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時代・世界編 [評論]



トランプ政権が、スタッフ不足で政権として船出できないために、「その場しのぎ」を強いられています。国政では、毎日、問題が発生すると言われています。長引けば長引くほど、お荷物を増やすことになり、「その場しのぎ」はどこかで回収しなくてはなりません。
トランプは「民主党が邪魔をしている」と非難しています。トランプの発言は間違っていないと思いますが、メディアが民主党を叩きません。トランプとメディアは戦争状態なのですから、仕方ありません。
トランプは、メディアと戦争しているだけでなく、退任したオバマとも戦争状態にあります。民主国家でも政権が変われば政策は変わりますが、それは、政策の変更であり、戦争ではありません。しかし、トランプ政権がやっていることは、戦争です。オバマ大統領の時代に、記者達とのセレモニーでジョークの標的にされたトランプが、「オバマ憎し」の一念で大統領選に出馬したと言う人もいます。メディアやオバマに対する彼の対応をみていると、トランプは「根に持つ」タイプの人物のようです。もう、これは、私怨ですが、これがトランプという人間性なのでしょう。
アメリカの35人の精神科医などが連名でニューヨーク・タイムズ紙に投書を送ったそうです。米国精神医学会(APA)は「精神科医が自ら診察していない公的人物の精神状態について意見を述べるのは非倫理的だ」として禁じる規定を設けているのですが、この35人は「黙っていることはあまりに危険すぎる」と考え、あえて規定を破って発言したと言われています。トランプ氏が抱えるとされる精神疾患は「自己愛性パーソナリティー障害」(NPD)だそうです。
また、ある著名な経済学者によれば、世界経済は、特にアメリカ経済は大きな危機に直面しているとし、「新大統領は腐敗して、クレイジーなことをするが、彼はさらに無能である」と言っています。
これほど非難される大統領は初めてなのではないでしょうか。
確かに、オバマの仕事をひっくり返したいと思っているようにしか見えない部分が多々あります。その筆頭に挙げられるのがオバマケアです。新しい医療保険制度の骨格が示され、トランプは自画自賛していますが、医療保険の専門家の解説によれば、貧困層へのダメージが大きいと言われています。特に、トランプに票を入れた白人貧困層を直撃すると言われています。トランプの選挙公約は「貧困層を救うこと」でしたが、どう説明するのでしょうか。ま、結果的には、共和党議員の賛成が得られずに、法案は撤回されました。トランプは、時間をおいて再挑戦するようです。日本なら、どんな法案でも議会を通過しますが、アメリカでは、議員は国民の代表という民主主義の建前がまだ生きているようで、強力な党議拘束はありません。いや、日本の党議拘束が異常なのでしょう。
トランプに一票を投じた有権者は、どんな反応を見せるのでしょうか。就任時の支持率も低かったのですが、更に支持率が下がっているのは、心配なことです。
私は、トランプ大統領が決して嫌いではありません。その方法に問題はありますが、時代が変わる時には、既存の価値観を否定しなくては変われません。クリントンが大統領になっていたら、過去の価値観を引き継いでいたでしょう。ただ、私怨を押し通せば、どこかで、しっぺ返しに会います。
娘の助言で、暴言を封じたと言われていますが、それは、彼の本質が変わったということではないのでしょう。ただ、就任前後の勢いは感じられません。
中国のロビー活動が活発になっていて、中国はトランプファミリーの篭絡に成功しているという報道もあります。中国は、トランプの弱点はトランプのファミリーだと見抜いていると言われています。政争という分野では、世界で一番長い歴史を持っている中国ですから、鋭い分析をするものだと感心しました。その関係なのかどうかはわかりませんが、大統領就任後、トランプの中国に対する威嚇発言はありません。中国共産党も、刺激するような発言は控えています。経済戦争はメキシコが先頭ですが、日本とドイツが続くようです。いや、攻略しやすい日本が先頭バッターになるとも言われています。中国は真打ですから、最後に登場するのでしょう。いや、ほんとに、中国は登場するのかどうか、そこのところはわかりません。果たして、誰が貧乏くじを引くことになるのでしょう。
北朝鮮の金ファミリーとか、アメリカのトランプファミリーとかの一族支配が、今の時代に通用するとは思えませんが、アメリカは、どこへ向かおうとしているのでしょう。
