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走って逃げます [評論]



新発10年物国債利回りが3/28現在で[0.510%]まで下落したそうです。
まだ、下落する可能性があります。
現在は、円安・株高・債権高になっています。
株高であれば、一般的には債権安・金利上昇が落ち着きどころなのに、長期金利は下がり続けています。異常とも言える、この長期金利は何なのでしょう。
そうです。これがバブルです。
例えば、100円持っている人が50円を株に50円を債権に投資していたとします。景気が良くなると株の方が利回りが良くなるので、75円を株に25円を債権に投資するものです。そうなると、株が上昇し債権が下落します。しかし、今は、日銀が余分に25円もの小遣いをくれるのですから、株に50円債権に75円の投資ができるのです。
今、株式市場には海外資金が大量に流れ込んできています。「日本株は上昇するぞ」という判断があり、より大きな利幅を求める投資家が、日本に資金を移動しているからです。より高い利益を求める。これは、投資の基本動作です。株式市場に資金を投入するためには、安全性は高いが、利幅の薄い債権市場から資金を引き揚げるものです。しかし、日本の債権市場は、そうなっていません。株も人気、債権も人気。変ですよね。
株の上昇が力強いのは海外資金によるものです。海外の投資家は日本の債権市場に少ししかいません。個人投資家が、何億儲けたという派手な記事がありますが、海外投資家、国内機関投資家、個人投資家をトータルで見てみると、海外投資家が大幅買い越し、国内機関投資家と個人投資家は売り越しです。含み益を利益とすれば、儲かっているのは海外投資家だけです。海外資金は引き上げる時も素早いと言われています。
株高・債権高、これこそが量的緩和の効果だと言う人がいます。そのことを認めた上で、では、この金融政策で経済が再生できるという根拠はどこにあるのでしょう。経済再生の目途もないのに、量的緩和をする目的とは、何なのでしょう。それとも、日本の富が、海外に流出することが経済再生なのでしょうか。
金融緩和をしていれば、いつか、神風が吹くと思っているのでしょうか。昔、神風を吹かそうとして、神風特攻隊を編成した国は、どうなったでしょうか。私には、この金融政策が神風特攻政策に見えてしまいます。それは、敗戦が間近だということです。

日銀の金融緩和政策が4月初旬に出ると言われています。日銀総裁が国会の財務金融委員会で発言したような内容になるのでしょう。国債の無制限買い入れは、もう既定の政策になっているようです。日銀がいくらでも買うのだから、金融機関に恐怖心はありません。国債を買う資金は、日銀が出してくれるのだから資金調達の心配もありません。今までは、残存期間3年未満という条件がありましたが、その条件も外れそうですから、日銀は国債の期間の長短に関係なく、いくらでも買うことになります。
金融緩和をして市中にお金を流す目的は、経済の活性化が目的なのですか、それとも国債消化が目的なのですか。少なくとも、資金が国債に向けられているのは事実です。長期金利がそのことを証明しています。
既に、なし崩しではありますが、国債の日銀引き受けは軌道に乗りました。
後は、バブルがはじけるまで一直線です。
専門家の予測では、日銀はバランスシートも無視するかもしれないと言っています。
文字通り、無制限になります。
しかし、未来永劫続くバブルなど、存在しません。
必ず、いつか、破綻します。
債権市場の関係者に、金利が上昇に移ったら、どうしますか、と質問すると、「走って逃げます」という回答が8割を越えていたという話を読んだことがあります。債権購入者が「走って逃げる」と何が起きるのか。買い手がいなくなりますので、国債の暴落・長期金利の上昇が起きます。それを食い止めるためには、日銀が民間から国債を買い上げるのではなく、財務省から国債を直接購入するしか方法がありません。今行われている金融緩和政策は、日銀による国債の購入を既成事実にするための仕掛けです。既成事実化して、無理を通すやり方は、官僚が得意としていることです。
しかし、日銀が全額引き取るためには、日銀には更なる紙幣の増刷が求められます。これは、貨幣価値の下落であり、通貨の下落になります。
つまり、インフレと円安は、もうそこまで来ているのです。これがハイパーインフレになり、円の暴落に繋がるのは時間の問題になります。
現在、最大の買い手であるメガバンクの手持ち国債は、全て短期国債だという記事も読みました。財務省の国債担当者も銀行へ営業に行きますが、長期国債は買ってくれないそうです。当然でしょう。「走って逃げる」つもりをしているのですから、期間の長い国債は保有できません。でも、財務省も金融機関も、何も心配しなくてよくなりました。日銀が、まとめて面倒見てくれるのです。
日銀が通告する国債買い入れは、少し前までは、一回に6,000億円程度でしたが、最近では1兆6,000億円になりました。
これで、日本経済が成長を取り戻せば万々歳ですが、それはありえません。
財務省→金融機関→日銀→金融機関→日銀→金融機関・・・・・
お金は、この三者の間を動くだけです。
最終的には、財務省→日銀→財務省→日銀→財務省→日銀・・・・・になります。
国家公認の、いや、国家主導の完全なマネーゲームです。
お金が特定の場所を動いているだけで、なぜ、経済再生ができるのでしょう。
つまり、この金融政策の目的は、経済の再生ではないということです。
財務省も金融機関も政府も、覚悟を決めたのだと思います。
その終着点は、バブル崩壊とハイパーインフレと通貨の暴落と財政破綻です。
緩やかなインフレではありません。ある時期から、急角度でインフレが進みます。
アベノミクスで出来ることは金融緩和と財政出動です。金融緩和は日銀へ下駄を預ければできますし、財政出動は、お金を使うことですから予算さえ通過させればできます。しかし、成長戦略は簡単ではありません。と言うより、成長戦略など存在しません。少しだけ希望があるとすれば、成長戦略という意味では、アメリカがシェールガスで一息つくように、日本でも、メタンハイドレードが早い時期に実用化されれば、一息つくことは出来るかもしれません。
なぜ、こんな危険なことが、しかも理屈に合わないことが、堂々と行われているのか。それは、政府の目的が別の所にあるからです。その目的を達成するのに都合の良い人達を日銀に送り込んだのです。
金融政策も財政出動も、それなりに効果のある政策であることは間違いありません。ただし、それは、ある条件下でのみ効果があるのです。それは、成長戦略が軌道に乗り、自立的な経済成長が可能な時に限るのです。しかし、そもそも、成長戦略がないこの国で、自立的な経済成長が望めるのでしょうか。成長戦略を補完する政策として、金融政策や財政出動が行われるのであれば理解できますが、辻褄合わせの成長戦略を後追いで作文している現状は、政府の目的が別の所にあると考える方が自然です。
経済成長なき物価上昇政策は危険極まりない政策です。国債の日銀引き受けを軌道に乗せたとはいえ、長期金利が上昇しないようにするためには、日銀は力ずくで上昇を押さえ込まねばなりません。自然の法則に逆らう力技ですから、どこかで破綻する危険は大きいものと覚悟しなければなりませんが、なぜ、ここまで無理をするのでしょう。それは、国民に知らされていない本当の目的が別に存在するからです。

