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記事紹介 28 [記事紹介]



小さな記事を二つ紹介します。


弁護士ドットコムというサイトの記事です。

生活苦から学生時代に借りた奨学金の返済に困っている人が増えている。不景気で就職難やリストラなど働く環境が悪化していることが影響しているとみられる。なかには、奨学金の返済遅延が足かせとなって、夢をあきらめたり、結婚ができなかったりする若者も少なくない。この問題に詳しい弁護士は「日本の奨学金制度の抜本的な改善が必要だ」と指摘している。
奨学金事業を請け負う日本学生支援機構の資料によると、奨学金の返済が遅れている要返還者と未返還者を足した人数は、2004年の198万人に対して2011年が334万人と、7年間で130万人以上も増えている。奨学金を返せない人は、ここ数年で急増しているのだ。
奨学金には、返還義務のない「給付型」と卒業後に返還義務が生じる「貸与型」の2種類があるが、日本では全体の約9割が貸与型だとされる。しかも無利子ではなく、「有利子」の貸与型を利用せざるを得ない学生が多いのが、日本の特徴だ。日本学生支援機構による奨学金では、有利子が7割を超えている。
「日本の奨学金制度は『金融事業化』してしまっている」と指摘するのは、奨学金問題に詳しい岩重佳治弁護士だ。「欧米では奨学金とは給付型のことを指し、貸与型については『学資ローン』と呼んで区別している」と語り、日本は本来の奨学金制度とは違う方向に進んでいると批判する。
返済に苦しむ人への「支払督促」が増えている
岩重弁護士によると、もともと奨学金事業を担っていた日本育英会から日本学生支援機構に引き継がれた2004年以降、奨学金が「金融事業」と位置づけられ、その後、金融的手法の導入が進んだという。奨学金に占める有利子の割合や民間資金の流入が拡大。返済金の回収も強化され、2010年度からは返済が滞れば、滞納者として「全国銀行個人信用情報センター」に登録されるようになった。
回収の強化といえば、近年、裁判所を使った「支払督促」を申し立てられる奨学金滞納者が急増している。2004年にはわずか200件だった支払督促の申立件数が、2011年には1万件と、この7年間で50倍に拡大しているのだ。
この背景について、岩重弁護士は「最近は債権管理部ができたり、債権回収会社を利用したりするなど、回収が徹底されるようになった。おそらく、財務にかなり焦げ付きがあり、回収強化に乗り出したのだろう」と推測する。その上で「本来であれば、雇用情勢が悪化しているのだから、救済手段の強化や制度を柔軟化するなどの対応を取るべきだが、そこの見極めができていないため悲劇が起きている」と苦言を呈した。
返還猶予制度の運用にも問題があるようだ。日本学生支援機構の奨学金には返還期限を猶予する制度がある。岩重弁護士は、この制度について「非常に厳しい要件が課されている上に、運用上も様々な制限が課され、申請方法なども複雑で不明瞭なため、制度を利用できない返済困難者が多い。返還猶予制度はもっと柔軟に分かりやすくするべき」と指摘する。
返済に困っている人が利用できる「救済手段」
返還猶予制度を利用できない返済困難者はどうすればいいのだろうか。「自己破産や個人再生などの債務整理手続きがある。お金のない人は法テラスを利用して、費用援助を受けながら、専門家の支援を受けるという方法もある」と岩重弁護士はアドバイスする。
また、人によっては時効が成立している場合もある。「返済期日から10年たつと債務の消滅時効が成立し、支払わなくてもよくなる」。ところが、時効についての知識がなく、「時効成立を知らないで、払い続けている人がいる」という。
奨学金を返せない若者が増えている現状を打破するため、岩重弁護士は全国の法律家や学者らとともに2013年3月31日、「奨学金問題対策全国会議」(仮称)を設立する予定だ。全国会議では、返済できないで困っている人の救済に個別で取り組む。
一方で、奨学金制度の抜本的な改善を求める運動を展開し、給付型や無利子の奨学金を増やすことなどを目指していく。岩重弁護士は「当事者にも声を上げてもらって、国民的議論にしていきたい」と話している。