トランプファミリーを除き、アメリカの国家運営者達が考えている仮想敵国は、今でも中国とロシアです。それは、アメリカには、長く「共産主義との闘い」をやってきた歴史があり、それがアメリカ人の思考の底流にあるからだと思います。トランプは、取引のためなら何でもやるつもりでしょうが、この目に見えない空気のような思考を越えることは、そう簡単なことではありません。このアメリカの底流と、商売人の利益の両立は大変難しい課題に見えます。トランプは、軌道修正を強いられます。まだ、表面化はしていませんが、水面下では軌道修正が進んでいるのかもしれません。でも、トランプが普通の大統領になったとしたら(なれないとは思っていますが)、トランプを大統領にした意味は失われます。普通の大統領でもいいのであれば、何も下品でトラブルメーカーの男を大統領にする必要はなかったのではないでしょうか。ただ、アメリカ国民にとって、選択肢はトランプかクリントンかの二者択一しかなかったのですから、仕方がありません。ヒットラーが出てきた時と似ていると言う方もいます。自分の信じることを実現しようとすれば、独裁政権が最適な統治方法です。オバマケア代替法案に反対する共和党議員に「お前らを、次の選挙で落としてやる」と怒鳴っていたというニュースもありました。今のトランプは、心の底から独裁者になりたいと願っているものと思います。こんな人が大国の大統領になってしまう。でも、これは歴史の必然なのかもしれません。地球上の人間社会は「欲」で出来ています。資本主義だけではなく、共産主義も、利益の追求に奔走したのが20世紀なのかもしれません。その結果、生まれたのが格差社会です。その格差社会に悲鳴を上げた民衆が、その価値観を壊してくれる指導者を選んだ。それが、トランプ大統領なのかもしれません。
これが、時代の要請だとすると、時代は、怖いです。いや、怖いのは「欲」なのでしょう。でも、こればかりは、どうすることも出来ません。
アメリカでは、いろいろな場所で、分裂と分断が起きています。一方、中国とロシアは、分裂と分断を、強い権力で、何とかコントロールしていて、アメリカに比べれば安定した統治システムを維持しています。
中でも中国は強かです。韓国のTHAAD配備に対抗して、経済で韓国への締め付けを強化していますが、これは、アメリカに対するメッセージなのです。中国の「いじめ」にあった韓国は、ただでさえ下降気味の経済に大きな打撃を受ける可能性があります。中国の不買運動は、制裁の初期段階ですから、今後、韓国は中国での商売から締め出される可能性もあります。「中国という大きな市場の力には、もう、誰も逆らえない。アメリカよ、お前も韓国のようになりたいのか」と言っているのです。中国の首相も「経済戦争をすれば、犠牲になるのはアメリカ企業だ」と言っています。これは、脅しではありません。実際にアメリカ企業が「いじめ」の対象になります。

余談ですが、韓国の大統領罷免が成立し、大統領は逮捕されました。
ここでは、金石田という名の韓国人になったつもりで、韓国の進むべき道を探ってみたいと思います。
韓国は、新しい大統領を選出しなければなりませんが、これを機会に、中国の属国になるという選択肢を選ぶべきだと思います。
韓国は貿易立国ですが、中国への輸出が25%もあるのです。このままでは、韓国経済は成り立ちません。国の基本は、民主主義や自由ではなく、あくまでも経済ですから、中国に許しを請うことが韓国の生きる道です。民主主義や自由を旗印にしていたアメリカが、経済優先に舵を切ったのです。韓国が、民主主義や自由を捨てても問題ありません。いや、経済的利益のツールとして機能していた民主主義や自由は、ツールとしての役目を終えたのかもしれません。そういう意味では、トランプの着眼点は間違っていません。
THAAD配備を中止し、北朝鮮と対話し、反米・反日に徹し、在韓米軍の撤退を要求すれば、中国の怒りも収まります。そう言えば、大統領候補に名乗りを挙げている方の中に、同じような主張をしている方がいます。アメリカや日本からみると「とんでもない」ことですが、韓国の選択肢としては、一番妥当な選択肢だと思います。
中国も応援してくれます。
これまで、アメリカは、共産主義による赤化の阻止のために、民主主義と自由のために、韓国に駐留軍を配置してきました。でも、その目的は色褪せてしまいました。時代が変わってしまったのですから、米軍が韓国に駐留する意義は、すでに失われています。その上、アメリカが自分から民主主義や自由を捨てたのですから、時代が変わったことを確定してしまいました。
もう、資本主義や民主主義や自由を旗印にする時代ではないのかもしれません。一番先頭で旗を振っていたアメリカが変わってしまったのですから、韓国の方向転換は容認せざるを得ません。アメリカは、韓国が、コリアファーストになることに文句を言える立場にはないのです。韓国は、堂々と中国陣営に鞍替えする時です。
韓国の経済不況は韓国の自業自得ですが、それでも、何とかして、生き残らねばなりません。
