけではありませんが、調査は、毎年、定期的に行われています。貯蓄額が上昇トレンドにはなっていないと思いますので、官僚の皆さんは「ヤバイ」と思っているものと推察します。
官僚は、当然、政治家に意見具申をします。
私なら、「大臣、これ、ヤバイですよ」くらいしか言えませんが、官僚の皆さんは的確な将来予測を提示したと思います。
もちろん、このデータだけではなく、多くのデータが「ヤバイ」を裏付けているのですから、官僚の説明には説得力があります。
何年前か忘れましたが、自民党が「自助、共助、公助」を強調する姿勢を見せたことがあります。最近では、菅前総理も言っていました。
政治家にとっては、有権者に向かって自己責任論を振りかざすのは利益になりません。
ほんとは、言いたくなかったと思います。
しかし、官僚は、結果が出てから自己責任論を持ち出すのは危険だと進言したと思います。少しずつ、じわじわと、自己責任論を浸透させる必要があると判断した官僚の進言を政治家が受け入れたのだと思います。
今では、多くの方が、皆さん、「いい人」ばかりですから、一定程度、自己責任論を容認しています。
非正規労働者が暴動を起こしていないのも、この空気の賜物です。
何度も書いて恐縮ですが、この国は、国民共通の価値基準で動いているのではありません。空気で動いているのです。
一気に空気を入れ替えれば、多くの国民に気付かれてしまいますので、徐々に、じわじわと、空気を醸成していくことが国家運営の要となっています。
本来であれば、データはあるのですから、誰にでも分析することは可能です。しかし、国民は、データを精査するという習慣を持っていません。いや、データに興味がありません。空気に従うことが、自分の役目だと信じ切っています。
国家運営者と国民の間にある、得体のしれない空気というものの絶妙なバランスで、この国は動いているのです。官僚が動かしていると言っても過言ではないと思います。

この国は、この先も、どんどん、着実に、壊れ続けます。
このトレンドという潮流は、大きく、太く、変化していきます。
国を、国民を、呑み込んでしまうくらい大きな潮流に育ちます。
黒潮に逆らって泳ぐことが不可能なことくらい、多くの方が知っています。
「国力衰退」は、黒潮級の潮流になろうとしているのです。
放置していていいのでしょうか。
そんなはずはありません。
では、誰が、この「国力衰退」を食い止め、潮流を変えてくれるのですか。
政治家ですか。官僚ですか。学者ですか。いわゆる、お偉い先生方ですか。
違うと思います。
彼等に、そんな力はありません。
国民しかいないのです。
でも、そんな提案をしている人を、私は知りません。
国や政府に対する批判や非難は山のようにあります。
しかし、国民を非難する人がいません。
本来であれば、「俺には関係ねぇ」と言っている国民が、主権者である国民が、一番非難されなければならないと思いますが、誰もが、知らん顔です。
どうしてなのでしょう。
何よりも、国民は投票権を持っていますから、政治家は迂闊なことは言えません。
「国民とは」という言葉の定義がないからです。
国民が、曖昧な空気に流されているからです。
皆さんが、「俺達、下々の出る幕ではない」と思っているからです。
もっとも、国民は、そのほうが楽ですから、動きません。
だとすると、この国を壊しているのは、責務を果たしていない国民だということになります。
もちろん、国民は、その事を知りません。国民が意図的に国を壊しているのではありません。でも、責務を果たさないから、皆さんの国は壊れていっているのです。
この国の現行の国家運営システム(「なあ、なあ」「まあ、まあ」によるシステム)が、機能しない時代を迎えています。だから、国力が衰退し、貧困化が進み、将来不安を抱えた人しかいない国になってしまったのです。これが、現実です。
これは、優秀な国民を持っている国なのに、もったいないことに無視しているからです。
国民自身も、自分のことを、今でも「下々」だと思っているからです。
国民の皆さんは、この窮地を救うのは自分達だということを知りません。
知らないということは、いかに優秀な国民であったとしても、意味がありません。
これは、恐ろしいことだと思います。

現状を変える方法が、1つだけあります。いや、私は、1つしかないと思います。
文化を、変えることです。文化を嘗めちゃいけません。文化こそが、国の原動力なのです。
この国は、これまで、30年前まで、2000年もの間、「なあ、なあ」「まあ、まあ」という文化で、国家運営が出来ていたのです。これは、凄いことです。しかし、ここまで国が疲弊すると、曖昧文化では衰退という潮流を変えられません。実際に、何も変わりませんでした。私達は、この30年で、その事を証明したと考えてください。
「曖昧」という言葉の対極にある言葉が「定義」だと思います。「曖昧」を是正する必要が生まれてしまったということは、「定義」という文化を育てて、文化そのものを変える必要が生まれたということです。2000年の歴史を変えるかどうかの時代になったのです。それほど、この国力衰退という国難は大きいものだと思います。失敗した時は、歴史上経験のない、初めての難局を迎えることになります。
確かに、文化は空気のようなものですから、目には見え難いかもしれません。でも、「国力衰退」の原因を掘り進めていくと、文化という巨大な岩盤にぶつかるのです。文化は、それほど巨大な存在だということです。
もしも、ドツボにはまりたくないのなら、私達が変わらなければなりません。
そのためには、言葉の定義をするという文化を導入する必要があります。
もちろん、文化は、一朝一夕に変わりません。
それでも、始めなければ、変わるものも変わりません。
背に腹はかえられないのです。
1億2000万人の国民の力でしか、この潮流は止められません。

ただ、残念なことに、こんな声は、変人の私が、一人で吠えているだけで、どこにもありません。
多分、このまま、この国は崩壊するのでしょう。
崩壊後の日本人が気付いてくれたら、と思っています。


2022-03-06



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