[ その本当の目的とは、「お上」の論理でしかありませんが、財政破綻を回避するために、国民資産を根こそぎ吸い上げる方法が採用されたということです ]

それが、ハイパーインフレです。
これであれば、理屈が通ります。
そう考えると、政府も財務省も財政破綻は既定の事実と見ているということなりますので、国民に表明した政策の目的はすり替えられていますが、「お上」の中では整合性がとれているのです。安倍氏も、国会ではハイパーインフレにはなりません、と答弁しています。しかし、誰一人、納得できる根拠を示した方はいません。言葉だけです。
本来の目的を公表すれば、大変なことになるから嘘をつく。
パニックは避けねばならないから、嘘をつく。
「嘘も方便」の嘘であっても、結果が国民の利益にかなえば、それは許される嘘の中に入る、と考えている。
では、例えば、67年前のように国民の利益にならなかった時には、誰が国民を救ってくれるのですか。国民は自己責任で生き延びるしかないのですか。だったら、国民は何のために税金を納めているのですか。
「お上」の理屈を少しだけ深く辿ると、いつものことですが、曖昧模糊としてきます。
どのような理屈をつけようとも、目的を詐称していることは「お上」自身が知っています。明らかに確信犯です。善良な市民が、そのことに気付かないとしても、これは詐欺です。
今、私達は、まさに、おれおれ詐欺の電話に出ている被害者と同じです。騙されている真っ最中です。これは、おれおれ詐欺より悪質だと思いますが、なぜか国民は喜んでいます。
出来るだけ長く現状維持を続けることを最優先事項とすれば、ハイパーインフレという手段しか残されていないのは確かです。でも、それは利権集団の論理です。主権者である国民を無視した手段であり、国民の犠牲を前提にした政策です。では、百歩譲ってハイパーインフレで財政破綻が回避できるのでしょうか。私には、ハイパーインフレという巨大な流れは人力では制御できないと思います。とことん、行く所まで行くことになると思います。流れが止まるのは国家崩壊しかありません。国家が崩壊すれば、流れは行き場を失います。国家がなければ、インフレもデフレも長期金利も、何もかも意味がなくなるからです。ハイパーインフレは、欲ボケ人間の浅知恵に過ぎません。
私達は、かつて、大本営発表という嘘に騙され続けていた過去があります。
今回は、財務省の嘘に騙されているのです。
不思議です。なんて「いい人」ばかりなのでしょう。
安倍氏本人は操られているとは思っていないかもしれませんが、安倍氏も、立派に財務省の操り人形です。でも、そのことに気付くには、日本国民は「いい人」すぎます。実に、愛すべき民族です。
私には、もう危機的状況に見えるのですが、新聞やテレビを観ている限りでは、そんな雰囲気は全く感じられません。もちろん、1~2年で崩壊を迎えるという意味ではありません。
ただ、13年よりは早くなる可能性は否定できません。
債権市場関係者が「走って逃げる」つもりでいることは、近視眼的に見れば正しい判断なのでしょう。
ただし、逃げることはできても、逃げ切ることはできません。
走って逃げても、歩いて逃げても、匍匐前進で逃げても、たとえ踏み止まったとしても、この巨大な流れを変えることなど出来ないのです。全員が呑みこまれるのですから。


2013-04-02



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