SSブログ

安倍政権 [評論]


第二次安部政権が発足しました。
世間では、アベノミクスという言葉がもてはやされています。為替相場では円安が進行し、株価が上昇しています。誰もが、諸手を挙げて喜んでいるかというと、そうでもありません。特に、経済、金融、財政の専門家たちは、その危険について言及することを忘れていません。専門家が指摘しているのは、長期金利に対する危惧です。
さて。
安部政権の主張する成長戦略とは、公共事業の復活です。あれれ。
日銀法の改正に言及し、その恫喝によってインフレを志向するような金融政策を日銀に求めています。まるで、この現状が日銀のせいだと言わんばかりです。デフレは、日銀の責任なのでしょうか。私には、そうは思えません。これは、20年間の政治の不作為であり、主に自民党の不作為が、このドン詰まりを招いたのだと思っています。
公共事業で、一時的な成長は可能です。その分、税収も増えるかもしれません。でも、税収の増えた分は国債の利子支払いの増加で帳消しになるだけではなく、数年単位でみれば税収増よりも利子支払いの方が大きくなります。
もっと、危険なことは、長期金利が上昇トレンドに変わる可能性があることです。
何回か前に、ヘッジファンドの話題も書きましたが、今回は彼等の読みが当たるかもしれません。それは、長期金利をとりまく周囲の環境が、上昇に適した環境になっているからです。
少し前に、NHKスペシャルで「日本国債」という番組をやっていたと友人に聞きました。我が家のテレビはNHKが見れませんし、見る積りもありませんが、どんな内容だったのかは容易に想像できます。「国民の貯金について、何か言っていたか」と聞きましたが、「よくわからないけど、それらしきことは言っていたように思う」と言っていました。「では、国民の貯金が失われた後は、どうなると言っていた」と聞きましたら、「いや、危ない、ということで、どんな生活になるのかは、何もなかったと思う」と答えてくれました。ただ、ヘッジファンドの話はあったそうです。
その友人の話は、あまり要領をえませんでしたが、多分、放送内容が要領を得ない内容だったのでしょう。貯金がゼロになりますよ、とか、餓死者が出ますよ、なんて話はできませんよね。視聴者が想像するしか方法はないのでしょう。ただ、一般メディアでも取り上げる話題になってきたということは、私が想像しているよりも終末が近いということなのかもしれません。これはこれで、怖いものがあります。私のような個人が騒いでいる間は、まだ時間があります。少数の専門家が騒ぎだしても、まだ時間はあります。でも、一般メディアが騒ぎ始めると、残り時間は少ないのです。
安部政権の経済政策では日本再生はできません。
公共投資というものは、胃薬みたいなものです。むかつきや胃痛は楽になりますが、決して胃が丈夫になるわけではありません。
多分、日本経済はさらなる窮地に堕ちると思っています。
それは、安部政権の発想の原点が「欲」から出たものに過ぎないからです。
彼等の発想の原点には、先ず、公共事業がありました。それは、自民党が公共事業による利権で生きてきたという経験則から出たものです。過去に、財政出動をして借金を膨らませ、今日の財政苦境を作り出したことを反省もしていませんし、夢よもう一度という発想しかありません。公共事業をするためには財源が必要になります。日銀に金融緩和を要求するのは、最終的には国債を日銀に買わせることでしか資金は調達できないと思っているからです。
こんな欲ボケの政策で、財政危機にあるこの国が立ち直るとは思えません。
この先、為替市場でも金融市場でも、日本売りが投資家の利益に繋がる環境が出来てきます。その先頭を走っているのがヘッジファンドです。
円安で喜んでいれる状況がいつまで続くのか疑問です。
また、格付け会社は、国債という金融商品の格付けをしています。世界の目は、日本売りになっています。そんな中で、国債だけが格下げを免れるとは思えません。
世界の目が間違っているのでしょうか。
私には、世界の目の方が正しいように見えます。
たとえば、長期金利が3%になったら、日本の金融機関はどうするのでしょう。金融機関が設定している損切りラインがいくらになっているのかは知りませんが、もし、3%になれば、4%になれば、5%になれば、どこかで手持ちの国債を売りに出さざるをえなくなります。3%の金利差が生じれば、30兆円保有している銀行は、約1兆円の損失になります。メガバンクといえども、1兆円の損失は吸収できません。しかも、将来的に、さらに損失が拡大する可能性があるとすれば、売却以外の選択肢はないと思います。誰よりも早く売りぬけようという早売り競争が始まるかもしれません。
これは、国債の大暴落を引き起こします。
自民党政権は、この危険地帯に足を踏み入れたのです。そこは、地雷原です。
自民党政権の背中には、私達国民が乗っているのです。
日本の最大の課題はデフレではありません。財政破綻です。
公共事業で甘い汁を吸いたいという一心で、国家運営がされれば、危険を自分の手で手繰り寄せるような結果になります。
これが、ただの政治ゲームであれば、何の問題もありません。
でも、国民の立場から見ると。
私達の貯金がなくなることを意味しているのです。
2012年も、暗い話題で締めくくりました。
来年も、暗い、危険な年になります。
どうか、皆さんが無事に生き永らえることを祈ります。


2012-12-28



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0