韓国が生き延びるためには、アメリカと決別することです。とりあえず、韓国は、中国の「いじめ」から逃れなくてはなりません。そのためには、中国の属国になる。これまでも、朝鮮半島の国は、そうやって生きてきたのです。
北朝鮮の南下作戦に対しては、中国に泣きついて救ってもらうことが、現実的な対応ですから、アメリカ軍の代わりに中国人民軍の駐留を要請することです。金正恩であっても、中国人民軍に戦争を仕掛けるのは余程のことがないと踏み切れません。
もしかすると、韓国の決断次第で、朝鮮半島は安定するかもしれません。韓国の内政問題ですから、アメリカは傍観するしかないのです。北朝鮮も韓国も中国の支配下に置かれ、金正恩の安全が確保されれば、金正恩が改革開放路線に舵を切るかもしれません。彼は、まだ若いですから、変身可能です。ただ、彼は、健康問題を克服するために、思い切ったダイエットをしなければなりません。

中国は、北朝鮮に対して「核開発とミサイル発射を自制しろ」と宣言しました。これも、「北朝鮮を封じ込めたいのであれば、中国に協力せよ」というアメリカ向けのメッセージです。もちろん、既に、中国に北朝鮮を制御する力がないことは世界常識です。それは、金正恩が一度も北京を訪問していないことをみても、明らかです。金正恩は中国に対しても「弱者の恫喝」をやっているのです。中国が、経済的に北朝鮮を締め付けたら、北朝鮮は暴発するしか選択肢がありません。その結果は、中国にとっても、決して喜ばしいものではないのです。ただ、アメリカに対する外交カードとしては、まだ有効です。
最終的に、北朝鮮は暴発するしか道はないのかもしれません。その暴発を阻止できるのは、中国による金正恩斬首作戦か、アメリカによる斬首作戦のどちらかだと思いますが、斬首作戦の成功確率がどのくらいあるのかわかりません。それほど高くないとすると、失敗した時の対策が必要になります。その時は、中国の斬首作戦のほうが不利ですから、中国は動かないでしょう。では、アメリカの斬首作戦が失敗したとしても、アメリカに利益があるのかと問えば、それもありません。アメリカにとっても中国にとっても、このまま、ずるずると長引かせることが国益になります。
もっとも、トランプには北朝鮮と戦争するつもりはないでしょう。なぜなら、北朝鮮と戦争をしても、何の利益もないからです。いや、利益どころか戦費を使うだけですから、損失でしかありません。アメリカは、北朝鮮のICBMさえ阻止できればいいのですから、ミサイル防衛に予算を配分するのです。今でも、アメリカはロシアと中国のICBMの標的になっています。ミサイル防衛に資金をつぎ込むことは理に適っています。ただ、トランプのやることには整合性がないものが見受けられます。トランプは中国に対して「北朝鮮に石油を売るな」と言っています。もしも、抜け道のない経済制裁をすれば、北朝鮮は暴発するしかなくなります。北朝鮮から先制攻撃を受ければ、たとえ、利益にならなくても戦争をしなくてはならなくなり、その時は悪循環に嵌ります。
では、斬首作戦も、北朝鮮への軍事進攻もないとすると、残されるのは、金正恩による南下作戦だけになります。これは、金正恩の腹一つで決まることですから、避けようがありません。その時は、もう、やけくその状態でしょうから、核弾頭付きのミサイルが、どこへ飛んでいくかは不明です。中国でも、韓国でも、日本でも、アメリカでもいいのです。
そうなれば、アメリカと中国の経済ゲームの領域を外れます。
その対策は、立案されているのでしょうか。
その時、日本は、どんな立場にいるのでしょうか。
自民党内で、攻撃能力の保持という議論がされているそうです。たとえ、憲法の解釈変更で限定的な攻撃能力を持てたとしても、北朝鮮には対抗できません。北朝鮮のミサイル技術は日々進化しています。一部を除き、ミサイルは車載ミサイルになっていますし、固形燃料も実用化されています。射程の長いミサイルを、どこからでも発射できるのです。アメリカの攻撃力であっても、無力化は難しいと言われているのですから、簡単なことではありません。
憲法を変えて、普通の国として、戦争が出来るようになるまでは、まだまだ、時間がかかります。金正恩には、それほどの時間は残されていないと思いますので、日本が一番無防備な国として、ミサイルの標的になる可能性はあります。その一番の標的は在日米軍基地です。既に、数多くの実戦配備されているミサイルには、在日米軍基地の座標が入力されていると言われています。
さあ、アメリカ軍の最高指揮官であるトランプ大統領は、どんな決断をするのでしょう。
仮に、先制攻撃を仕掛けて戦争状態になっても、犠牲者は出ます。出費もかさみます。彼は、商売人ですから、彼の価値基準は利益ですから、損得計算をすれば答えはすぐに出ます。
在韓米軍と在日米軍の撤退という選択肢は、トランプ政権では、決して確率の低い選択肢ではないと思います。特にアメリカの企業経営者にとっては、今期の利益が最優先ですから、長期的な利益は、無視されます。また、不採算部門を切り捨てて生き残る企業はいくらでもありますし、企業としては正しい対処法なのです。韓国や日本が不採算部門だと判別すれば、切り捨てることもあるということです。