余談です。
奨学金を返済しない人が、全員、返済できない境遇にいるとは限りません。中には、返済したら損だと思っている人もいるでしょう。そういう人も含めて、生き難い社会になっていることは否定できません。
奨学金をもらい、高等教育を受けるチャンスを手にした筈なのに、職を得られないのであれば、何のために奨学金を受けたのか、わからなくなります。返済義務だけが残るのであれば、きっと、ストレスは大きいと思います。今の社会が変質していることに気付かなかった本人の自己責任かもしれませんが、日本人は自己責任に慣れていません。
大昔、と言っても明治・大正・昭和初期のことですが、当時は、高等教育を受ければ、職を得られ、頑張りさえすれば、それなりの成功をおさめることが出来たのだと思います。大学の数も少なかったし、大学生も少なかった。当時は、エリートになれたのです。
でも、今は時代が違います。
何が何でも大学に進学するという社会風潮が、時代に合わなくなっているのです。生き方を考え直す時がきているのかもしれません。職探しに追われ、ポストには督促状が入っている人生は、喜ばしい人生ではありません。丁稚制度や徒弟制度はありませんが、成人してから生活の糧を得られる仕組みを新しく作る必要があるのかもしれません。
子供の頃は「夢を持とう」「自分を活かせる仕事につくために勉強しよう」と大人は言いますが、社会に入って見れば、そんなことは子供騙しに過ぎなかったと誰でも気が付きます。生活費を稼ぐためなら、嫌な仕事でもしなければならないのが社会人になるということです。社会がここまで壊れてしまった現在では、子供達にもう少し本当のことを教えていかなければいけないのではないでしょうか。これは、どう見ても制度疲労だと思います。
現状維持に固執し、変革を嫌い、思考を止めてしまったのでは社会は息苦しいものになるしかありません。
奨学金制度を変更しようとしているようですが、個別の制度を変更することで何かが変わることを願う時期は過ぎていると思います。もう、改善という手法でどうにかなる状態ではありません。社会を変えるしか方法はないのではないでしょうか。
奨学金とは関係ありませんが、教育再生実行会議が道徳の時間を正式に教科とするよう報告を出したそうです。大人達は、子供に何を教えようと言うのでしょうか。「嘘をついてはいけません」と教えるのでしょうか。でも、「いじめはありません」と嘘をついてきた大人達を、子供は、嫌と言うほど見せられています。とても説得力があるとは思えません。
やはり、「国とは、国民とは、民主主義とは」を議論して、定義し、再構築するしか方法はないのだと思います。そうすれば、きっと、自己責任についても定義できます。
そろそろ、封建制度や独裁制度から抜け出さなければなりません。
もう、「お上」に頼る時代ではなくなっているのです。
ほんとに、あらゆる場所で「綻び」が噴出しているのが現状です。



ウォールストリート・ジャーナル紙の記事を一部抜粋します。

SNEP(スネップ、孤立無業者)とは「Solitary Non-Employed Persons」の略。20~59歳の在学中ではない無職の未婚者で、関わりを持つ人が家族以外に一切いない人のこととされており、その数は増加している。無職あるいは不完全雇用、また、社会的孤立といったSNEPの各分野が拡大しているように見えるが、東京大学の最近の調査で、2011年には、職に就かず、かつ、家族以外の人々との接触がほとんどない人々が162万人に達したことが明らかになり、特に懸念されている。これは、国内の未婚で無職の256万人の約60%にも相当する。


余談です。
フリーターという言葉が生まれ、ニートという言葉が生まれ、今、新たにスネップという言葉が生まれてきています。時間軸を少し縮めて、この現実を見ると、この国がある方向を向いて動いていることがわかると思います。以前に、非正規労働者が労働人口の35%になったというニュースも書きました。人口減少が始まっている国で、弱者だけが増え続けているこの現実を、私達は極力見ないようにしています。出来るだけ、自分の順番が来ませんようにと祈りつつ、腫れ物に触らないように心がけています。生活保護という弱者をバッシングすることで、自分は弱者ではないと思いこもうとしています。
これは、社会が壊れている証です。
でも、祈りは、届かないのが普通です。私達の順番は、間違いなくやってきます。
国民の貧困化は、今年から加速します。皆さんの順番がやってくるのも、それほど先のことではありません。どうか、その衝撃に耐えられるように心の準備をお願いします。


2013-03-04



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