トランプが戦争をする場合は、利益を得るために戦争をする、という言い訳をしなければなりません。でも、今は植民地時代ではありません。たとえ、戦争に勝ったとしても敵の富を根こそぎ奪うことなど出来ないのです。損益計算をすれば、戦争で利益が出ることはありません。それとも、中国やロシアのやり方を真似るのでしょうか。
民主主義と自由というこれまでの思考であれば、世界制覇が目的であれば、米中戦争という場所に辿り着きますが、利益追求を第一としているトランプには、損失が大きすぎて、米中戦争に踏み切れないと思います。利益を叫んで大統領になったトランプが、損失を出し、アメリカ兵の犠牲者まで出したのでは、トランプ本人でさえ自尊心が傷つきます。
ただし、トランプは、中東で軍事関与を強めています。中東の場合は、利益第一ではなく娘婿の立場が第一ですから、損失が出ても、犠牲者が出ても、戦線の拡大に問題はありません。トランプの驚きの予算教書によれば、国連や地球温暖化等の国外への拠出金は減らされますが、イスラエルへの軍事支援は減らされません。どうやら、アメリカファーストという言葉は、トランプファーストという意味のようです。ただ、トランプの予算案には共和党も呆れていますので、議会を通過することはないと思われます。トランプ不動産では、鶴の一声で、何でもできましたが、議会はそう簡単には同意してくれません。トランプ流は、大阪の橋下流に似ています。本人が妥協できなければ、退陣するしかなくなります。
一方、中国はアメリカと戦争をしても良いと思っているようです。もしも、米中戦争が始まれば、アメリカはGDPで10%の損失になり、中国は25%の損失になると言う方もいます。それでも、この喧嘩は、中国国内に不測の事態が発生しない限り、腹を据えている中国の勝ちだと思います。大国同士の戦争の場合は、軍事力だけで勝敗が決まるとは限りません。
アメリカと中国は、利益という共通の目的のために、握手するしかありません。
利益という側面だけ考えれば、それが、両国にとっての最善の道です。
もちろん、トランプにとっても、利益が第一なのですから、恫喝という選択肢はあっても、戦争という選択肢はありません。
ただ、振り上げた拳を降ろせない状態での手打ち式になりますので、中国主導になることは避けられません。結果、アメリカの威信は地に堕ちることになります。
トランプファミリー以外の国家運営者の頭の中には、まだ民主主義と自由という思考が残っていますので、トランプの弾劾も表面化する可能性があります。
そんな中、不平等条約を押し付けられる日本は、どうするのでしょう。
ポチの立場は、どうなるのでしょう。
大英帝国から始まった先進技術による世界制覇という時代は終わりました。
これまで、何度も、成長戦略という言葉は神話の世界の言葉になったと書いてきましたが、今は、そういう時代なのです。
経済は人口で決まる時代になったのです。
長期予測を見ても、経済大国は、中国とインドです。
日本も、中国の属国になる日がくるかもしれません。トランプか習近平か、という選択は、どちらに転んでも最悪の選択ですから、困ったことです。

G20で、アメリカの横車が通りました。
私は、先月、トランプがG7に出席する必然性がないと書きましたが、一つだけ必然性があるようです。それは、トランプが得意とする恫喝です。オバマを恫喝し、メディアを恫喝し、企業を恫喝し、メキシコ、日本、中国、EUを恫喝し、共和党議員を恫喝し、G20を恫喝してきたトランプ流には、見事なほどの一貫性があります。G7でも、恫喝を目的として参加することは考えられます。
トランプ流は、短期的に見た時は利益になりますが、長期的に見ると不利益になるように思います。G7でもG20でも、古くは西側陣営と呼ばれた国々の、アメリカと同じ価値を共有していたという精神的な絆が失われると、多くの国が、アメリカと微妙な距離を置くようになります。これは、アメリカの不利益になると思います。次の大統領がその傷を修復しようとしても、時間がかかりますし、成功しない場合もあります。価値観を共有できない国が増えるということは、自分の利益を守ることに注力することになります。それは、ごく自然な流れとなり、世界各地に紛争が起きる土壌を生み出します。
欧州にも変化の胎動があります。今年、激変が起きないとしても、数年で大きな変化が起きる可能性があります。世界各地で、変化が起きる時代に突入したと考えれば、トランプ政権はその先頭を走っているのではないでしょうか。


2017-04-02



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